AIに答えを出してもらう前に、問題を「問い」に変える方
AIに相談したのに、頭の中が整理されない。
そんな経験はないでしょうか。
こちらは真剣に悩みを伝えているのに、返ってくるのは、どこかで見たような一般論。
「まずは周囲に相談しましょう」
「優先順位をつけましょう」
「できることから始めましょう」
もちろん、間違った答えではありません。
しかし、本当に困っているときに欲しいのは、正論ではなく、自分の状況に合った整理です。
なぜAIに相談しても、頭の中が整理されないのでしょうか。
その理由は、AIの性能だけではありません。
多くの場合、AIに「問い」ではなく「悩み」を渡しているからです。
悩みと問いは違う
たとえば、
「介護をしながら、どうやって働けばいいですか?」
という相談があるとします。
この一文の中には、たくさんの情報が含まれています。
家族の体調
自分が担っている介護
仕事に行く時間
急変時の対応
家族内の役割分担
収入の必要性
支援制度の限界
自分自身の疲労
しかし、AIに渡されているのは「介護と仕事をどう両立するか」という大きな悩みだけです。
これでは、AIも一般的な回答しかできません。
問題が複雑なのではなく、問題を構成している情報が混ざったままだからです。
AIに答えを求める前に、まず自分の悩みを「問い」に変える必要があります。
問いに変えるための5つの整理
ここからは、複雑な悩みをAIに相談できる形へ変えるための手順を紹介します。
1. 事実と感情を分ける
最初に、起きている事実と、自分の感情を分けます。
たとえば、
事実:
母親の服薬確認が必要
父親は日中の見守りを担っている
自分は緊急時の判断をしている
外勤すると日中に家を離れる
感情:
家を空けるのが怖い
父親だけに任せるのが不安
働きたいのに動けない
何を選んでも責任が残る
感情は無視するものではありません。
ただし、事実と感情が一つになったままだと、AIは何を整理すればよいのか判断できません。
まずは別々に書き出します。
2. 関係者を書き出す
次に、その問題に関係する人を書き出します。
自分
家族
勤務先
支援機関
医療機関
介護サービス事業者
関係者を書き出すと、「自分だけが頑張れば解決する問題ではない」と見えてくることがあります。
逆に、関係者が明確になると、それぞれが担えること、担えないことも整理できます。
3. 制約条件を書く
問題を解決するとき、最も重要なのが制約条件です。
たとえば、
毎朝の服薬確認が必要
突発的な通院や救急対応がある
家族が長時間の判断を担うことは難しい
夜勤はできない
長時間の外勤は難しい
収入も確保しなければならない
この制約条件を無視して、「できることを考えましょう」と言っても、現実には使えません。
AIに相談するときは、希望だけでなく、できないことも伝える必要があります。
制約条件は、答えを狭めるための情報ではありません。
現実に使える答えをつくるための土台です。
4. すでに試したことを書く
次に、これまで試したことを書きます。
家族内で役割分担をした
介護サービスを利用した
支援機関へ相談した
求人を探した
在宅でできる仕事を検討した
仕事と介護の時間を分けようとした
これを書かずにAIへ相談すると、すでに試して失敗した方法を、もう一度提案されることがあります。
「まだ試していない方法」だけでなく、「試したが解決しなかった方法」も重要な情報です。
失敗した方法には、その人の問題を解くうえでの制約が隠れています。
5. AIに何をしてほしいかを決める
最後に、AIへ何をしてほしいのかを決めます。
AIに求めることは、必ずしも「正解を出すこと」ではありません。
たとえば、
情報を整理してほしい
問題を分解してほしい
論点を分けてほしい
選択肢を比較してほしい
見落としているリスクを確認してほしい
支援者へ説明できる形にしてほしい
A4一枚の資料にしてほしい
という依頼もできます。
「どうすればいいですか?」と聞く前に、「何を整理してほしいのか」を決めるだけで、AIの回答は大きく変わります。
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