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The xx、フジロック2026ヘッドライナーで再集結。必聴曲と10年の歩み

はじめに

こんにちは、こんばんは、Minimal Order(ミニマル・オーダー)です。
日頃はAbleton LiveやLife by XLN Audio、そしてMoog DFAMなどを用いて音楽を制作しています。
仕上がった音源はSpotifyやApple Musicなどに公開しています。


2026年7月24日(金)、フジロックフェスティバル2026の初日ヘッドライナーに、The xx(ザ・エックス・エックス)が決定しました

2010年の初出演から数えて4度目のフジロック出演。
しかも今回は初のヘッドライナー。2018年以来活動を休ませて、時を経た再集結という、多重の意味を持つ出演だ。

個人的な備忘録を兼ねつつ。
「名前は知っているけど、どんなバンドだっけ?」
「なぜ今、フジロックのトリを務める存在なのか?」という方のために、The xxの音楽・メンバー・ソロ活動など、まとめてご紹介します。
それではスタート!


The xxとは?

Romy、Oliver、Jamie xxの3人が作るロンドン発ミニマルサウンド

The xxは、Romy Madley Croft(ロミー・マドリー・クロフト、ギター・ボーカル)、Oliver Sim(オリバー・シム、ベース・ボーカル)、Jamie Smith(通称 Jamie xx)の3人からなるロンドン出身のバンド。

結成当初はギタリストを擁する4人編成でしたが、デビュー直後に彼がバンドを離れ、現在のドラムレス・トリオが定着。意図されたものではない偶然の産物が、あの特異な美学の骨格を決めました。

3人はロンドンのElliot Schoolで出会った幼馴染。同じ学校にはFour TetBurialも在籍していたという伝説がある(The xx自身は少し照れ臭そうにこの話を否定しているが)。Hot Chipもこの学校の出身だ。ただの偶然に出過ぎた才能が重なったのか、あるいはあの環境に何か特別な磁場があったのか——想像する余白が残っている。

そんな話題性もあって、Indipendent誌は、記事でElliot SchoolのことをThe real school of rock(マジのスクールオブロック)と呼んでいる


2009年、1stアルバム『xx』でデビュー

いきなりUKアルバムチャート3位、翌年のマーキュリー賞を受賞するという快挙を成し遂げた。以来、2012年の『Coexist』、2017年の『I See You』と3枚のフルアルバムを発表し、世界のインディー・エレクトロニックシーンを代表するバンドとなった。

マーキュリー賞(マーキュリーしょう、英: Mercury Prize)は、英国もしくはアイルランドで毎年最も優れたアルバムに対して贈られる音楽に関する賞である

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E8%B3%9E


制作過程では、著名プロデューサー(Diploを含む)と作業を試みた時期もあったが、うまくいかず、最終的には初期デモに立ち戻ることになったのだそう。

「自分たちのサウンドはすでにそこにあった。あとはうまく録音するだけだった」という趣旨のことをRomyはインタビューで語っている。すでにそこにあるものに気づくのが、一番難しい。制作者として、私も(一緒に語るのはおこがましいが)この手の判断に何度も助けられた気がしている。

私がThe xxを聴き始めたのは、ファーストが出た頃だった。音数の少なさと、そこで鳴る一つひとつの音の輪郭の際立ち方に、当時の自分は強く惹きつけられた記憶がある。だからこそ、今回のヘッドライナーとしてのステージには特別な感慨を抱いてしまう。

バンドの哲学はひとことで言うと「少ない音で、多くを語る」。ギター、ベース、打ち込みビート。それだけのパーツで、豊かな感情の地形を描く。音楽制作の中で「余白」を常に意識している自分にとって、The xxはずっとお手本のような存在だ。

パンクを通ってきたRomy、R&Bに傾倒したOliver、そしてダンスフロアを見据えていたJamie。異なるルーツを持つ3人が集まって、なぜあんなに静かな音楽が生まれたのだろうか。相反する要素が衝突せず、引き算の極地で奇跡的に均衡を保つ、この組み合わせは、決して偶然の産物ではないのでしょう。


The xx 必聴曲:3枚のアルバムで聴く変遷

『xx』(2009年)——静寂を音楽にした、衝撃のデビュー作

RomyとOliverの声が低く絡み合い、Jamie xxのビートが控えめに鼓動する。過剰なものは何もない。でも、それゆえに一音一音の輪郭がくっきりと際立つ。壁が崩れて、ビートと音符と、恥ずかしそうに歌われるフレーズが、がらんとした部屋に静かに散らばっていくような感覚—それが『xx』の音世界の原風景のような気がしている。

代表曲「Intro」は歌詞すらない。インストゥルメンタルでありながら、圧倒的な感情がある。音がない部分が、まるで部屋の空気に圧力をかけるように機能している。CMや映画にも多用された、The xxの「顔」とも言える一曲世界で今一番有名な「イントロ」という名の、「イントロで使われた曲」なのではないでしょうか。

まさに「音がないことが、最大の表現になる」というような体験でした。初めて聴いたとき、思わず再生を止めて、もう一度最初から聴き直してしまいました。

必聴曲:「Intro」「VCR」「Shelter」

あの囁き声には、理由があった

Romyはデビュー当時、父親を起こさないよう深夜に一人でこっそり歌を録音していたのだそうで。ロンドンの幹線道路沿いに住みながら、街が静かになる深夜にだけ一人で声を出していた——人前で歌うのが恥ずかしかったとRomy自身が語っている(出典:The Guardian, 2010年)。あの発声法さは、状況が生んだものだったのかもしれない。

あと完全に脱線するけれど、一つだけ言わずにいられないことがあります。中外製薬さんのテレビCMで流れている音楽が、The xxの「Intro」を彷彿とさせる思ったのは、私だけでしょうか。ふとテレビからあの静寂の空気が流れてくるたび、少しだけ想像の余白を委ねられているような気持ちになります。

因みに昔のバージョンはもっと近い


『Coexist』(2012年)——余白をさらに深めた2nd

前作に引き続き、音数を削ぎ落とした作品。UKアルバムチャート1位も獲得。音が消えた後に残る静寂が、次の音を予感させながら宙に浮いている。そんな緊張感が全編に漂っています。

ここまで削ぎ落とせてしまうのか、、と、聴くたびに少しだけ悔しくなるような感覚すらあります。

Four Tetによるリミックスも好(ハオ)


必聴曲:「Angels」「Chained」「Sunset」


『I See You』(2017年)——ダンスミュージックと内省の融合

Jamie xxのソロ活動『In Colour』(2015年)での経験を経て、バンドのサウンドはよりダンスフロアに近づきました。それまでの内省的な世界観を維持しながら、躍動するビートが加わった感じです。
「変化」を怖がらなかった、ひとつの到達点。

必聴曲:「On Hold」「Say Something Loving」
→ 「On Hold」のMVにはHall & Oatesのサンプリングが使われており、その引用センスも聴きどころです。



ソロ活動が変えたThe xxのサウンド: 再集結の背景にある3年間

2018年のツアー終了後、3人はそれぞれのソロに専念しました。この時期があったからこそ、2026年の再集結は単なる「帰還」ではありません。


Oliver Sim『Hideous Bastard』(2022年)
インディーロック色の強い1stソロ作。Oliverが長年公表してこなかったHIV陽性の事実と向き合って制作した、極めて個人的なアルバム。ボーカリストとして、そして一人の人間として深化したことがわかる作品。


Romy『Mid Air』(2023年)
ダンスミュージックへの大胆な接近。プロデューサー陣にはなんとFred again..が名を連ねる。Fred again..についてはこちらの記事でも取り上げましたが、「人の声を感情の素材として扱う」という彼の哲学と、Romyの音楽観が見事に共鳴していた。クラブシーンからも熱い注目を集め、Romyは今やソロアーティストとして完全に独立した存在感を持つ。


Jamie xx『In Waves』(2024年)
約9年ぶりとなる2ndソロ作。
収録曲「Waited All Night」にはRomyとOliverが参加しており、実質的にThe xxの再集結を予告する一曲となっていました。

レイヴカルチャーへの愛をたっぷりと込めつつ、Jamie xx特有の「音の間」へのこだわりは健在。

Jamieのビートで最も衝撃的だったのは、1stソロ作収録の「Gosh」。
最初に聴いたとき、重心がどこにあるのか分からなくなる(ような)クラクラした感覚がありました。

ビートが「ずれている」のではなく、重心が意図的に揺らされている——というのが正確な表現だと思う。キックとスネアの配置が教科書的なグリッドを外れているのに、全体としてはちゃんと踊れてしまう。

腰が一瞬遅れてついていくような、あの独特の浮遊感。Abletonで似た構造を試みたことがあるけれど、コードにも言語にも落とせないリズムの骨格に途方に暮れてしまいました。あれは模倣できる種類の設計ではない。。。

一方で、シャネルのために制作した「It's So Good」のアフロビート調の軽快さも刺さりました。聴き込むほどに、音数は増えてもJamieの設計思想は変わっていないことに気づきます。どの音を置いて、どの音を置かないか。その判断の精度が、祝祭的なビートの中にも息づいています。


Jamieのインタビューで印象に残っている言葉があります。

  •  「10枚のレコードから、それぞれ1つだけ音を取ってレイヤーする。単一サンプルには依存しない」

  • 「理想は過去のレコードが持つ音質の質感に近づくこと」

  • 「サンプルは半分は相手の音楽で、半分は自分の音楽だ」

この思想は、The xxのサウンドそのものにも通底しています。
あの薄さは削ぎ落とした結果というより、積み重ねの痕跡を丁寧に消した結果なのかもしれない。自分の制作を振り返っても、何かを加えるより何かを消すほうがずっと難しい、といつも感じています。

個人的に制作者の端くれとして思うのは、この3年間はお互いが「The xxというフィルター」を一度取り外して、自分の音楽を純粋に探求した時間だったんじゃないか、ということです。

それぞれがまったく違う方向に走り、また同じ場所に戻ってくる。次のThe xxのアルバムは、今までのどれとも違うものになるはずだなと思いました。そして、それはおそらくずっと面白いものになる。

2025年、3人がスタジオに戻ったという写真がInstagramに投稿され、ファンの間で静かな興奮が広がりました。Romyはインタビューでこう語っている。「それぞれのソロプロジェクトからたくさんのことを学んだ。またお互いから学び合える」と。


2026年2月20日頃にはThe xx公式Instagramに意味深な投稿がありました。
サウスロンドンの地図のように見える画像にXマークを重ねたビジュアルとともに、「4月4日が久しぶりの最初のショー。月曜日にアナウンスがある」という趣旨のキャプション。

投稿には6万1千を超えるいいねが集まった。あの画像が新作へのサインだとしたら・・・・・そう受け取ってしまうのは私だけだろうか。



フジロック2026で体験すべき理由: 2010年から続く、16年の物語

The xxとフジロックの縁は深い。出演歴を整理するとこうなる。

  • 2010年 | ホワイトステージ レッドマーキー | 初来日・初出演

  • 2012年 | ホワイトステージ | 『Coexist』リリース前後

  • 2017年 | グリーンステージ | 『I See You』ツアー

  • 2026年 | グリーンステージ | 初日ヘッドライナー・再集結

2010年の初出演時、ホワイトステージレッドマーキーに立っていたデビューしたてホヤホヤのバンドが、16年を経てグリーンステージのヘッドライナーに立つ。すごいことだなと思います。音楽の世界で16年間、第一線であり続けることの難しさを考えると、なおさら。

前にフジロックでThe xxを観た夜のことは、今でも体に残っています。
人の熱気と夜の冷気、遠くで揺れる木々のシルエット。サビに入った瞬間、フロアから自然に歓声が上がったあの情景

音楽を「聴いている」というより、苗場の夜の空間そのものに包まれている感覚でした。今年、ヘッドライナーとして戻ってくるというニュースに高揚感が止まりません。


今年の出演の「三重の意味」

  1. 初のヘッドライナー——バンドとしてのキャリアの頂点に立つ瞬間

  2. 事実上の再集結——2018年以来、約8年ぶりのフジロック

  3. 新作制作中——ソロで蓄えた経験を持ち寄った、新しいThe xxの予告

行ける人は、ぜひ体験してほしいです。
行けない人も、この夏はThe xxの音楽をあらためて聴き直す理由として十分すぎる。ストリーミングの画面越しに、苗場の夜に思いを馳せるのも悪くないはずです。


フジロック2026までに聴いておきたい、The xx入門プレイリスト

はじめてThe xxを聴く方、久しぶりに触れる方、どちらにも向けた5曲選。

  1. Intro(『xx』収録)——まず最初にここから。歌詞ゼロのインスト曲なのに、なぜこれほど語りかけてくるのか

  2. Crystalised(『xx』収録)——The xxの代名詞。2分台の短さで完結する美しさ

  3. Angels(『Coexist』収録)——静寂の極致。夜中にヘッドフォンで聴いてほしい一曲

  4. On Hold(『I See You』収録)——ダンスと内省の交点。バンドの「変化」がわかる

  5. Waited All Night(Jamie xx feat. Romy & Oliver Sim)——再集結の予兆。この3人が戻ってきたことを実感できる

フジロック公式サイトでは最新ラインナップ詳細を確認できます。



よくある質問(FAQ)

Q1. The xxは今も活動していますか?
2025年に再集結し、4thアルバムの制作中と報じられています。2026年はCoachella(4月)・フジロック(7月)など世界の主要フェスに出演予定で、まさに活動再開のタイミングです

Q2. The xxのメンバーは何人ですか?
現在3人。Romy Madley Croft(ギター・ボーカル)、Oliver Sim(ベース・ボーカル)、Jamie xx(プロデュース・DJ)で構成されます。

Q3. The xxのおすすめ入門曲は?
私的選出ですが「Intro」「Sunset」「On Hold」の3曲から入るのがおすすめです。それぞれ1st・2nd・3rdのThe xxを代表しています。

Q4. フジロック2026のThe xx出演日はいつですか?
2026年7月24日(金)、初日のグリーンステージ・ヘッドライナー枠です。

Q5. The xxの新アルバムはいつ出ますか?
2025年時点で制作中と報じられていました。2026年中のリリースが期待されていますが、正式な発表はまだありません。最新情報はThe xx公式SNSでご確認ください。


おわりに

夜中に一人でヘッドフォンをつけて聴くThe xxも、もちろんいい。でも今年の夏は、あの苗場の夜の空気の中でもう一度あの音を聴いてみたいと思っています。風と木の葉の気配が混じる野外で。また、あの場所で。

The xxはデビュー当時、フライヤーを配らず、バンドをやっていることすら周囲に言わなかったといいます。

「知らなかった、MySpaceで見つけた」と言われる方が自然だと感じていた、というRomyの言葉がGuardianの記事に残っています。

「最小限の要素で最大の概念を表現する」という哲学は、音楽だけでなく存在そのものに貫かれていたのかもしれない。そのバンドが今夏、フジロックの初日ヘッドライナーに立つ。

2026年7月24日(金)、フジロック初日。楽しみにしています。



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参考・出典

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