「できなければいけない」が、学びを遠ざけた
以前も触れたことがあるが、
私は子どもの頃、国語が大の苦手だった。
幸いなことに、算数や数学、
それから英語の文法や和訳、英作文は得意だった。
もう30年ほど前になるが、
当時のセンター試験では、
国語は6割取れればよし、
その他の科目は100点を目指す。
それができれば、全体で9割に届く——
そう考えて勉強していた。
つまり私は、
中学受験の頃から、
まともに国語の勉強をしていない。
定期テストでは、
古文や漢文を丸暗記し、
現代文のできなさを補う。
その場しのぎで、なんとかやり過ごしていた。
経済的事情もあり、
進学先は国公立一択。
さらに、得意科目を考えれば理系。
それ以外の選択肢は、
ほとんど考えたことがなかった。
私が医療職を志した理由は、
これだけではないけれど、
少なくとも、文系に進むという選択肢は
最初から存在していなかった。
ところが、
子育てをするようになってから、
考えが少しずつ変わってきた。
算数以外の科目が、
思いのほか、面白い。
算数は、
最近は無意味に問題文が長くなっていたり、
自分にとって新しい発見が少なかったりして、
逆につまらなく感じることもある。
社会は、
自分が習っていた頃とは内容が違い、
新鮮で楽しい。
そして驚くことに、
国語の文章を読むのも、
今では楽しいと感じるようになった。
今になって思う。
「できなければいけない」と思うことで、
文章はまったく頭に入ってこなかった。
問題をこなしても成績が上がらない。
焦る。
さらに分からなくなる。
そんな悪循環の中で、
私が出した結論は、
国語を捨てる ということだった。
けれど実際には、
読んでいて楽しい文章は、たくさんある。
もし子どもの頃、
その楽しさに出会えていたら——
進路の幅は、
確実に広がっていたのではないか、
と思うことがある。
これからの子どもたちには、
「苦手な科目」を強く意識させるような教育は、
少しずつ減っていってほしい。
学ぶことの中にある
楽しさに出会う前に、
自分で可能性を閉じてしまわないために。
