芸大生、ついに「2人」でビンゴ大会をする。
家にビンゴをするためのビンゴマシンが来た。
今は、誕生日に兄から貰った、押す感覚を楽しむだけの、押しても何も起きない変なボタンの横で存在感を放っている。
ビンゴマシンが私の家の敷居を跨いだのは、
ある日の学校終わりのこと。安くで楽しめる遊びを探し求めて百均に寄ってから、未だに仕舞われていないこたつを囲んでいた。
「ビンゴ大会とかでビンゴって言ったことないんよな」
ナラくんはそう言ってビンゴマシンに付属する部品を組み立てている。
「俺もまじでないかも」
「やっぱそうやんな」
ナラくんは悪運仲間を見つけて嬉しそうに笑った。
今思い返せば、いつぞやのビンゴ大会で2DSを当てた記憶がある。ナラくんの親しみ深い笑顔に罪悪感が募った。ごめんナラくん。

完成!

綺麗にはまらなかった

「53番!」
「ないわ」
「悪運はやいってナラくん」
5回連続でナラくんのビンゴカードは一つも穴が開かないのだ。真ん中のフリーの空洞が余計に虚しい。対して私のビンゴカードはゆっくりと穴を増やしていっていた。

左がサセボ、右がナラくん
ちなみにビンゴマシンは二人で交互に回すことにしている。運が悪い代わりに、ナラくんはビンゴマシンを回すのが上手い。私がどう頑張っても10回転かかるのに、ナラくんは2、3回回しただけでボールを転がり出す。
「もうビンゴ大会の司会とかなったらいいんじゃない?」
「いやいや、俺なんかビンガー向いてないって」
「ビンゴ大会の司会をビンガーって呼んでんの?」
すでに技術はビンガー級である。いつかその才能を遺憾なく発揮してほしいものだ。
どこのビンゴ大会でもやっているように、私はリーチになって立ち上がっていた。なんとダブルリーチである。

左がサセボ、右がナラくん

「俺ら弱くないか」
「どこぞのビンゴ大会ならすでに参加賞レベルやな」
立ち上がってすでに5分ほど経過していて、座っているナラくんが羨ましくなりつつあった。

あと8だけになって何分経った
「ビンゴって平均的に実力出るゲームじゃないよな」
「おそらくだけど運が出るゲームらしいで」
「にしては負けすぎなんだよ・・・。26番です」
「26・・・。くっそ、ないわ」
「俺のも、ないな。ってかナラくんだけある番号少なすぎるって今のとこ」
慣れた手つきでビンゴマシンを2回回し、出てきた新たなボールを掴むナラくん。
「36! 俺あるわ」
「俺は、ないわ。初めてじゃない?ナラくんだけあるの。珍しいなぁ」
「いじってくんなよ」
「ピリピリしてておもろい」
言いながら私はビンゴマシンを回した。時々つっかえながら出てきたボールは、8!
「8・・・うおおビンゴ!」
「うわああ」
ビンゴした時ほどテンションが上がるものはない。ナラくんは立ち上がることのないまま終わった。

景品は前もって用意していた。ビンゴマシンを買った時に、隣のスーパーで調達したのだ。

「もう一回だ、サセボ」
「ビンガーの道に進め、ナラ」
二人でメロンクリームソーダのプルタブを開ける。飲めない人がいるのはかわいそうなので、負けた方が勝った方に奢るということになったのである。
冷蔵庫で20分ほど冷やされたそれは、普通においしかった。
机の上に並んだビンゴボールをビンゴマシンに戻すナラくんの手つきは、やはり常人のものではなかった。
次回 最低限度パーティー
「やっぱり実力」
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