【イチゴ栽培】定植2ヶ月目(11月)が勝負!花芽分化を促す「厳冬期前の管理」
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
イチゴ栽培において、定植後の2ヶ月目(おおよそ10月下旬〜11月下旬)は、収穫量と品質を決定づける非常に重要な期間です。この時期の管理の目的はただ一つ、「健全な株の成長を維持しつつ、確実に花芽を分化・充実させること」にあります。
この時期の管理を怠ると、「葉ばかり茂って花が来ない(つるぼけ)」、「花芽が弱くて奇形果が増える」といった致命的なトラブルにつながります。
今回は、定植2ヶ月目のイチゴ栽培における、具体的な管理のポイントとノウハウを深掘りして解説します。

1. 栽培の最重要課題:確実な「花芽分化と充実」を促す
定植後2ヶ月目の管理は、基本的に「株の栄養生長(葉の成長)を抑え、生殖生長(花の成長)へ転換させる」ことに集中します。これを達成するためには、温度と水・肥料のコントロールが鍵となります。
① 温度管理:理想は「低温・短日」条件の再現
イチゴの花芽分化は、**低温(10℃〜15℃)と短日(日長10時間以下)**という環境ストレスによって促されます。
夜温の徹底管理:
最も重要なのは夜温です。この時期は夜間に暖房機を稼働させる必要はありませんが、特に朝方の最低気温が10℃〜12℃程度になるようにハウスの換気(または密閉)を調整します。夜温が高すぎると、株が再び栄養生長に戻りやすくなります。
日中の換気:
日中、ハウス内が25℃以上にならないように、積極的に換気を行います。日中の高温は光合成を促しますが、この時期に株をあまり大きくさせすぎると、花芽分化のサインが鈍くなります。
② 葉数の管理:「適正葉数」への調整
株に葉が多すぎると、体内の養分がすべて葉の成長に使われ(つるぼけ)、花に回らなくなります。
摘葉の判断:
この時期、葉数が5~7枚程度に収まるように管理するのが理想です。定植時に残した古い葉や、黄化した葉、病害虫の被害を受けた葉は、積極的に摘葉して光と風の通りを確保します。
ランナーの除去:
定植後に発生する**ランナー(匍匐枝)**は、株の養分を奪います。見つけ次第、根元から素早く除去し、養分を花芽とクラウン(株元)の充実に集中させます。

2. 灌水・施肥管理:「生長抑制」のためのメリハリ
この時期の灌水と施肥は、「生育を鈍らせる」という視点で行うのがポイントです。
① 灌水管理:間隔を空けて「締める」
株に十分な水を与えると、根は水を探す努力をせずに済み、結果として地上部の成長が活発になってしまいます。
「締める」灌水:
葉が少ししおれる程度の軽いストレスを与えることで、根の活性を高め、また株の体内に窒素分が蓄積するのを防ぎます。灌水間隔を通常よりも意識的に開けて、メリハリをつけましょう。
量より頻度:
締める期間中でも、完全に乾燥させてはいけません。1回の灌水量を少量にして、必要なタイミングでのみ与えるよう調整します。
② 施肥管理:窒素の「抜き」とリン酸・カリの重視
花芽分化を促すには、体内のC/N比(炭素/窒素)を上げて、窒素過多を防ぐことが鉄則です。
窒素成分のカット:
追肥(液肥)を使用している場合は、一時的に窒素成分の供給を控える(あるいは濃度を下げる)時期を設けます。株の窒素濃度を意図的に下げることで、生殖生長への転換を促します。
リン酸・カリの強化:
花芽の分化や根の充実を促すリン酸、果実の肥大や品質に関わるカリを重点的に供給します。リン酸の液肥や葉面散布材を有効活用しましょう。

3. 病害虫対策:越冬前の徹底駆除と環境整備
気温が低下し始めるこの時期に、ハウス内の病害虫の密度をいかに下げるかが、冬から春にかけての安定生産の鍵となります。
① 灰色かび病の予防対策
灰色かび病は低温多湿を好み、この時期から発生しやすくなります。
株元の通気性確保:
摘葉・ランナー除去で株元の風通しを良くし、多湿環境を防ぎます。
予防的な薬剤散布:
予防効果の高い薬剤を、気温が下がりきらないうちに散布し、病原菌密度を初期段階で叩いておきましょう。
② ハダニ・アザミウマ対策
ハダニやアザミウマは、寒くなると活動が鈍りますが、株の古い葉の裏やクラウン内部で越冬し、春先に爆発的に増殖します。
徹底的な駆除:
低温期に入る前の今が、年間で最も薬剤の効果が出やすい時期です。複数の系統の薬剤をローテーションして散布し、越冬個体を極力減らしてください。
粘着シートの継続:
アザミウマの飛来状況を把握するため、青や黄色の粘着シートは継続して設置します。

4. プロの裏技:クラウンの充実度を確認する
この時期に花芽がしっかりと分化しているかどうかを、ハウスの外から見て完全に判断するのは難しいです。
クラウンの硬さチェック
優秀な農家は、この時期のイチゴのクラウン(株元)の硬さや太さを常にチェックしています。
健全なクラウン:
養分が集中し、花芽分化が進んでいる株のクラウンは、硬く、ずっしりとした重みを感じます。
つるぼけのクラウン:
栄養生長が進みすぎた株のクラウンは、締まりがなく、ブヨブヨと柔らかい感触になります。
実際に数株を抜き取り、クラウンを縦に切断して花芽の初期分化を目視で確認する「切断調査」を行うことも、経営判断を誤らないための重要な作業です。
定植後2ヶ月目の厳冬期前の管理が、あなたの農園の高収量・高品質を約束します。理想的な花芽分化を目指して、緻密な環境コントロールに励みましょう。
【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAILt.ogawa19720117@gmail.com

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