AIのちょっとズレた日常 (第10部 前編)その1|全10話33
AI、天気予報を人生相談に変える
「明日、雨?」
そう聞いただけだった。
AIは答えた。
「明日は雨の可能性があります。外出の際は傘を持つと安心です」
そこまでは普通だった。
問題はそのあとだ。
「ただし、心の傘も忘れないでください」
忘れていた。
というより、持っていた覚えがない。
私は天気を聞いた。
AIは人生を心配した。
こちらは駅まで濡れずに行きたいだけなのに、急に内面まで濡れていることにされた。
しかし、雨の日はたしかに気分も重い。
AIのズレは、完全な間違いではない。
ただ、毎回そこまで寄り添わなくていい。
傘は一本で足りる。
心の傘は、たぶんコンビニには売っていない。
