現実が『恋愛RPG』になったけど、好きな人への命中率が1%しかないんだが?【第1話:レベル1の既読スルー】
朝、目が覚めた瞬間に、
僕の人生は「クソゲー」になった
視界の右上に、半透明の緑色のゲージ
【HP:80/100】
【MP:45/100】
「なんだこれ!夢か?」
目をこすっても消えない
それどころか、
枕元のスマートフォンに手が伸びた瞬間
空中にウィンドウがポップアップした
[ 1. すぐに通知を確認する ]
[ 2. 落ち着くために水を飲む ]
[ 3. 怖くて二度寝する ]
僕は迷わず「1」をタップした
指が画面に触れる前に、
体が勝手にスマホを手に取っていた
通知欄には、
昨日の夜からずっと待っていた
サキからの返信
サキ:
『昨日はありがと!楽しかったね(ニコニコの絵文字)』
たった一行
その瞬間、視界に強烈なログが流れる
『——会心の一撃! MPを20回復』
脳内にアドレナリンが吹き出した
昨日のデート、
失敗じゃなかったんだ
しかし、本当の戦いはここからだった
返信を打とうとキーボードを開いた瞬間、
再びコマンドが僕を遮る
[ 1. 「俺も楽しかった!また行こう」と即レス ]
[ 2. 相手の熱量に合わせて、スタンプだけで返す ]
[ 3. 駆け引きのため、あえて3時間既読をつけない ]
「たぶん、3番だ」
恋愛攻略サイトで読んだことがある
『即レスは余裕のなさを露呈する』って
僕はあえて、
スマホを裏返して伏せた
その瞬間、
視界の隅で数字がチカチカと減り始める
『待機モード:1分経過するごとにMPを1消費します』
「は?嘘だろ」
待つだけで精神力が削られる
気になる相手からの返信を放置するのは、
毒状態のまま歩き続けるより苦しい
結局、僕は5分も持たずに
スマホをひったくった
「やっぱり1番だ!
即レスこそ誠実さの証だろ!」
勢いよく返信を送信
画面には「既読」の二文字
期待に胸を膨らませる僕の前に、
無慈悲なシステムメッセージが現れた
『相手は「未読のまま通知で確認」をスキルで使用中』
『判定:効果は いまひとつのようだ……』
「えっ」
そこから地獄の時間が始まった
10分
20分
返信が来ない
僕のHPゲージが、
1ずつ、着実に削られていく
『既読スルーにより、1ダメージ』
『既読スルーにより、1ダメージ』
僕は耐えきれず、
禁断のコマンドに手を伸ばした
[ 特技:SNSパトロール(インスタのストーリーを確認) ]
彼女の最新のストーリー
そこには、
僕の知らないカフェのコーヒーカップが二つ、
映っていた
『致命的なダメージ! 痛恨の一撃!』
『HPは残り1になった』
僕はベッドに沈み込んだ
まだ、午前8時30分
この恋という名のRPG、
クリアできる気が全くしない
第2話につづく
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