MVP ARCHIVE NASA | SEARCH FOR LIFE Phase 01-02 : Viking Biology / 火星で初めて生命探査実験を行ったミッション

火星で初めて生命探査実験を行ったミッション
1976年、NASA の Viking 1号 と Viking 2号 は火星に着陸し、人類史上初めて、地球外の惑星表面で生命探査実験を行った。
Viking計画 の目的は、火星を撮影することだけではなかった。
火星の土壌を直接採取し、そこに微生物のような生命活動の兆候があるかどうかを調べることが、大きな科学目標の一つだった。
Viking 火星土壌分析
Viking の着陸機には、火星土壌を分析するための生物実験装置が搭載されていた。実験では、土壌に栄養分を与えて反応を見る方法、ガスの発生を調べる方法、光や二酸化炭素を使った反応を見る方法などが行われた。
その結果は、単純なものではなかった。
一部の実験では、生命活動を思わせる反応が確認された。特にLabeled Release実験では、火星の土壌に栄養液を加えると、放射性標識されたガスが発生し、微生物による代謝の可能性が議論された。
しかし同時に、別の分析装置では生命に必要とされる有機物が明確には検出されなかった。
そのため、Viking の結果は「 生命を発見した 」とは結論づけられなかった。NASA も、Viking の生物実験は火星土壌に予想外の化学反応を発見したが、着陸地点周辺に生きた微生物が存在する明確な証拠は得られなかったとしている。
曖昧さの重要性
この曖昧さこそが、Viking Biology の重要性である。
Viking は失敗したわけではない。
むしろ、火星の土壌が地球の土壌とは大きく異なる化学的性質を持っていることを示し、生命探査には「 生命らしい反応 」と「 非生物的な化学反応 」を慎重に見分ける必要があることを明らかにした。
後の探査では、火星土壌に過塩素酸塩などの反応性の高い物質が存在することも分かり、Viking の結果を再解釈する研究が続けられている。
近年の研究でも、Viking の実験結果は生命の証拠として断定できるものではなく、火星表面の化学反応として説明できる可能性が議論されている。
サイエンスディレクト
それでも、Viking Biology が残した問いは今も消えていない。
火星に生命は存在したのか。
現在もどこかに存在する可能性はあるのか。
生命を探すには、何を測定すればよいのか。
Viking は、火星生命探査の答えを出したミッションではなかった。
それは、人類が初めて別の惑星の土に問いかけたミッションであり、現在のMars Exploration、Astrobiology、Mars Sample Return へと続く生命探査の出発点だった。
