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​【告白】「このご夫婦は5年後、破綻する」と分かっていながら、私は今日もお客さまに家を売る

​こんにちは。都内の不動産仲介会社で働く、入社2年目の新米宅建士です。

​2026年5月。

今日の東京はとても綺麗な青空が広がっていましたが、私の心の中には、ずっと冷たくて重い鉛のようなものが沈んでいます。

​さきほど、あるご夫婦のマンション購入のご契約を無事に終えました。

「新米さんのおかげで、憧れのタワマンに住めます!本当にありがとうございます!」

そう言って、奥様は私の手を握って涙ぐんで喜んでくださいました。旦那様も、誇らしげな笑顔を浮かべていました。

​でも、私はその笑顔を見るたびに、胸が締め付けられるような罪悪感に襲われます。

心の中で、声にならない言葉を叫んでいるからです。

​(本当に、これでよかったんですか……?)

​「50年ペアローン」という甘い毒

​今、不動産業界はかつてない逆風の中にいます。

中東情勢の長期化によるインフレ、建築資材の異常な高騰。そして何より、住宅ローン金利の急上昇。
一昔前は「固定金利1%台でも高い」と言われていたのに、今や大手銀行の10年固定は3%前後まで跳ね上がっています。

​首都圏の新築マンションの平均価格は、まもなく1億円を突破しようとしています。

普通に考えたら、買えるはずのない値段です。

​では、どうやって買っているのか?

**「50年ローン」と「ペアローン」**です。

​今日契約していただいたご夫婦も、世帯年収を限界まで合算し、50年という途方もない期間でローンを組みました。こうすることで、月々の支払額を「薄める」ことができるからです。

「今の家賃プラス数万円で、憧れのマイホームが手に入りますよ」

そうやって背中を押すのが、私たち営業の仕事です。

​でも、プロの目から見れば、彼らの資金計画が「綱渡り」であることは一目瞭然です。

マンションは買って終わりではありません。数年後には修繕積立金や管理費が確実に上がります。
固定資産税の支払いがあり、やがてお子さんが生まれれば教育費が跳ね上がります。

​50年ローンの総返済額の恐ろしさ。そして、もし変動金利が上がった時のリスク。

「このままだと、おそらく5年後には家計がショートする」

その事実を喉の奥に押し込んで、私は今日も笑顔で契約書にハンコをもらっています。

​競売と任意売却に追い詰められる同世代たち

​私がこんなに怯えているのには、理由があります。

最近、社内に入ってくる「任意売却(任売)」の相談案件が異常に増えているからです。

​ニュースでも報じられていますが、20〜30代の若い「パワーカップル」のローン破綻がここ数年で急増しています。任意売却の相談件数は、わずか3年で1.5倍に跳ね上がったそうです。

​ペアローンは「お互いが健康で、今の高収入を維持し、絶対に離婚しない」という奇跡のような前提の上に成り立っています。

しかし現実は残酷です。病気やリストラで片方の収入が途絶えたり、すれ違いから離婚を選んだりした瞬間、この魔法は解け、地獄に変わります。

特に私のように精神を病んで伴侶さんが働けなくなったら、、、。

​ローンが払えなくなり、督促状におびえ、最後は裁判所に家を差し押さえられて「競売」にかけられる……。
あるいは、競売を避けるために、プライバシーをかなぐり捨てて市場価格で売りに出す「任意売却」にすがるしかない。

​そんな同世代の悲惨な末路を目の当たりにするたびに、私は自分が「彼らを崖から突き落とす手伝い」をしているのではないかと、夜も眠れなくなります。

​それでも、売らなければ「ただ働き」になる

​「じゃあ、本当のことを言って止めてあげればいいじゃないか」

画面の向こうのあなたは、そう思うかもしれません。

​でも、できないんです。

​今の不動産営業の現場は、本当に過酷です。銀行側も貸し倒れを恐れて審査を厳格化しており、昨日まで通っていたはずの属性の人たちが、容赦なく審査で弾かれるようになりました。

​案内をして、ローンの仮審査をして、落ちて、また銀行を探して……これまでの倍以上の労力をかけて、やっとの思いで本審査を通す。

私たち仲介業者は「完全成功報酬」です。
どれだけお客さまのために走り回っても、契約が成立しなければ、1円にもなりません。完全に「ただ働き」です。

​毎月の厳しいノルマ。上司からの詰め。

「買える(ローンが通る)お客さまがいるなら、絶対に逃すな」という無言のプレッシャー。

​だから、5年後の破綻リスクに気づいていても、「銀行が審査を通したんだから、大丈夫ですよ」という魔法の言葉で、自分とお客さまを騙してしまうんです。

​私は、どんな宅建士になりたかったんだろう

​今日のご夫婦を見送った後、トイレの個室で少しだけ泣きました。

​宅建の資格を取った時は、もっと純粋にお客さまの「幸せな暮らし」をサポートできる仕事だと思っていました。

でも今は、自分の数字のために、お客さまの未来を担保にしているような気がしてなりません。

​この「不動産崩壊前夜」とも言える狂った相場の中で、私はどう生き残ればいいのでしょうか。

いつか、「今は買うべきではありません。予算を下げましょう」と、お客さまの目を見てはっきり言える強さと実力を持ったエージェントになりたい。

​そう願いながら、私は明日もまた、分厚い契約書の束をカバンに詰めて満員電車に乗るのだと思います。

わたしは平和な時代の哀戦士💦 実はガンダムオタク😆

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