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固定金利DeFiレンディングプロトコル(Yield Protocol, Notionalなど)の魅力

アリス:「ウサギ先輩、こんにちは!この前DeFiのレンディングについて教えてもらったじゃないですか。お金を貸したり借りたりできる魔法の銀行みたいだって。」

ウサギ先輩:「やあ、アリスちゃん!よく覚えていたね。DeFiレンディングは、銀行を介さずに個人同士でお金の貸し借りができる、まさに魔法のような仕組みだよ。」

アリス:「でも、ちょっと気になったことがあるんです。銀行の定期預金とかだと、金利が最初から決まっているじゃないですか。でも、DeFiのレンディングって、金利がコロコロ変わるものが多いって聞きました。それだと、将来どれくらい利息がもらえるか、あるいは支払うことになるのか、ちょっとドキドキしちゃいませんか?」

ウサギ先輩:「ふむふむ、良いところに気がついたね、アリスちゃん!確かに、多くのDeFiレンディングプロトコルでは、需要と供給のバランスによって金利が常に変動する変動金利が採用されているんだ。それはそれで市場の状況をリアルタイムに反映するというメリットもあるんだけど、アリスちゃんの言う通り、将来の収支が読みにくいという側面もある。だからこそ、『やっぱり金利は最初からカチッと決まっていてほしい!』という声もあって、固定金利で貸し借りできるDeFiレンディングプロトコルも登場してきたんだよ。今日はその魅力と、ちょっぴり難しい現状についてお話ししようじゃないか!」

アリス:「わぁ、固定金利のDeFiもあるんですね!ぜひ知りたいです!」


DeFiの金利、なぜコロコロ変わるの?固定金利が求められるワケ

アリス:「先輩、そもそもDeFiのレンディングって、どうして金利がそんなに変わりやすいんですか?銀行の預金金利みたいに、ある程度安定しているものじゃないんでしょうか?」

ウサギ先輩:「うーん、それはね、DeFiの多くが市場原理に基づいて金利を決定しているからなんだ。例えば、AaveやCompoundといった有名なレンディングプロトコルでは、お金を借りたい人が増えれば金利は上がり、貸したい人が増えれば金利は下がる、という仕組みになっている。これを変動金利モデルと言うんだけれど、常に市場の需要と供給をダイレクトに反映するから、効率的ではあるんだ。」

アリス:「なるほど、市場の状況に合わせて金利が変わるんですね。それはそれで合理的かもしれないけど、もし私がお金を貸していて、急に金利がすごく下がっちゃったらガッカリしちゃうし、逆にお金を借りていて、金利がドーンと上がったらお財布がピンチになっちゃいそうです…。」

ウサギ先輩:「その通り!変動金利は、将来の収益や支出の予測が立てにくいというデメリットがあるんだ。特に、安定したリターンを求める機関投資家や、長期的な資金計画を立てたい個人にとっては、金利が読めないのは大きな不安要素になる。そこで、『やっぱり、貸す時も借りる時も、金利は最初から決まっていた方が安心だよね!』というニーズに応えるために、固定金利DeFiレンディングプロトコルが登場したというわけさ。」

アリス:「そっかー!みんなが安心して使えるように、そういう仕組みも考えられたんですね!」

ウサギ先輩:「その通りだよ。伝統的な金融の世界では、国債や社債といった固定金利の金融商品が市場の大きな部分を占めている。DeFiがもっと広く普及して、多くの人に利用されるためには、この固定金利という選択肢は非常に重要なんだ。言うなれば、DeFi市場がより成熟するための、大切なピースの一つなのさ。」

固定金利はどうやって実現するの?ゼロクーポン債モデルの魔法

アリス:「でも、ウサギ先輩。DeFiみたいな新しい世界で、どうやって固定金利を実現するんですか?何か特別な魔法があるんですか?」

ウサギ先輩:「ふふん、良い質問だね!確かに魔法みたいに聞こえるかもしれないけれど、実はこれも巧妙な金融の仕組みに基づいているんだ。代表的な方法の一つに、ゼロクーポン債という考え方を利用するモデルがあるんだよ。」

アリス:「ゼロクーポンサイ…? なんだか難しそうな名前ですね。」

ウサギ先輩:「大丈夫、アリスちゃんにも分かりやすく説明しよう!ゼロクーポン債というのは、簡単に言うと『利息は付かない代わりに、最初から割引された価格で発行されて、満期になると額面通りの金額が戻ってくる債券』のことなんだ。例えば、1年後に100ドルの価値になるゼロクーポン債を、今なら95ドルで買えるとしよう。1年待てば5ドルの利益が出るよね?この差額が、実質的な固定の利回りになるというわけさ。」

アリス:「へぇー!利息がない代わりに、安く買って高く戻ってくるんですね!それが固定金利になるんだ!」

ウサギ先輩:「その通り!この仕組みをDeFiに応用したのが、例えばかつて注目されたYield ProtocolNotional Financeといったプロトコルなんだ。彼らは、このゼロクーポン債のアイデアをトークンに応用したんだよ。」

  • Yield ProtocolのfyToken(Fixed Yield Token): Yield Protocolでは、fyTokenという特別なトークンを発行するんだ。これは、特定の満期日に特定の資産(例えばDAIというステーブルコイン)と1対1で交換できる権利を表すトークンだ。 お金を借りたい人は、担保を預けてこのfyTokenを発行し、市場で割引価格で売却することで資金を調達する。例えば、1年後に100DAIになるfyDAIを95DAIで売る、といった感じだね。 一方、お金を貸したい(固定利回りを得たい)人は、この割引されたfyTokenを購入する。そして満期日に額面通りのDAIと交換することで、差額分の利益、つまり固定利回りを得ることができるんだ。

  • Notional FinanceのfCash: Notional Financeも同様の仕組みで、fCashというトークンを使っていたんだ。これも特定の満期日に特定の資産と交換できる権利を表していて、貸し手と借り手がこのfCashを取引することで、固定金利での貸し借りを実現していた。

アリス:「なるほどー!fyTokenとかfCashっていうのが、未来の価値を約束する魔法のチケットみたいなんですね!それを今、少し安く手に入れることで、将来確実に利益が出る…と。」

ウサギ先輩:「まさにその通り!このゼロクーポン債モデルは、固定金利を実現するための非常にエレガントな方法の一つなんだ。そして、これらのトークンを効率的に取引できるように、Yield ProtocolはYieldSpace AMMという独自の自動マーケットメーカーを開発したり、Notional FinanceはcToken(Compoundプロトコルの利回り付きトークン)を原資産にすることで流動性提供者の資本効率を高める工夫をしたりしていたんだよ。」

先駆けの挑戦と教訓:Yield Protocolの物語

アリス:「Yield Protocolって、なんだかすごそうですね!今でもたくさんの人が使っているんですか?」

ウサギ先輩:「うーん、それがね、アリスちゃん。Yield Protocolは固定金利DeFiの分野では本当に先駆的な存在で、多くの革新的なアイデアを生み出したんだけど、実は2023年の末にサービスの提供を終了してしまったんだ。」

アリス:「ええっ!?どうしてなんですか?あんなに賢い仕組みだったのに…。」

ウサギ先輩:「理由はいくつかあるんだけれど、主に大きかったのは次の3つだと言われている。 一つ目は、固定金利での借入れに対する持続的な需要が、期待したほど大きくならなかったこと。DeFiユーザーの多くは、まだ変動金利でも高いリターンを求める傾向があったり、複雑な商品を敬遠したりするのかもしれないね。 二つ目は、アメリカの規制環境が厳しくなってきたこと。DeFi全体に言えることだけど、規制の不確実性はプロジェクト運営にとって大きなリスクになるんだ。 そして三つ目は、ヨーロッパやイギリスでの新たな規制要件への対応が難しかったこと。グローバルにサービスを提供する上で、各地域の規制に準拠するのは非常にコストと手間がかかるからね。」

アリス:「そうだったんですね…なんだか残念です。せっかく良いアイデアだったのに。」

ウサギ先輩:「そうだね。でも、Yield Protocolの挑戦は決して無駄ではなかったんだよ。彼らが開発したゼロクーポン債モデルや、YieldSpace AMMのような技術は、その後の固定金利プロトコルに大きな影響を与えた。彼らの経験から、市場の需要をどう喚起するか、規制とどう向き合うかといった、DeFiプロジェクトが直面する現実的な課題も浮き彫りになった。これは、業界全体にとって貴重な教訓なんだ。」

アリス:「失敗から学ぶこともあるんですね。Yield Protocolの挑戦、忘れないようにします。」

ウサギ先輩:「うん、それが大切だ。彼らのバトンを受け継いで、また新しい挑戦が生まれてくるはずだからね。」

Notional Finance:進化と戦略転換の軌跡

アリス:「Yield Protocolがサービスを終了したとなると、Notional Financeはどうなったんですか?同じような仕組みだったんですよね?」

ウサギ先輩:「Notional Financeもね、固定金利DeFiの分野で非常に注目されていたプロトコルだよ。初期のバージョン(v2)では、アリスちゃんの言う通り、fCashというゼロクーポン債のようなトークンを使って固定金利の貸借を実現していた。特にユニークだったのは、流動性提供者が預けた資産(例えばcDAIというCompoundのDAI預金トークン)が、Notionalのプールに入っている間もCompoundで利回りを生み続けるという点で、LP(流動性提供者)の資本効率を高める工夫がされていたんだ。LPはnTokenという流動性証明トークンを受け取って、それをさらに担保にすることもできた。」

アリス:「へぇー!流動性を提供しながら、さらに別のところで利息も稼げるなんて、なんだかお得な感じがしますね!」

ウサギ先輩:「そうだね。その仕組みで一時期はTVL(Total Value Locked:預かり資産総額)も10億ドル近くまで成長したんだ。しかし、DeFi市場全体の変化や、Yield Protocolと同様に固定金利市場の育成の難しさもあって、Notional Financeのv2もクローズし、TVLは大きく減少してしまった。そして、現在のバージョン(v3)では、戦略を大きく転換して、変動金利の貸付や、より高いリターンを狙えるレバレッジド・ヴォールトといった商品に注力するようになったんだ。」

アリス:「えっ、Notionalも固定金利から変わっちゃったんですか…? やっぱり固定金利って難しいんでしょうか。」

ウサギ先輩:「うーん、一筋縄ではいかない、というのが正直なところかもしれないね。Notional Financeの戦略転換は、市場の需要や収益機会が、必ずしも安定した固定金利だけにあるわけではない、ということを示しているのかもしれない。DeFiユーザーの中には、より高いリスクを取ってでも大きなリターンを狙いたいという層も確実に存在するからね。現在のNotionalのTVLは、DefiLlamaによると1000万ドル弱といったところだ。かつての勢いを考えると、寂しい数字ではあるけれど、彼らもまた市場の変化に対応しようと模索しているんだよ。」

アリス:「そうなんですね…。なんだか、固定金利の道は険しいんですね。」

ウサギ先輩:「そうだね。でも、諦めたわけじゃない。色々なアプローチで、この固定金利というパズルに挑んでいるプロジェクトは他にもたくさんあるんだよ。」

固定金利への多様な挑戦者たち:イールドストリッピングと仕組み商品

アリス:「Yield ProtocolやNotional Financeがゼロクーポン債モデルだったのは分かりましたけど、他にも固定金利を実現する方法ってあるんですか?」

ウサギ先輩:「もちろんだよ、アリスちゃん!DeFiの世界は常に新しいアイデアでいっぱいだからね。固定金利を実現するためのアプローチも一つじゃないんだ。代表的なものとして、イールドストリッピング仕組み商品といったものがあるよ。」

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