MVP ARCHIVE SCIENCE | Measuring the Universe Phase 03-07 : Gravitational Waves / 重力波 - 時空のさざ波をとらえる


重力波 - 時空のさざ波をとらえる
Gravitational Waves — Measuring the Universe Through Space-Time
長い間、人類は宇宙を「 光 」によって観測してきた。
可視光、電波、赤外線、X線、ガンマ線。
どれも電磁波であり、宇宙を知るための主要な手段だった。
しかし2015年、人類は初めて「 光ではない方法 」で宇宙を観測することに成功した。それが 重力波 である。
重力波 とは、巨大な質量を持つ天体が激しく運動するときに生じる、時空そのものの僅かな歪みである。
1916年、アルベルト・アインシュタイン は一般相対性理論の中でその存在を予言した。
しかし、そのゆがみは極めて小さく、100年以上もの間、直接観測することはできなかった。
転機となったのが、LIGO( レーザー干渉計重力波天文台 )である。
2015年、LIGO は約13億光年彼方で起きた二つのブラックホールの合体によって生じた重力波を世界で初めて検出した。


レーザー干渉計は、長さ4kmの真空トンネル内を往復するレーザー光を用いて、原子核よりもはるかに小さな時空の伸び縮みを測定する。
この観測によって、人類は「 宇宙を見る 」のではなく、「 宇宙の振動を聞く 」という新しい観測手段を手に入れた。
その後、ブラックホール同士だけでなく、中性子星の合体も重力波によって観測され、同時に光でも観測されることで、宇宙現象を複数の方法から解析する「 マルチメッセンジャー天文学 」が大きく発展した。


Measurement Series Phase 03 において 重力波 は、「 時空そのものを測る技術 」を象徴している。
人類が測る対象は、地球から太陽系へ、銀河へ、宇宙へと広がってきた。
そして今、測る対象は天体だけではない。
宇宙を形づくる時空そのものへと到達したのである。
重力波 は、宇宙が発する最も静かな振動であり、人類が獲得した新しい宇宙の物差しである。
光だけでは見えなかった宇宙が、時空のゆらぎを通して観測できるようになったことは、人類の認識範囲をさらに大きく広げる転換点となった。

