ラブリーサマーちゃんと『Garden of Remembrance』を語る - 『歌詞のない日常』に至るキャッチボール (2/3) #GoR_anime #ラブリーサマーちゃん
「Garden of Remembrance」公開初日に山田尚子監督作品ファンが行なっていたスペースにラブリーサマーちゃんがサプライズ参加してくださった"ラブリーサマーちゃんと「Garden of Remembrance」を語るスペース"文字起こし第二弾です。
第一弾未読の方は、こちらからどうぞ!
登場人物

Let's Stop Conflict / 可愛くてかっこいいピチピチロックギャル。「Garden of Remembrance」では楽曲「Garden of Remembrance」「歌詞のない日常」担当。
み:みらぼ
スペースの主催。とあるよしみでラブサマちゃんとフォロー関係があり今回のサプライズに繋がった。
タ:三鷹タカハシ
音楽ユニットMitaka Soundのメンバー / 吉田玲子さんのファン
パ:(パ)
めんどくさいアニメおじさん
や:やまけん
インターネットの世界を少しだけ支えるインフラエンジニア、DJ/VJ
『歌詞のない日常』に至るキャッチボール
パ: 実際に今回の作品である程度キャッチボールしながらいろいろな曲を提出されていったかと思うんですけども、具体的に過去の作品や別のアーティスト、映像作品や映画だったり、そういうので共通項を作って会話しながら音楽を組み立てていった感じですかね?
ラ:そうですね。でもあのちょっと憚られるんですけど結構このスペース、最初の方から聞いてまして。
み:(笑)
ラ:あのそれこそ、その言語化するしないとかアート作品でキャッチボールしてみたいところとかも拝聴してたんですけど
※注釈・・・山田尚子監督作品は凄く論理的に映像を組み立てられているけど、絵コンテなどを見ても細かい演出の意図が書いてなかった為、どうやって言語化してスタッフに共有しているんだろうかといった話題や、映画「リズと青い鳥」では音楽の牛尾憲輔さんとアートを通じた対話があったとインタビューで読んだといった話しをしていた。
み:(失礼な事を言ってて)すみません・・・。
ラ:いえいえ、すごい面白くて、自分もそれがあったなと思って。自分の場合はあの現代詩とかでやり取りしてたんですけど。
み:現代詩だとどういった方になるんですか?自分は谷川俊太郎さんくらいしかわからなくて。
ラ:谷川さんの次ぐらいに有名なんじゃないかなと思うのですが、吉野弘さんという現代詩の方がいて、その方の詩とかを自分は投げて「こういうことを自分はよく考えるんですけど」みたいなやりとりがありましたね。あとは(具体的な作品名は)忘れちゃったんですけど、ドイツの童話の挿絵とかを送ってくださったりとかして。
み:ドイツの童話!幅広い・・・。
タ:コミュニケーション取り方がすごい・・・。
み:我々はスペースで日本語を話すしかないけど、そういうアート作品を通じて”詩パスしたら音楽が返ってくる”みたいなことをするわけですね。
ラ:うん。そんな感じでしたね。とはいえ「もうちょっとこういう感じ」とか結構山田監督も割と喋ってくれました。
み:ブルーレイ付属のオーディオコメンタリーなんかを聞くと、山田尚子監督はなかなか本音を言ってくれない印象で(笑)制作の時はちゃんとそういった話もしてるのかなと思うんですけど。
パ:今回の音楽っていうのはあまり歌詞が乗ってないノンバーバルな方向で作られてるわけじゃないですか。
ラ:はい。
パ:セリフも絵文字しか画面に出てこなくて、そうするとかなり音楽に対する期待値、重みっていうのはかなり高そうで「ここの感情は抑えてとか」「ここはキーをズラして」というような、起伏の付け方みたいなのを、要求されたってことはあったのでしょうか?
ラ:その二人というかチームの中でこういうものを作っていきましょうみたいなものができて、脚本やオオバコができた時に「自分はこういうことを言いたいです!」みたいなこともやり取りしても、歌詞に対しての添削みたいなことは一切なくて。
一同:おー!
ラ:割とスパンとまとまったって感じですね。
パ:音源に対してアニメーションが完成版としてフィードバックされて、変わってる部分っていうのはあったのでしょうか?「音源のここを変えてくれたんだ!」っていうような驚きみたいものが。
ラ:自分が納品したそのままで音源を使っていただいて、音楽にアニメがどんどん載ってった感じだったので変わっちゃったなみたいな驚きとかはなかったです。
パ:こういう風にアニメとして表現してくれたんだっていう手応えでしたか?
ラ:うん!やっぱり皆さんも仰ってましたけど、声とかがない代わりに絵の訴えかけが見えやすいと思うんですけど。(セリフが無いために)そんなにわかりやすい作品じゃないからこそ何回か繰り返し見たりもしたんですけど、本当に見れば見るごとに新しいフック、5回目とかでも小さいディテールに結構気がづくんですね。「ゲームのコントローラー2つだったんだ!」とか。そういう気づきがこういっぱい出てきて、そこに毎回心打たれてしまうみたいな(笑)
み:面白い!それ・・・山田尚子監督作品のファンとして映画を見る時に"全く同じ体験"をするんですけど(笑)一緒に制作されてたラブサマちゃんが同じように体験することになっていることが面白いなと思いました。
ラ:本当にもう何ていうのか、山田監督がこんなに”神は細部に宿る”みたいなことをやる人なんだと思いながらもう、心打たれてって感じでしたね。
み:なるほど。例えば絵コンテみたいなのを見せてもらって解説してもらうとかではなくて 、コミュニケーションの中で音楽を制作して提出してアニメが制作されたという形なんですか?
ラ:結構打ち合わせは密にやらせていただいて、これが起こってみたい事は全部分かってるつもりではいたんですけど。それでも一つ細かいギミックに気づくじゃないですか!「これはどういう背景があるんだ?」みたいな感じで軽くWikiとかを調べるだけでも、それに込められた花言葉だったり、ギミックに背景の意味みたいなのがあって、そこまでは伝えられてないよ!みたいなのもありましたね(笑)
み:アニメ制作の中でどんどん詰め込んでいくんだろうな。
ラ:多分そうだと!
み:T シャツとか・・・例えば、部屋にデカめの米袋があるとか。
ラ:米がありましたね!
み:一人で食べるにはちょっと量多いなと・・・。
ラ:うんうん。そういう痕跡とかがこう、何回も見ていくうちに”アハ体験”みたいに。あれもこれもそうだったのか!みたいな感じで、前半の切なさがこうドンドン加速してくる。
み:その”アハ体験”が男女の生活とかを匂わせたりして、よりその・・・感情的になる。意味なく情報が増えてるわけじゃなくて。
ラ:そうなんですよね!
パ:作品のクライマックスで「実はこうだったんですよ」っていうのが描かれていますね。我々も作品全体を俯瞰した時に「あれっ?」ていうところが必ず出てきて、同じようにその時間を繰り返すわけですよね。作品をこう何度も繰り返して見ると、その度に発見を繰り返していく、作品の中に大量に情報が埋め込まれてるっていう手応え、これヤベえなっていうのは正直感じました。
ラ:なるほどなるほど。
パ:ちょっと変な例えですけど、(ラヴェルの)ボレロみたいな感じで次第に30分とかかけてじわじわじわと盛り上がるような感じで、その17分が1つの周期になって繰り返して見ていくうちに、音楽にどんどん意識が移っていって印象がさらに深まるところもあるという感じを受けました。
ラ:ありがとうございます。
み:音楽が映像にすごく寄り添ってるように感じましたよね。
ラ:良かった!
パ:それは本当に思いました・
ラ:なんかうん、いやまあ・・・そうですね。ありがとうございます。本当に。
一同:こちらこそです・・・!
ラ:本当に考えて作った感じだったので、そんなに色々と考えてくださって嬉しいです。
み:大きく分けると前半の曲と後半に出会う時の2曲ですか?前半の曲はどういうイメージでつくったんですか?ちょっと大人しめな印象でした。
ラ:なんかあれはあのタイトルが「歌詞のない日常」っていうタイトルをつけたんです
一同:おー!
ラ:ハミングだけにするっていう自分の初めての体験をやってみたんです。こんなに解説みたいなことをしちゃって良いのかわかんないですけど(笑)ざっくりめに言いますと、”きみ”を失った後の”ぼく”は、やっぱり喪失を受け入れられることができなくて、何というか離人症みたいな風にして淡々とあまり考えないようにしていて、気持ちを”ふすま”に蓋をして過ごしていくからこそ、すごく1日が繰り返し繰り返し、でも歌詞もなく歌詞になるような気持ちもなく、繰り返し、繰り返ししてることによって1日が早く感じていくみたいな印象を受けまして、それなのであまり歌わない。もう気持ちっていうものを外に出さない。気持ちの無さみたいな、空虚さみたいなのを出したくて、日常だけれど日常っぽくてほんわかしてるけど歌詞がないっていう曲を作りたくて、ああいう曲になりました!
み:言葉で説明してもらったんですけど、その表現を音楽でちゃんと受け取りました!その感覚を!
ラ:本当ですか!
み:女の子がなんとなく淡々と毎日積み重ねて生きてる中で、なんかちょっと心がここにないみたいな。
ラ:ありがとうございます。いやー 嬉しい。最後にひとつだけ。あのこういう風な視点でちょっと見てほしいっていうのを伝えてちょっと離脱しても大丈夫ですか?
み:はい、ありがとうございます!最後にどうぞ!
つづく

