【注目の1ページ】地域医療構想の全体像がこの1枚に─厚労省資料から読み解くこれからの医療・介護提供体制
この記事が好評でしたので、続編はこちらです
2040年、そしてその先の医療はどう変わっていくのか──。
厚生労働省が2025年7月に発表した資料「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」。今回はその中でも、構想の要点がぎゅっと詰まった1ページを取り上げて、やさしく解説していきます。
今回ご紹介するのは、PDFの11ページ目(資料12枚目)。
制度や政策資料に馴染みのない方でも、イメージしやすいよう、なるべく平易な言葉でご説明します。
■ 医療提供体制の“これから”を描いた一枚
このページでは、主に以下の6つの観点から、今後の地域医療構想の方向性が示されています。
【1】高齢社会の到来に向けたビジョン
2040年にかけて、85歳以上の人口が大きく増加する中で、「入院して終わり」ではなく、地域で自宅生活を継続できるよう支える医療体制が求められます。退院後の在宅医療や介護の連携も視野に入れた仕組みが重要になります。
また、医療従事者の働き方も持続可能であることが前提です。
※ここでの「在宅」とは、退院直後に限らず、訪問診療や訪問看護を含む継続的な支援により、住み慣れた自宅で安心して暮らせる体制全体を指します。
📌 ポイント:医療と介護が連携して、患者も支援者も無理のない仕組みを。
【2】「治す」医療と「治し支える」医療の役割分担
これまで以上に、医療機関が機能を役割分担し、患者が必要とする医療・介護を地域で完結できるような仕組みを構築していきます。
外来や在宅医療、介護との連携も新たな“地域医療構想の対象”にされます。
📌 ポイント:「病院だけで完結しない」時代へ。
【3】新たな構想のスケジュールと特徴
新構想は2027年度から順次始動。
2025年度:国がガイドラインを策定
2026年度:都道府県が体制全体の方向性や必要病床数の推計等を策定
2028年度までに:医療機関機能に着目した協議等
この新構想は、従来の医療計画より上位概念に位置づけられ、医療計画は新たな構想に即して具体的な取組を進めていくことになります。
【4】病床機能と医療機関機能の整理
回復期病床は、その内容に「高齢者等の急性期患者への医療提供機能」を追加し、「包括期機能」として再定義。
医療機関は、自らの持つ機能(例:救急、在宅、専門など)を都道府県に報告し、その情報が地域全体の構想に生かされます。
📌 ポイント:病床数だけでなく「何ができる病院か」に注目。
【5】都道府県の役割がより重要に
知事には以下のような新たな権限が加わります:
医療機関の報告が実態と違う場合の是正指示
増床の必要性を調整会議で審査
協議への出席要請 など
📌 ポイント:現場の実情と計画の整合性を担保する“司令塔”に。
【6】精神医療の位置づけも明記
今回から精神医療も新たな地域医療構想の一部に含まれることが明記されました。
精神科医療が地域医療の一環として、より一層重視されていくことが示唆されています。
■ まとめ:この1ページに込められたもの
この1枚は、「これからの地域医療をどう再編していくのか」を俯瞰できる貴重なページです。
これまでの病床数中心の議論から脱し、「機能別・役割別に分担し、連携する」という方針が明確に打ち出されています。
今後、都道府県ごとに具体的な議論が進むなかで、現場や関係者がこの構想をどう受け止め、活用していくかが問われます。
出典:
厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめの概要」11頁目
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001521527.pdf(2025年7月)
■ おわりに
今回のような「資料1ページだけ解説」は、今後もシリーズ化していく予定です。
「どのページを読めばいいか分からない」「重要そうだけど読みにくい」──そんな声に応える形で、丁寧に読み解いていきます。
興味のある方は、ぜひフォローやスキで教えてください。
▶関連記事
