【読書】銀の雪よ、降り積もれ。
人は、本当に欲しいものが何だか
手に入ってからしか
知ることが出来ないようです。
私、こういう本が
読みたかったんだ。
優しくて、ほっとして、
だけど、
「ああ、良かった」だけで終わらない。
何だか少し知識が増えて
頭も良くなった気がします。
最近は、本のアタリが
少なかったんです。
本は相性が強く影響するから
私が「ハズレ」と思う本は
どなたかにとって「アタリ」。
それは分かっているのですが。
読了しないで終わった本も
幾つかあります。
西加奈子さんの「ふる」。
絶賛する方が多いので
最後まで読んでみたけどダメでした。
いのちの、大切なことを
テーマにしているのは
分かっているのですが、
どうしてもグロテスクに感じて
読後、嫌悪感さえ抱いてしまいました。
辻仁成さんの「ピアニシモ」。
いい本なのは分かります。
バッドエンドでもないし、
情景が自然と脳裏に
展開される描写は
感嘆せずにはいられません。
だけど、私、
太宰治の「人間失格」も
三島由紀夫の「金閣寺」も
そうですが、
人間の闇を描いたものは
感情移入が激しくて、
引き摺られて帰って来られなくなる
恐怖が並じゃありません。
心に優しい本が、読みたかったんだ。
人間の中身も、層構造のようなものだ。
地球と同じように。
硬い層があるかと思えば、その内側に脆い層。
冷たい層を掘った先に、熱く煮えた層。
この本を読みました。

幸せな人だけが
出てくるんじゃありません。
世間は冷たく、金銭面も苦しい
シングルマザー。
コミュニケーションに
自信がない、就活生。
夢を諦めて
仕事に魅力を感じない
サラリーマン。
そんな人たちの心に
ふっとあかりが灯る、短編集。
それがね、全て科学なんです。
だけど、ちっとも
難しく書いていない。
オスがメスに贈る、クジラの歌。
新聞社で使われていた
伝書鳩の末裔。
凧を使った、気象観測。
ガラスの殻をまとっている
植物プランクトンのアート。
小難しいようなことが
優しく心に触れて
主人公たちを元気にしていきます。
私のような
知識のないものが読んでも
楽しめますが、
きっと、
その道の専門の方でも
のめり込めるんだと思います。
ここを、この知識を
こうやって、そこに当てはめるのか!って
そのアイデアに脱帽します。
※言ってることが分かりませんね。
難しいことを知っていたら
難しく書きたくなるでしょうに、
ここまで落とし込んで
素人にでも壁を感じさせないように、
あくまで柔らかい印象のままに
書き切る能力が、とにかくすごい。
タイトルの
「8月の銀の雪」
これがね、とても科学的で、
なのにロマンチックなんです。
ここの描写のところを、
目が、
何度も行き来しました。
銀の雪は、降り積もる。
降り積もったら、何になるか。
それは、読んでからのお楽しみ。
美しい世界でした。
読めて良かったです。
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