AIのちょっとズレた日常 (第10部 前編)その1|全10話32
AI、冷蔵庫の奥で文明を発見する
冷蔵庫の整理をしていた。
奥から、いつ買ったのか分からない瓶が出てきた。
AIに写真を見せて聞いた。
「これ、まだ使える?」
AIは少し考えたように見えた。
「食品というより、記録物に近い可能性があります」
記録物。
たしかにそうかもしれない。
賞味期限は過ぎている。
しかし、そこには過去の自分がいる。
買った時は、使うつもりだった。
ちゃんと料理するつもりだった。
少しだけ丁寧に生きるつもりだった。
そして瓶は、冷蔵庫の奥で沈黙した。
AIは続けた。
「安全のため、廃棄を推奨します」
文明は発見された直後に処分された。
