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勉強の本質は「忘れる」こと【#1】

 今までの勉強経験から考えたこと感じたことを書いていこうと思います。今回は、勉強の大原則についてです。


大原則「覚える・忘れる・思い出す」

 勉強はこの3つの繰り返し。「覚える」が重視されがちですが、ポイントは「忘れる」「思い出す」のほう。なぜなら、人は1回ではほとんど覚えられないから。下のグラフを見てください。

忘却曲線のイメージ

 見覚えのある人も多いと思います。学期の始めとかに先生が「復習をしっかりしましょう」と伝えるときの定番グラフです。「人は1時間で半分忘れる」とも言われますが、それは個人個人や覚えるコトによって差があるので、どうでもいい。このグラフからわかってほしいのは2つ。

1. 何もしなければ忘れる
2. 思い出すたび忘れにくくなる


「覚える」

 勉強は暗記ゲーです。こういうと、「勉強は暗記じゃない、原則をつかんで応用していくんだ」って反論する人もいます。たしかにそのとおりですが、そのためにはその原則を覚えなければいけないわけで、結局暗記なのです。もちろんここでの暗記は、「数学の解答を一字一句覚える」とかではないですよ。
 
 勉強の第一段階は「知る」です。たぶん多くの人が「知る」ことは好きだと思います。雑学系の動画を見たり、週刊誌を買ったり。知的好奇心とか野次馬根性とかいうやつです。でも勉強が好きな人は少ない。なぜなら勉強の場合、「知る」とセットで「覚える」がもれなくついてくるからです。

 「知る」と違って「覚える」は労力を必要とします。その理由はさっきグラフで見たとおり、

1. 何もしなければ忘れる

から。つまり、「知る」は1回きりなのに対して、「覚える」は継続的な努力が必要なのです。ここでもう1つのキーワード、「続ける」です。


ー「続ける」

 僕は、この「続ける」こそが成長に不可欠な要素であり、「つらい」の根源であると思います。勉強に限らずスポーツでも仕事でも創作でも、何かができるようになったりうまくなったりするためには「続ける」ことが必要です。「できる」のは才能ですが、「できるようになる」のは努力です。僕には続けないタイプの努力が思いつかないので、努力とはすべて「続ける」もの、としておきます。

 そして「続ける」は「つらい」の根源。「怖い」とか「痛い」とかに比べて「つらい」は継続的な感じがしませんか?筋トレ中に「つらい」っていうのは普通ですが、固い瓶の蓋を開けるときに「つらい」っていうのはなんかおかしい。僕は、「つらい」は「続ける」から生まれる感情ではないかなと思うんです。1回きりでは「つらい」は生まれない。
 
 例えば、野球が好きで野球部に入った人が2か月後に「部活行きたくねー」って言っているのは、野球が嫌いになったのではなくて、「続ける」ことが「つらい」からだと思うんです。週1で友達と野球しているだけだったら、もちろん「つらい」なんて思わないです。
 キッザニアが楽しいのは、いくつも仕事を変えられるから。現実みたいに同じ仕事を続けさせたら、子供たち泣いて帰ります、つらくて。

 
 「続ける」が「つらい」理由、いくつかあると思います。新鮮味がなくなるとか飽きてくるとか。でも一番大きいのは、成長を実感できなくなることだと思います。例えば、ゲームのミッションって、最初はポンポンとクリアできるのに、ゲームが進むにつれて、より多くの時間・労力・スキルが必要になってくるじゃないですか。そんな感じで、続けていくほど力がつくまで時間がかかるようになるし、続けている最中では力がついているかわからない。だから「つらい」と思うんです。

 しかし残念ながら、その「続ける」が前提となっているのが勉強なのです。だから当然「つらい」。


「忘れる」

 話が「続ける」に逸れましたが、勉強の大原則「覚える・忘れる・思い出す」に戻りたいと思います。このうち最重要は「忘れる」こと。「忘れる」をコントロールすることこそが、勉強の秘訣です。

 勉強の最終目標って何ですか? 人それぞれですが、受験にしろ資格検定ににしろ、概して正しい知識を披露することが目的だと思います。だから、披露すべきときに知識を正しい状態で保持していなければいけない。これ、

1. 何もしなければ忘れる

この原則からして不可能に近いわけです。学校のテストも大学受験も、1日で1周できる試験範囲ではないし、仮に前日にすべての範囲を確認したとしても寝て起きたら大半は忘れると思います。

 ではどうするのか。知識が曖昧な状態で挑むしかない。試験会場に集められた人々は、みんな知識が曖昧になっていく只中にいます。そのなかでどういう人が合格するのか。知識をなるべく正しい状態で持っていた人です。言い換えると、知識を忘れるスピードがより緩やかだった人、が試験では勝ちます。試験は、「忘れない」勝負ではなくて、忘れるスピード勝負です。だから、試験当日に向けて自分の忘れるスピードをコントロールしていくこと、これが勉強のコアなのです。

 では、忘れるスピードを緩やかにするにはどうすればいいのでしょうか。この原則を思い出してください。

2. 思い出すたび忘れにくくなる

そうです、たくさん思い出せばいいのです。


「思い出す」

 やっと最後の項目にたどり着きました。あともう少し。

 今、「たくさん思い出せばいい」という結論を出しましたが、実は「思い出す」は量だけでなく質も重要になってきます。量については、なるべくいっぱい、としか言いようがないので、ここでは質について説明していきたいと思います。むやみやたらと思い出せばいいわけではありません。

 次のグラフを見てください。〈A〉〈B〉〈C〉のうち、「思い出す」タイミングとしてどれが1番効果的だと思いますか?

 正解は… 〈B〉 です。
 まず〈A〉と〈B〉を比べてみましょう。ここで大事なのは、脳への負荷です。脳への負荷が大きいほど記憶に残りやすくなる、というのは感覚的に理解しやすいと思います。つまり、「わからないわからない」と悶え苦しみながら捻りだされた答えは、たとえそれが間違っていたとしても、正しい答えが記憶に残りやすいのだそうです。負荷をかけるほど記憶を定着させやすい。これは、勉強が「つらい」一因にもなっていると思いますが、とても大事なことです。

 そしたら1番負荷の大きい〈C〉が1番効果的なんじゃないの?って思いましたか。ここで注意してほしいのは、〈C〉が「思い出す」ではなく「知る」になってしまっている点です。〈C〉の復習のタイミングでは、覚えている割合がほぼ0になっています。つまりほぼ何も覚えていない状態。何も覚えていないことを「思い出す」ことはできません。「思い出す」とは、かすかに覚えていることの解像度を上げることで、そこの負荷が記憶を忘れにくくさせます。覚えている割合が0のときに復習をしても、それは「思い出す」というよりも「知る」に近いので、忘れにくくはなりません。同じスピードで忘れていきます。勉強のゴールは忘れるスピードを緩めることなので、復習しても忘れるスピードが変わらないなら、それは完全に無駄な復習です。


まとめ&次回予告

 かなり長くなってしまいましたが、要は、「覚える・忘れる・思い出す」が勉強の大原則で、注意すべきは「覚える」よりも「忘れる」ことだということです。そして勉強は「続ける」ことであり「つらい」ことであるということ。
 最後には「思い出す」タイミングを説明しましたが、そのタイミングの見極め方が実は曲者で、そこについては【#1補足】として別の記事にしたいと思いますので、そちらもぜひお読みください。


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