「業務の標準化」が経営課題の断トツ1位——属人化を放置する会社が静かに沈んでいく理由
帝国データバンクが2026年1月〜2月に実施した「企業の経営課題に関するアンケート」の結果が公表されました。「業務改革・DX」カテゴリーの中で最も回答率が高かった課題は何だったか。AIでもクラウドでもなく、「業務の標準化」で58.3%です(出典:帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」)。
属人的な運用、部門間の分断、「あの人に聞かないとわからない」状態——これを放置したままDXを進めても、砂の上に城を建てるようなものです。今回は、この「属人化」という見えにくい経営リスクに正面から向き合ってみたいと思います。
「人材強化」90.2%の裏にある、もうひとつの真実
同調査では、全31項目の中で「人材強化」が90.2%と断トツの1位でした。「人が足りない」「良い人材がほしい」——経営者の切実な声です。
しかし、ここで立ち止まって考えてみてください。本当に「人」が足りないのでしょうか?それとも、「仕事の整理」が足りないのでしょうか?
私がこれまで中小企業の経営者とお話しする中で、繰り返し見てきた光景があります。「採らなくてもいい業務が残っている」「外注に切り出せる仕事が属人化している」「AIで代替できる作業に人件費を使っている」。こうしたケースは、実は少なくありません。
ミロク情報サービスの調査では、中小企業の経理担当者の50.0%が「業務の属人化」を最大の悩みとして挙げています(出典:ミロク情報サービス「経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」)。次いで「業務の煩雑さ」43.1%、「業務量の多さ」32.0%。経理だけでこの状況ですから、総務・営業事務・受発注管理まで含めれば、属人化の"地雷"は社内のいたるところに埋まっているはずです。
「人を増やす」前に「仕事を整理する」——3つのステップ
東京商工リサーチの調査によると、生成AIの活用は企業全体の25%にとどまっています。中小企業に限れば23.4%で、大企業の43.3%とは約20ポイントの開きがあります(出典:東京商工リサーチ「生成AI活用調査」)。
一方、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場は2024年度で5兆786億円に達し、前年比4.0%増と拡大を続けています(出典:矢野経済研究所「BPO市場に関する調査(2025年)」)。中堅・中小企業への広がりも加速しているとされています。
つまり、「人を増やす」以外の選択肢は確実に増えている。でも、中小企業ではまだ十分に活用できていない。
では、何から手をつければいいのか。私は、次の3つのステップで考えることをお勧めしています。
ステップ1:業務の「見える化」——誰が、何を、どれくらいの時間やっているかを一覧にする
ステップ2:業務の「仕分け」——その仕事は「採用すべきか」「外注すべきか」「AIで代替すべきか」を判断する
ステップ3:業務の「再設計」——標準化してマニュアル化し、誰がやっても同じ品質が出る仕組みをつくる
この3ステップを踏まずに「とりあえず人を採ろう」とすると、属人化した業務がそのまま新人に引き継がれ、教える側も教わる側も疲弊するという悪循環に陥ります。
実際に、AI活用を推進しない中小企業の55.1%が「推進するための専門人材がいない」を理由に挙げています。43.8%は「活用する利点・欠点を評価できない」と答えている。これは「AIが難しいから」ではなく、「自社の業務が整理されていないから、どこにAIを入れればいいかわからない」という状態の裏返しではないでしょうか。
属人化を放置するコスト、整理するコスト
「業務の整理なんて、今は忙しくてそれどころじゃない」。多くの経営者がそうおっしゃいます。お気持ちはよくわかります。
でも、属人化を放置するコストは、見えないだけで確実に積み上がっています。ベテラン社員が辞めたときの引き継ぎの混乱。特定の人にしかできない業務がボトルネックになって回らない日常。新人が育たず、採用しても3ヶ月で辞めてしまう繰り返し。
一方、業務を整理して標準化すれば、外注に切り出せる部分が見えてきます。AIで自動化できる作業も特定できます。何より、「本当に人を採るべき仕事」と「仕組みで解決できる仕事」の区別がつくようになります。
帝国データバンクの調査で「業務の標準化」が58.3%と最も高くなったのは、多くの企業がこの事実にようやく気づき始めたことの表れだと思います。「人材強化」90.2%という数字の中身を分解すれば、そのかなりの部分は「業務の構造を変えることで解決できる課題」ではないでしょうか。
まとめ:「忙しいから整理できない」を逆転させる
今日お伝えしたいことはシンプルです。
人手不足の解決策は「人を増やす」だけではありません。「業務を整理して、採用・外注・AIの最適な組み合わせをつくる」。これが、2026年の中小企業経営で最も費用対効果の高い投資だと私は考えています。
「でも、うちは何から手をつけたらいいかわからない」。そういう声にお応えするのが、私たちShakeHandsの仕事です。業務の整理から、AI研修、事務業務の外注設計まで、「人を増やす前に、整理する」をテーマに伴走しています。
まずは、社内で一番「あの人がいないと回らない」業務をひとつ思い浮かべてみてください。その業務を標準化するだけで、会社の景色が変わり始めるはずです。
合同会社ShakeHands
人手不足を、構造から整理する事業パートナー
人が足りない。
でも「採用」が正解とは限らない。
合同会社ShakeHandsは、
中小企業の人手不足・事業拡大に向き合い、
採用・外注・AI活用の選択肢を整理し、
最適な打ち手を設計するパートナーです。
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