第3話:直接対決!嘘をつく2人と私の反撃
「なぜ何も悪くない私が逃げるの?」大人のイジメに真っ向から立ち向かった、主婦の覚悟(第3話)
【本文】
熱血な所長と社員立ち会いの元、私とイジメの中心メンバーである2人が呼び出されました。
本音を言えば、これ以上大事(おおごと)にして職場の居心地が悪くなるのを避けたかったからこそ、部署異動をお願いしたはずでした。しかし、まさかの直接対決。
私の中では「もう終わった。会社を辞めるしかないのかな……」という絶望がよぎっていました。
それでも、こんな環境は会社にとっても、これから来る派遣スタッフにとっても良くない。私は腹をくくり、覚悟を決めました。
「挨拶を無視することに始まり、女性スタッフへの態度の悪さ、仕事中の陰口。もし私たちにも原因があるなら言ってください。私たちは仲良しグループを作りに来たわけじゃない、お金を稼ぎに来ているんです。仕事は仕事として、普通に接してもらいたいだけです」
毅然と訴える私に対し、2人は終始うつむき「やってません」の一点張り。話し合いにはなりませんでした。
でも、最初から期待はしていませんでした。あっさりと非を認めるような人たちなら、初めからイジメなんてしないはずだから。
2人が退室した後、私は所長に強く訴えました。
「話し合いの最中、2人の顔を見ましたか? 私はずっと目を見つめて話をしました。でも、あの2人は一切私の目を見ようとしなかった。後ろめたいことがないのなら、真っ直ぐ目を見て話ができたはずです」
ーーー
結局、中途半端なまま話し合いは終了。その日の休憩時間、私は偶然聞いてしまったのです。
2人が「どうしよう、クビになっちゃうかも……」「大丈夫だよ!証拠なんてないんだから!」と、コソコソ怯えながら話している声を。
その頃、私の他部署への異動計画は進んでおり、何日かお試しで入った部署からは「ぜひ来てほしい!」と大歓迎されていました。
そんな中、派遣の仲間数名が所長から個別に事情聴取をされたと知ります。仲間の1人が、私にそっと教えてくれました。
「私も今まであの人たちにされたこと、所長に正直に話しておいたからね!」
1人ぼっちだと思っていた私に、味方ができた。その事実が、涙が出るほど嬉しかったです。
ーーー
今までの私なら、嫌な職場からは簡単に逃げて、諦めて辞めていたかもしれません。
けれど「1日でも早く離婚して自立したい」という強い気持ちが、自分でも予想外の行動へと私を突き動かしました。ふつふつと、心の中に強い疑問が湧いてきたのです。
「私は毎日、淡々と仕事をこなしていただけ。なぜ理不尽な目に遭った側の私が、お気に入りのこの部署を離れて、逃げるように移動しなければいけないの?」
仕事自体は変化があって自分に向いていて、楽しかったのです。
急に異動することに納得がいかなくなった私は、ついに大博打に出ました。所長たちに向かって、こう宣言したのです。
「異動はしません。今の部署でそのまま頑張ります!」
ーーー
それからの毎日は、やはり過酷でした。
朝のラジオ体操もポツンと1人。午後からの派遣仲間が来るまでは、完全な孤独です。
所長との話し合い以降、中心核の2人はあからさまにターゲットを私1人に絞ってきました。
私を徹底的に孤立させようとしたのか、彼女たちは私の周りの派遣仲間に対して、突然親しげにあだ名をつけ始め、優しく接するようになったのです。あからさまで、見え透いた態度でした。
でも、私の大切な仲間たちは、そんな姑息な罠には決して流されませんでした。
「今さら気持ち悪いよね。私たちは何があっても変わらないからね!」
そう言って、私のそばに居続けてくれたのです。その言葉に、私はどれほど救われたか分かりません。
ある日、イジメ主犯格の目が届かないところで、1人のパートさんからこっそり声をかけられました。
「ごめんね……。あの人たちの機嫌を損ねると、今度は私たちが無視やイジメに遭うの。助けてあげられないけど、頑張ってね」
大人になっても、子どもの世界と同じでした。
ダメなことはダメと言えない。自分が被害に遭いたくないから、見て見ぬふりをする。
仕方のないことだとは分かっています。でも、それなら私に謝らないでほしかった。自分を正当化しようとするその姿が、当時の私にはひどく卑怯に思えて仕方がありませんでした。
そんな孤立無援の私を救おうと、社員さんたちは、私がイジメの中心メンバーと関わらずに済むように、普段は男性しかやらない「力仕事」のポジションへ私を配慮してくれました。(正直、体力的にはめちゃくちゃキツかったです!笑)
しかし、この「力仕事への配慮」こそが、私の人生を大きく変える大逆転の伏線となります。
この力仕事をきっかけに、私は数ヶ月後、フォークリフトの免許を取りに行くことになるのです。職場唯一の「フォークウーマン」として、仕事の幅を一気に広げるためにーー。
そしてその後、赤字続きだったこの部署に「突然の解体」という激震が走ります。
働き口を失ったスタッフたちの裏側で、社内で始まったのは、ステップアップしていく人と普通の作業員のままという残酷な「ドラフト会議」でした。
(第4話へ続く)
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