葱はちょっと苦手です。
ずっと、嫌いな食べ物がある。
片手で数えられる程度だけれど。
「好き嫌いをしてはいけない」と言われ、
美味しくないものでもよく噛み、無理やり飲み込めと育てられた。
大人になった今、その育て方が悪いとは思わないけれど、
やっぱり、きもちのいいものではない。
「見た目の好みはないけれど、
『食べ物の好き嫌いがある人が嫌い』っていう人が嫌いだ。
自分だって、人の好き嫌いを押しつけているくせに」
友人のふいに口にした言葉が、今も忘れられない。
長年、わたしの目の上のたんこぶこと、葱。
葱に恨みがあるわけじゃないけれど。
わたしは昔から、葱を
ゴムのような、ビニールのような、プラスチックのような…キューピー人形のような、
なんとも表現できない人工的な味に感じていた。
からだが「食べてはいけない」と拒絶するのだ。
去年、香りが少ないと書かれた小葱を見つけ、
ふと何十年かぶりに食べてみようと思い立った。
たしか、いつもの豚丼に小葱を散らした。
恐る恐る口に運ぶ。
臭くない。
美味しい。
食べられる!
カエサルばりの「来た、見た、勝った」。
そう、我は戦に勝ったのだ。
(なんの?)
葱はちょっと苦手です。
でも、小葱は食べられます。
仲良くしてね。
じゃ、おやすみ。
むにゃむにゃ
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