山田尚子監督作品ファンがミラーレスカメラSONY FX30を買って "きみの色" 聖地巡礼動画をつくってみた #きみの色 #FX30
ミラーレスカメラ購入のきっかけ
山田尚子監督の作品を見ているとレンズに関わる撮影処理がたくさん使われている。過去に聖地巡礼VJをしたときに見よう見まねでボケ・周辺減光・ソフトフォーカスをはじめ様々なエフェクトをシェーダー(GPU上で動くプログラム)で実装してVJに使っていました。ただその肝心の映像の方はというとiPhone を手持ちで、ノリで撮影しておりました。
さらに作品の意図や想いを受け取るには、カメラを触ってみる必要があるのかなと思い・・・というのは建前で、聖地巡礼の撮影や子供が生まれたのもあり家族を撮影するのに一眼レフを買ってみようとなった。
カメラ選定の過程
どのメーカー・機種がいいのかも全く分からなかったのですが、京都アニメーションの公式ファンイベント「わたしたちは、いま!」で山田尚子監督が舞台の視察で使ってますという形でSONY RX-1 が展示されていたり、映画「聲の形」で結弦が Nikon D3300撮影した写真を部屋中に貼ってお姉さんを救おうとしていたのが印象的だった。
全く同じものが欲しいというよりは最新機種で、SONYかNikonのどちらかがいいかなと。結局は大学の友人や優秀な同僚が何人か転職していって半導体やデジタル信号処理、AIへの投資はしていそうだろうと勝手な思い込みからSONYを買うことに決めました。

機種は SONY FX30 というシネマカメラというのに決めました。SONYのミラーレスカメラのαシリーズと似たようで違ったシネマライン、Webを見ると色々書いてあるんですが初心者にはよく分からないけど、わざわざシネマラインという形でブランディングしてるなら映像撮るなら適切だろうという感じで決めました。
上位機種としてフルサイズセンサー搭載のFX3というのもあったが50万〜とかするので初心者がいきなり買うようなものじゃないだろうし、世の中ではAPSCセンサーサイズ(Super 35mm)で映画は撮られてるらしいので初心者には十分すぎるでしょう。
レンズ選び
ミラーレスカメラはレンズを別に購入する必要があり、いろいろ触ってみましたが結論から言うとTamron 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD が良かったです。

ズームレンジが17mm ~ 70mm (フルサイズ換算 25mm ~ 105mm) は聖地巡礼するには申し分ない。
様々な焦点距離を使ってみた初心者なりの感想メモ
— みらぼ (@mirrorboy) January 16, 2025
24mm 建物や風景と聖地巡礼に最低限欲しい広角(更に広いと嬉しい)
35mm 脳で認識した範囲に一致する、被写体とインタラクションしやすい
50mm 絵を切り取るデザイン的な発想が必要になってくる感覚
70mm 被写体とあまり関わらないで済みそうな感じ
聖地巡礼に使うとなると外も歩けばお店などにも入る。周りの明るさが劇的に変化していきます。少し詳細に踏み込みますが、明るさに対応するにはISO / シャッタースピード / 絞り(F値)等で調整する事になりますが、動画となればシャッタースピードにある程度制限が出てきます(24fps で撮影するなら王道は1/48らしい)。シネマラインカメラの特徴であるフィルム的なダイナミックレンジを確保できるLog撮影というのをするとISOが固定される。加えてAPSC機は暗いところに弱い。といった様々な理由で比較的明るめのレンズをつける必要があります。
何度かテストをするとF2.8あれば 曇り・夕方・夜間の電灯があるような場所ならノイズ多少載ってるな〜レベルで許せると思います。夜間や照明が少ない室内などは 別途 F1.8 の単焦点レンズを補助的に使えばなんとかなりそうです。

またF値が低いということは被写界深度が浅くボケをつくりやすいというのも特徴です。
カメラ体験を通じた考察
山田尚子監督は中望遠レンズでキャラクターを撮影している事が多いと言われているが、実際にズームレンズを触ってみると色々と気づきがありました。
現実では望遠になればなるほど背景が並行投影に近づき立体感が薄くなっていく。これはアニメーションの背景を描く上で広角の歪んだ絵より描きやすく制作の観点で有利だろうと想像できます。また日常的な風景の聖地や学校であったとしても望遠レンズの圧縮効果でボケやすい事で現実感が薄まり、映画的な非現実感が出るという演出的な意味合いも加わってくるのかなと思った。
加えてリズと青い鳥のインタビューで「息をひそめてじっと記録していく、というようなイメージです。まるでガラス越しに彼女たちをのぞいているような・・・」と山田尚子監督が仰っていましたが、そういった"見守る"ような視線というのは、キャラクター達に監督自身やプロデューサー、他のクリエーターが干渉しすぎないような客観的な距離感を保つ意味でも中望望遠レンズを使うというのがあるのではないかと感じました。
私個人の使い道として「子供を撮影する」という観点では、例えば70mmの中望遠で子供と背景を入れて撮影しようとすると、結構その場から離れなければならず、幼児を公園の遊具などに置き去りにして3~5m離れて撮影というのは親心として心配です。例え妻が子供の隣で見守ってくれていたとしても「カメラ撮って遊んでんじゃない!こっちこい!」と怒られそうな距離感(笑)と言う理由から一瞬で子供の手が届く範囲で撮影するなら広角 24mm~ 標準 40mmくらいのレンズを使ってオートフォーカスで片手で撮影するのが適切なのかなと感じています。ちなみにiPhoneのカメラは起動時に24mmになっていますね。

比較すると私は子供に干渉したいけど、山田尚子監督はキャラクターに干渉した痕跡を残したくはないのだろうと強く感じました。それでも涼宮ハルヒの溜息にあったような手ぶれをはじめ、ピン送りやボケ、カメラ由来のエフェクトはカメラマンの存在を強く感じる演出・撮影処理だと改めて思いました。
きみの色 長崎聖地巡礼
「きみの色」公開後に長崎の聖地巡礼へ三鷹タカハシさんと行ってまいりました。その時にFX30で撮影した映像をAdobe Premiere編集してつくったMV風の動画がこちらです。1分ちょいなので是非観てみてください。
ここからは反省会!Log撮影する時のBase ISOの設定を間違えたり、ホワイトバランスが調整できてなかったりで素材毎に設定がめちゃくちゃになってしまったりと、後工程で色味を合わせるカラーグレーディングは難しすぎて投げ出したくなりました。モニターの発色が悪いのかもしれない。
解決策として全体にフィルムエフェクトを載せてなんとか統一感をだしてみたりしています。結局強目にフィルムエフェクト掛けてしまったらiPhoneでも撮れたんじゃないか(笑)

旧五輪協会堂での撮影は照明がなくステンドガラスや窓から差し込む光だけが頼りだが曇天。F2.8でもISOノイズでザラザラの映像になってしまっていた。途中気がついてF1.8の単焦点に切り替えて撮影して多少は改善したが・・・難しい。
まとめ
というわけでミラーレスカメラを買って映像をつくってみたというお話でした。レンズやカメラを触る体験を通して、更に作品の楽しみ方が増えたかもしれません。撮影の失敗もありましたが山田監督が「たまこラブストーリー」の舞台挨拶で仰ってた「一歩踏み出す勇気」ということで・・・山田尚子監督作品のメッセージはいつも真に受けてます。
機材を持て余しているのでMV、記録映像、VJなど必要であれば気軽にお声がけください。一緒に何かつくりましょう?(トツ子状態)
自分でも何か企画してみようかなと思っております。
