#本日の一曲 : Nduduzo Makhathini - "Imvunge KaNtu" 〜 ポリリズムの向こうに、Ntuの宇宙がある 〜
こんにちは、こんばんは、Minimal Order(ミニマル・オーダー)です。 音楽に詳しい友人が「これは聴いておいた方がいい」と教えてくれアーティストがいます。南アフリカのジャズピアニスト、Nduduzo Makhathini(ンドゥドゥゾ・マカティーニ)。本日はその話を。
サンゴマの孫、Blue Noteのピアニスト
Nduduzo Makhathini は1982年、南アフリカ・クワズール=ナタール州のピーターマリッツバーグ(umGungundlovu)生まれ。幼少期、祖母からズールー族の伝統的な癒しの実践を学んだ。彼女はサンゴマ(Sangoma)、伝統的な霊的治癒師だった。
ダーバン工科大学でジャズピアノの学位を取得し、2023年にはステレンボッシュ大学で音楽の博士号を取得。2020年、Blue Note Recordsと契約した初の南アフリカ人アーティストとなった。同年リリースのデビュー作『Modes of Communication: Letters from the Underworld』はニューヨーク・タイムズ紙の「2020年ベストジャズアルバム」に選出。以来『In the Spirit of Ntu』(2022)、『uNomkhubulwane』(2024)と作品を重ねてきました。
"Imvunge KaNtu" は、2026年6月26日リリース予定の新作アルバム『The Myth We Choose』の先行シングル。18歳の息子 Thingo Makhathini との共同プロデュース作品で、Shabaka Hutchings や Black Coffee らも参加するこのアルバムは、彼のサウンドが最も広く拡張された一枚になりそうです。
ポリリズムの網の中へ
この曲に入った瞬間、何かが始まります。単純に進まない。ビートが重なり合い、ずれ、また合流する。ポリリズムが豊かで、展開が摩訶不思議。聴くほどに引き込まれて、飽きない。
楽器同士のコールアンドレスポンスが、全体に細かく埋め込まれている。
ピアノとリズムセクションが問いかけ合う、その小さなやり取りの心地よさ。インタープレイというよりも会話、それも親しい者同士の短いやりとりのような感触です。
彼の曲には、しっとりとシンプルな曲もあれば、アヴァンギャルドで熱情的な曲もあり。凡庸な言い方かもしれませんが、表現の幅が広いなぁと感じました。
「Ntu」という宇宙観
タイトルの "Imvunge KaNtu" は、アフリカの古代哲学「Ntu」の概念へのオマージュです。Ntu とは、すべての存在がつながっているという宇宙観。「Ubuntu(ウブントゥ)」〜私はあなたによって在る〜の根幹にある思想でもあります。
Makhathini は「ジャズの即興演奏は、見えないものとの音による対話である」と研究の中で論じてきた人物。サンゴマの孫として学んだ霊的実践と、ジャズの即興性が、彼の中では地続きです。この曲のハンドクラップ、アヴァンギャルドな音の重なり、語りかけるような声のフレーズ。それらはすべて、Ntu の宇宙観を音で体現しようとしている。友人がこれを「聴いておいた方がいい」と言った理由がわかった気がします。
プレイリストに編纂
Bonaccia Recordsのプレイリスト "Ensemble Energy" に追加しました。アンサンブルの熱量と対話が宿る楽曲を編纂しています。
それではまた!
出典
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