絵本の翻訳 / 読むひとを想像するその先に
子ども向けの絵本の翻訳をした。
絵本は、他の本にくらべると、読み方が独特だ。
親子や友達同士で一緒にページをめくって読んだり、子どものために音読(読み聞かせ)をしたりする。
雑誌や文庫本をそんなふうに読むことはあまりないだろう、とおもう。
翻訳をするときも、ふだんの仕事とはちがって、よく声にだして読んでみる。
音としてどんなふうに響くかをじっくりと検討したり。
たとえば
「よく熟れたリンゴ」や「さいこうのリンゴ」よりも
「まっかなリンゴ」
のほうが伝わりやすいだろうか、語感がよいだろうかと考えてみたり。
「3つ数える」なんていうときには
「1、2、3」(いち、にい、さん)
みたいに書いてあるほうが、読みやすいかなあとか想像したり。
(親子で一緒に声をあわせて読むだろうか、とか)
翻訳するときにはいつも、読むひとを想像している。
それでも、だれとどんなふうに読むか、という風景にも想いを巡らせるのは珍しい経験だ。
そんなことを考えながら絵本を音読している様子を見た(聞きつけた)子どもたちが
「父だけ遊んでズルい!!」
と怒っていた……
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