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【第159回】 ライトクライアント(SPVノード)はどうやって信頼性を担保するの?

アリス:「ウサギ先輩、こんにちは!この前、フルノードはブロックチェーンの全部のデータを持っているから、とっても信頼できるって教えてもらいましたよね?」

ウサギ先輩:「やあ、アリスちゃん!その通り、よく覚えているね。フルノードはまさにブロックチェーンの正義の番人さ。全ての取引記録を隅から隅まで検証しているからね。」

アリス:「でも、全部のデータを持つのは、私のスマホだと容量がパンクしちゃいそうです…。もっと身軽に使えるノードもあるって聞きましたけど、そういうのって、どうやって信頼性を保っているんですか?全部見てないのに、本当に大丈夫なのかなって。」

ウサギ先輩:「ふむふむ、良い質問だね!アリスちゃんの言う通り、スマートフォンや普段使いのウォレットでフルノードを動かすのはちょっと大変だ。そこで活躍するのが、今日の冒険のテーマでもある『ライトクライアント』、またの名を『SPVノード』さ!彼らがどうやって少ない情報で信頼性を担保しているのか、その秘密のベールを一緒に剥がしていこうじゃないか!」

アリス:「わぁ、ライトクライアント!なんだか軽やかで強そうな名前ですね!ぜひお願いします、ウサギ先輩!」

ウサギ先輩:「よーし、それじゃあ、アリスちゃんと一緒に、ライトクライアントの信頼性の謎を探る冒険に出発だ!このウサギ先輩にかかれば、どんな難しいこともイチコロさ、ふふん!」


ライトクライアントって、フルノードと何が違うの?~小さな探偵の大きな役割~

アリス:「まず、基本の確認なんですけど、ライトクライアントって、フルノードさんと比べて何が違うんでしたっけ?」

ウサギ先輩:「うん、そこからおさらいしようか。フルノードは、ブロックチェーンが誕生してから今までの全ての取引記録、つまり全ブロックデータをダウンロードして、一つ一つ検証している、いわば『ブロックチェーンの完全な歴史書を持つ図書館長』みたいな存在だね。」

アリス:「ふむふむ。だから、とっても信頼できるんですね。」

ウサギ先輩:「その通り。でも、その歴史書はどんどん分厚くなっていくから、保管する場所も読む時間もたくさん必要になる。そこで登場するのがライトクライアントさ。彼らは、全ての歴史書を持つ代わりに、『重要なページの要約だけを持った身軽な探偵』みたいなものなんだ。」

アリス:「重要なページの要約だけ、ですか?」

ウサギ先輩:「そう。具体的には、ライトクライアントは各ブロックの『ブロックヘッダー』と呼ばれる部分だけをダウンロードするんだ。ブロックヘッダーには、そのブロックの重要な情報がギュッと詰まっている。例えるなら、本の表紙や目次、奥付みたいなものかな。本文全部は読まないけど、その本がどんなもので、いつ発行されたか、ちゃんと順番通りに並んでいるか、くらいは分かる、というイメージだ。」

アリス:「なるほど!それならデータも少なくて済みそうですね!SPVノードっていう名前も聞きましたけど、それも同じですか?」

ウサギ先輩:「鋭いね、アリスちゃん!SPVは『Simplified Payment Verification』の略で、日本語にすると『簡易支払い検証』という意味だ。ライトクライアントが行う検証方法の核心部分を指していて、だからライトクライアントのことをSPVノードと呼ぶことも多いんだよ。」

アリス:「簡易支払い検証…。なんだか必殺技みたいですね!」

ウサギ先輩:「ははは、確かにそう聞こえるかもね!メリットは、アリスちゃんが察した通り、ストレージ容量が少なくて済むし、フルノードみたいに過去の全データを同期するのに何日もかかる、なんてこともない。すぐに使い始められる手軽さが魅力だね。一方で、デメリットとしては、フルノードに比べて検証する情報が少ないから、セキュリティレベルが少しだけ劣る可能性があること、そして情報を得るためにフルノードに問い合わせる必要があることだね。」

アリス:「ふむふむ。軽くて速いけど、全部自分で見てるわけじゃないから、ちょっとだけ注意が必要ってことですね。」

信頼の第一歩!ブロックヘッダーチェーンの秘密~最長の鎖をたどれ!~

アリス:「その『ブロックヘッダー』だけを見るって言ってましたけど、それだけでどうして信頼できるんですか?」

ウサギ先輩:「いいところに気が付いたね!ライトクライアントは、まずダウンロードしたブロックヘッダーがちゃんと鎖のようにつながっているかを確認するんだ。思い出してごらん、各ブロックは、一つ前のブロックの情報(ハッシュ値)を持っているんだったよね?」

アリス:「はい!だから、どこか一つでも改ざんされたら、すぐバレちゃうんでした!」

ウサギ先輩:「その通り!ライトクライアントは、ブロックヘッダー同士がこのハッシュ値で正しく連鎖しているかを確認する。そして、ビットコインのようなPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているブロックチェーンでは、各ブロックヘッダーに『ナンス』という特別な数字が含まれていて、これがちゃんと難しい計算問題を解いた証拠になっているかもチェックするんだ。」

アリス:「あ、マイナーさんたちが一生懸命探してる数字ですね!」

ウサギ先輩:「そうそう。そして、最も重要な原則の一つが、『最も長いチェーン(最も多くの計算作業が積み重ねられたチェーン)を正当なチェーンとして信頼する』というものだ。これはナカモトコンセンサスの中核的な考え方の一つで、ライトクライアントもこの原則に従うんだよ。たくさんの正直なマイナーたちが一生懸命作った長い鎖は、そう簡単には偽造できないからね。」

アリス:「なるほど!みんなが頑張って伸ばした一番長い鎖なら、きっと正しいっていうことですね!」

ウサギ先輩:「そういうことだね。これが、ライトクライアントが信頼を置くための第一歩さ。」

マークルプルーフの魔法!「取引は確かにここにあるよ」の証明書~魔法の木の枝切り証明~

アリス:「でも、ブロックヘッダーだけだと、私の送金が本当にそのブロックに入っているかどうかまでは分からないんじゃないですか?」

ウサギ先輩:「おっと、アリスちゃん、核心を突いてくるね!まさにその通り。そこで登場するのが、『マークルプルーフ』という魔法の証明書なんだ。」

アリス:「マークルプルーフ…?マークルツリーと関係がありそうですね!あの、たくさんのデータをまとめて、てっぺんに一つのハッシュ値を作る魔法の木のことですよね?」

ウサギ先輩:「大正解!よく覚えていたね、アリスちゃん。ブロックの中にはたくさんの取引データが含まれているけど、それらをペアにしてハッシュ化し、さらにそのハッシュ値をペアにしてハッシュ化し…と繰り返していくと、最終的にたった一つのハッシュ値、『マークルルート』ができあがる。このマークルルートは、そのブロックに含まれる全ての取引データを代表する、いわば『魔法の木のてっぺんの印』みたいなものだ。そして、このマークルルートはブロックヘッダーに記録されているんだ。」

アリス:「ふむふむ、ブロックヘッダーには、その木のてっぺんの印が刻まれているんですね。」

ウサギ先輩:「そういうこと。さて、アリスちゃんが自分の取引が特定のブロックに含まれているか確認したいとしよう。ライトクライアントは、まずフルノードに『この取引、あのブロックに入ってる?』と尋ねる。正直なフルノードは、『入ってるよ。そして、これがその証拠だよ』と言って、アリスちゃんの取引データと一緒に、その取引からマークルルートに至るまでの『道のりに必要なハッシュ値のリスト』を渡してくれるんだ。これがマークルプルーフ、あるいはマークルパスと呼ばれるものさ。例えるなら、『あなたの取引から魔法の木のてっぺんまで続く、枝分かれの道のりを示した地図』だね。」

アリス:「道のり地図…?」

ウサギ先輩:「うん。ライトクライアントは、受け取ったアリスちゃんの取引データと、この『道のり地図(マークルプルーフ)』を使って、自分自身でマークルルートを計算してみるんだ。そして、計算して出てきたマークルルートと、自分が持っているブロックヘッダーに記録されているマークルルートがピッタリ一致すれば…?」

アリス:「あ!それなら、私の取引はそのブロックに間違いなく入っていて、しかも改ざんされてないってことですね!だって、もし取引データが違っていたら、計算結果のマークルルートも変わっちゃいますもんね!」

ウサギ先輩:「その通り!素晴らしい理解力だ、アリスちゃん!これがマークルプルーフの魔法さ。ライトクライアントは、ブロック内の全ての取引データをダウンロードしなくても、自分の取引が本当にそのブロックに含まれていて、かつ改ざんされていないことを、効率的に検証できるんだ。まるで、大きな森の地図全部を持っていなくても、自分の宝物が隠されている場所までの正しいルートをピンポイントで教えてもらうようなものだね。」

でも、完璧じゃない?ライトクライアントの弱点と正直な情報源~誰を信じるか問題~

アリス:「わー!マークルプルーフってすごいんですね!それならもう安心…ってわけでもないんですか?」

ウサギ先輩:「うーん、残念ながら、世の中に完璧な魔法はなかなかないんだ、アリスちゃん。ライトクライアントの仕組みは非常に賢いんだけど、いくつかの弱点も抱えている。その最大のものが、『情報をくれるフルノードが正直であること』をある程度信頼しなきゃいけない点だね。」

アリス:「あ…。もし、情報を教えてくれるフルノードさんが、嘘つきだったらどうなるんですか?」

ウサギ先輩:「良いところに気が付いたね。例えば、悪意のあるフルノードが、アリスちゃんの取引が本当はあるのに『そんな取引はないよ』と嘘をついたり、あるいは偽の情報を混ぜてきたりする可能性もゼロではない。マークルプルーフは、特定の取引が『あるブロックに』『改ざんされずに』含まれていることは証明できるけど、そもそもそのブロックが本当に最新の正しいチェーンの一部なのか、あるいはそのフルノードが全ての情報を正直に伝えているか、までは保証しきれないんだ。」

アリス:「えぇーっ!じゃあ、嘘の情報を信じちゃうこともあるんですか?」

ウサギ先輩:「可能性としてはあり得る。例えば『Eclipse Attack(エクリプス攻撃)』というものがある。これは、攻撃者がライトクライアントの周囲の接続ノードを全て自分たちの悪意あるノードで固めてしまって、正しいブロックチェーンの情報から隔離してしまう攻撃だ。日食(エクリプス)みたいに、真実の太陽を隠してしまうイメージだね。こうなると、ライトクライアントは偽の情報を信じ込まされてしまうかもしれない。」

アリス:「なんだか怖いですね…。それに、51%攻撃の影響も受けるんですか?」

ウサギ先輩:「そうだね。ネットワーク全体の計算能力の51%以上を攻撃者が支配してしまう51%攻撃が発生した場合、不正なブロックチェーンが正当なものとして認識されるリスクがある。これはフルノードも影響を受けるけど、ライトクライアントは不正を検知するのがより難しい場合があるんだ。なぜなら、自分自身で全ての取引を検証しているわけではないからね。」

賢者の盾を装備せよ!ライトクライアントを守るための工夫たち~進化する防御魔法~

アリス:「うう…ライトクライアントも大変なんですね。でも、何か対策はあるんですよね?ウサギ先輩!」

ウサギ先輩:「もちろんだとも!このウサギ先輩が、ただ怖がらせるだけで終わると思うかい?ちゃんと賢者の盾、つまり防御魔法も進化しているのさ!」

アリス:「わーい!どんな魔法なんですか?」

ウサギ先輩:「まず基本中の基本は、『複数のフルノードに情報を問い合わせる』ことだ。一つのフルノードだけを信じるのではなく、いくつかの独立したフルノードから情報を集めて比較すれば、どれか一つが悪意を持っていたとしても、嘘を見抜きやすくなる。いわば、お医者さんのセカンドオピニオンならぬ、マルチオピニオン戦略だね。」

アリス:「なるほど!みんなに聞けば、誰か嘘をついてても分かりそう!」

ウサギ先輩:「次に、『Fraud Proofs(不正証拠)』という仕組みがある。これは、もしライトクライアントが接続しているフルノードから送られてきたブロックが実は不正なものだった場合、他の正直なノードから『おい、そのブロックは偽物だぞ!これがその証拠だ!』というコンパクトな『不正の証明書』を受け取れるようにする仕組みだ。これがあれば、ライトクライアントは不正なチェーンを検知して拒否しやすくなる。アリスちゃんの言う通り、悪い魔法使いの嘘を見破る呪文みたいなものだね。」

アリス:「すごい!それなら安心度が増しますね!」

ウサギ先輩:「さらに、BIP157/158、通称『Neutrino(ニュートリノ)』と呼ばれるプロトコルも重要だ。これは、以前使われていたBIP37(Bloom Filterという仕組み)の欠点を改善したものなんだ。」

アリス:「BIP37にはどんな欠点が…?」

ウサギ先輩:「BIP37では、ライトクライアントがフルノードに『私、こんな感じの取引に興味があるんだけど…』と、ある程度自分の手の内を明かすような形でフィルター情報を送る必要があったんだ。これだと、フルノード側にアリスちゃんの取引の傾向が分かってしまうというプライバシー上の懸念があったし、フルノード側の計算負荷も高かった。」

アリス:「えー、それはちょっと嫌ですね…。」

ウサギ先輩:「そこでNeutrinoは、もっと賢い方法を考えた。ライトクライアントは、フルノードに対して直接的に自分の関心事を伝えるのではなく、フルノード側が各ブロックに対して『このブロックには、こんな感じの種類の取引が含まれているよ』というコンパクトなフィルターを事前に作成しておくんだ。ライトクライアントは、そのフィルターだけをダウンロードして、自分に関係がありそうなブロックだけを選んで、そのブロックの完全なデータを要求する。これによって、フルノードに自分の情報を詮索されにくくなり、プライバシーが向上し、通信効率も良くなったんだ。」

アリス:「へぇー!Neutrinoって、なんだか忍びの術みたいですね!こっそり情報収集する感じで!」

未来のライトクライアントはもっとすごい!~ゼロ知識証明とクロスチェーンの夢~

ウサギ先輩:「ふふふ、アリスちゃんの例えはいつも面白いね。そして、ライトクライアントの進化はまだまだ止まらないんだ。未来のライトクライアントは、さらに強力な魔法を身につけようとしているよ。」

アリス:「もっとすごい魔法!?どんなのですか?」

ウサギ先輩:「その一つが、『ゼロ知識証明(ZK-SNARKsやZK-STARKs)』の活用だ。これはアリスちゃんも聞いたことがあるかな?『ある情報を相手に一切明かすことなく、その情報を持っていることや、その情報が正しいことを証明できる魔法』のことだね。」

アリス:「はい!秘密を見せずに本当だって証明する魔法ですよね!トランプのカードの裏を見せずに、エースを持っていることを証明する、みたいな!」

ウサギ先輩:「まさにそれ!このゼロ知識証明をライトクライアントに応用すると、フルノードに対して自分の情報をほとんど開示することなく、取引の検証ができたり、ブロックチェーンの状態を非常に効率的かつ安全に確認できたりするようになる。究極のプライバシーと効率性を両立できるかもしれないんだ。」

アリス:「わぁ、それは夢みたいですね!」

ウサギ先輩:「他にも、『FlyClient(フライクライアント)』という、PoWブロックチェーンの検証を、まるで空を飛ぶように高速かつ軽量に行えるようにする技術や、『NIPoPoWs(ニポポウズ:Non-Interactive Proofs of Proof-of-Work)』という、ブロックチェーン全体の存在を信じられないくらい短い証明書で検証可能にする技術も研究されている。これらが実用化されれば、ライトクライアントの使い勝手は格段に向上するだろうね。」

アリス:「なんだか、どんどんSFの世界みたいになってきました!」

ウサギ先輩:「そして、もう一つ面白いのが『IBC(Inter-Blockchain Communication)』という仕組みだ。これは主にCosmosエコシステムで使われているんだけど、異なるブロックチェーン同士が、お互いのライトクライアントを動かし合うことで、信頼できる第三者なしに情報を安全にやり取りすることを可能にするんだ。まるで、違う国の言葉を話す人たちが、お互いの言葉を少しだけ覚えて、身振り手振りも交えながら直接コミュニケーションを取るようなイメージかな。この時、情報を仲介するリレイヤーという存在もいるんだけど、彼らを信頼する必要はないんだ。なぜなら、ライトクライアントがちゃんと検証してくれるからね。」

アリス:「へぇー!ブロックチェーン同士がおしゃべりするのに、ライトクライアントさんが活躍するんですね!」

ライトクライアントの生みの親、サトシ・ナカモトの先見の明~ビットコイン論文の小さな巨人~

ウサギ先輩:「実はね、アリスちゃん。このライトクライアント、つまりSPVの基本的なアイデアは、何を隠そう、ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモト自身が、2008年に発表したビットコインの最初の論文の中で既に提案していたんだ。」

アリス:「ええっ!サトシさんが!?そんな昔から考えられていたんですか?」

ウサギ先輩:「そうなんだ。サトシは、全ての人がフルノードを動かすのは現実的ではないことを見越して、軽量なクライアントでも支払いを確認できる方法として、このSPVの概念を示した。ブロックヘッダーとマークルプルーフを使えば、ディスク容量を節約しながら取引の検証が可能になる、とね。まさに先見の明があったと言えるだろうね。」

アリス:「サトシさんって、本当にすごい人なんですね…。未来のことまでちゃんと考えていたなんて。」

ウサギ先輩:「うん。だからこそ、ライトクライアントはビットコインだけでなく、多くのブロックチェーンで重要な役割を果たし、今もなお進化を続けているのさ。小さな巨人、とでも言おうかね。」

ウサギ先輩のちょっと一息コラム:マークルツリーとリンゴの木~アリス、データ整理の天才になる?~

さてさて、アリスちゃん、そして読者諸君!ここでウサギ先輩から、ちょっと面白いお話をしようじゃないか。今日の話題に出てきたマークルツリー、なんだか難しそうに聞こえるかもしれないけど、実はアリスちゃんのお家のリンゴ園でも大活躍するかもしれないんだ。

アリス:「えっ、私の家のリンゴ園でですか?」

ウサギ先輩:「そうさ。想像してごらん。アリスちゃんは毎日たくさんのリンゴを収穫する。フジ、ジョナゴールド、紅玉…種類も収穫日もバラバラだ。パパに『ちゃんと記録しておきなさい』と言われて、一つ一つの収穫メモ(例えば、「10月26日、フジ、32個、カゴ番号A-5」みたいな)をたくさん作ったとしよう。」

アリス:「うわー、想像しただけでメモの山が…!」

ウサギ先輩:「だろ?さて、後日パパが『アリス、10月26日のフジの収穫記録、本当にこれであってるかい?途中で誰かが書き換えたり、無くしたりしてないだろうね?』と聞いてきたとする。メモの山の中からその一枚を探し出して見せるだけでも大変だし、それが本当に正しい記録だってみんなに納得してもらうのはもっと大変だ。」

アリス:「確かに…。全部のメモをパパに見せて、他の人と照らし合わせてもらうしかないかも…。」

ウサギ先輩:「そこでマークルツリーの出番さ!まず、隣り合う収穫メモ2枚をペアにする。それぞれのメモの内容からハッシュ値(短い暗号みたいなもの)を計算して、その2つのハッシュ値をくっつけて、また新しいハッシュ値を作る。これを『ペアの代表ハッシュ』としよう。これをどんどん繰り返していくんだ。メモが奇数枚なら、最後の1枚はそのまま次の段に持っていくとか工夫してね。そうやって、たくさんのメモから生まれた『ペアの代表ハッシュ』たちを、さらにペアにしてハッシュ化し…と、まるでトーナメント表みたいに上に上に登っていくと、最終的にたった一つの『リンゴ園全収穫記録代表ハッシュ』、つまりマークルルートが出来上がる!」

アリス:「わぁ!全部のメモの情報が、たった一つのハッシュ値にまとめられちゃうんですね!」

ウサギ先輩:「その通り!この『リンゴ園全収穫記録代表ハッシュ』を、パパの金庫にでも厳重に保管しておこう。さて、例の10月26日のフジの記録について聞かれたら、アリスちゃんはそのメモと、そのメモから『リンゴ園全収穫記録代表ハッシュ』に至るまでに経由した、いくつかの『ペアの代表ハッシュ』だけをパパに見せればいい。パパは、そのメモと数個のハッシュ値を使って、自分でも『リンゴ園全収穫記録代表ハッシュ』を計算できる。そして、それが金庫のハッシュ値と一致すれば…?」

アリス:「…そのメモは改ざんされてないし、ちゃんと記録の一部だって証明できるってことですね!全部のメモを見せなくても!」

ウサギ先輩:「ご名答!もしマークルツリーがなかったら、アリスちゃんはパパに何百枚ものメモを全部見せて、一つ一つ確認してもらわなきゃいけなかったかもしれない。でも、この魔法の木のおかげで、ほんの数個のハッシュ値(マークルプルーフ)だけで、特定の記録の正しさを証明できるんだ。データがたくさんあればあるほど、このありがたみは増すのさ。どうだい、アリスちゃんもデータ整理の天才になれそうじゃないか?」

アリス:「はい!マークルツリーって、とっても賢い仕組みなんですね!リンゴの記録だけじゃなくて、色々なことに使えそうです!」

ウサギ先輩:「ふふん、その通り。ブロックチェーンの世界では、この賢い仕組みが、ライトクライアントのような身軽な冒険者たちを支えているというわけさ。」

まとめ

アリス:「うわぁ、ウサギ先輩!今日の冒険もすっごく面白かったです!ライトクライアントさんが、ブロックヘッダーとマークルプルーフっていう魔法の道具を使って、少ない情報でもちゃんと信頼性を確かめているなんて、本当に賢いなって思いました!」

ウサギ先輩:「そうだね。全部のデータを持っていなくても、工夫次第でちゃんと大切なことを見極められる、良い例だったんじゃないかな。」

アリス:「でも、やっぱり正直なフルノードさんに頼っている部分もあるから、完全に安心っていうわけじゃないんですよね。それに、エクリプス攻撃とか、ちょっと怖いお話もあってドキドキしました。」

ウサギ先輩:「そこが大事なポイントだ。ライトクライアントは便利だけど、その限界も理解しておく必要がある。だからこそ、Fraud ProofsとかNeutrinoとか、ゼロ知識証明とか、新しい技術でどんどん安全性を高めようとしているんだ。進化は止まらないのさ。」

アリス:「はい!ライトクライアントさんがこれからももっともっと賢く、強くなっていくのが楽しみです!私も、今日教えてもらったことを忘れずに、仮想通貨の世界をもっと勉強していきたいです!」

ウサギ先輩:「その意気だ、アリスちゃん!今日の冒険で、ライトクライアントという小さな巨人の働きと、その信頼性を支える知恵の一端を垣間見ることができたはずだ。どんな技術も完璧ではないけれど、より良くしようとする人々の努力が、未来を切り開いていくんだ。これからも好奇心を忘れずに、一緒にワンダーランドの謎を解き明かしていこうじゃないか!」

次回予告

アリス:「今日の冒険で、ブロック同士が鎖で繋がっていることが、とっても大切だって改めて分かりました!」
ウサギ先輩:「うむ、その通り。そして、その鎖がもたらす『信頼』こそが、ブロックチェーンの核心とも言えるだろうね。」
アリス:「信頼、ですか…?」
ウサギ先輩:「そうだとも!次回は、そのブロックチェーンがなぜ『信頼の鎖』と呼ばれるのか、そして、その鎖が一度繋がると、どれほど強固な信頼を生み出すのか、その美しさの秘密に迫ってみようじゃないか!」

次回、「アリスとウサギ先輩の仮想通貨ワンダーランド冒険記~ゼロから学ぶ1000の扉~」第160回「アリス『鎖で繋がると、こんなに強くなるのね!』~分散型信頼の美しさ~」。
アリスの次の冒険は、信頼の根源へと続く…!お楽しみに!

☕ 冒険の心得コーナー ☕

アリス:「ウサギ先輩! 今日のお話もすっごく面白かったです! なんだか、この記事を読んでいたら、私も仮想通貨を買ってみたくなっちゃいました!」

ウサギ先輩:「おっと、アリスちゃん、その気持ちはよく分かるよ。でも、焦りは禁物だ。この冒険記は、あくまで不思議の国の仕組みを知るための『地図』みたいなものさ。『宝の地図』じゃないんだ。」

アリス:「宝の地図じゃない…?」

ウサギ先輩:「そう。これは『ここでコインを買いなさい』なんていう投資のアドバイスをするものでは決してないんだ。投資っていうのは、自分自身でよーく勉強して、失っても生活に困らないお金の範囲で、自分の判断と責任でするものなんだよ。そこを間違えると、ワンダーランドで迷子になっちゃうからね。このお約束は、絶対に守ってほしいな。」

アリス:「はい、わかりました! 自分の責任で、ですね! でも、もしこの記事の情報が間違っていたらどうしよう…って、ちょっと心配にもなりました。」

ウサギ先輩:「良いところに気がついたね、アリスちゃん。このウサギ先輩も、できるだけ正確な情報をお届けしようと頑張っているけど、この世界は変化が光の速さだからね。情報が古くなったり、勘違いしたりすることもあるかもしれない。だから、もし読者のみんなの中で『あれ? ここの情報、ちょっと違うかも』って気づいた人がいたら、ぜひ優しく教えてくれると助かるんだ。みんなでこの冒険記を、もっと素敵なものに育てていきたいからね!」

アリス:「みんなで作る冒険記なんですね! なんだか素敵です!」

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