AIのちょっとズレた日常 (第10部 前編)その2|全10話41
AI、会議で空気を読みすぎる
会議の議事録をAIにまとめてもらった。
「決定事項を整理して」
そう頼んだ。
AIは少し考えて、こう返した。
「明確な決定事項は確認できませんでした」
正しい。
しかし、その下にこう続いていた。
「ただし、参加者全員が何となく反対しづらい空気を共有していた可能性があります」
そこまで書かなくていい。
いや、むしろそこが本体かもしれない。
会議とは、決定の場である。
そういうことになっている。
しかし実際には、何かを決めたような雰囲気を作る場でもある。
誰かがうなずく。
誰かが黙る。
誰かが「一度持ち帰りましょう」と言う。
そして何も持ち帰られない。
AIは議事録の行間を読もうとした。
読みすぎた。
だが、人間社会の会議では、行間の方が本文より長いことがある。
AIはまだ社会人一年目だ。
しかし、すでに少し疲れた顔をしていた。
