【河内長野市】昔の河内長野をジオラマ作りで体験!ふるさと歴史学習館で知的好奇心高まるワークショップ
短歌
ジオラマを 作る楽しみ 得る夏に 完成するの 過程も楽し
(じおらまを つくるたのしみ えるなつに かんせいするの かていもたのし)
所感
今回のテーマは、歴史の足跡として原寸大の復元は資金労力面などでとても難しく、絵や写真だけではわかりにくい問題を解決するのが立体的なジオラマです。専門家が数か月かけて作る本格的なジオラマをみんなで作ろうと簡単なものを1日で作るワークショップです。子供偏ということで小中学生とその親御さんが参加していましたが。みんなで作る体験は楽しそうというのが横で見ていても伝わりました。
本文
古墳や城跡など歴史的な建造物など現存しているものがある一方、すでに消滅していながらも様々な証拠が残っているために、かつてそこにはこんなものがあったと紹介されることが少なくありません。

中には、復元(過去の姿を再現)や復原(当時の建築技術や材料を可能な限り忠実に再現した復元)という方法で、かつて存在した建造物を再建する例があります。例えば奈良の平城宮も第一次大極殿や朱雀門などが復原(外部リンク)されています。

しかし、かつてのものをそのままの大きさで再建・復元するのには相当な時間や人力、時間が必要なので、実際にはなかなかできません。画像は富田林の新堂廃寺跡ですが、ここも跡地としてのスペースを残すのが精一杯です。まだこれはましな方で、例えばその場所が誰かの私有地であれば、それすらもできません。

そんな中、当時の様子を再現してわかりやすく紹介する方法のひとつとして、ジオラマがあります。画像は大阪お城フェス2024で登場した烏帽子形城の当時の様子を資料に基づいて再現したもので、当時の山城の様子が良くわかります。

河内長野のふるさと歴史学習館に行けば、このようなジオラマを学芸員の皆さんが作ったものが展示され、当時の村のようすがよくわかるようになっています。

中には、現存する石碑を等身大の大きさに再現したものも展示されていました。これはジオラマではありませんが、石碑の歴史を感じさせる汚れ具合なども見事に再現できているのが凄いと思いました。

しかし、河内長野はただ学芸員さんが精巧に再現してしたジオラマの展示だけではなく、さらに一歩進んだワークショップを行っているという情報を得ました。それはジオラマ作り体験をみんなで楽しみながら学ぼうと言う試みです。

ジオラマ体験作りは、子ども編と大人編があります。先に子ども編(小・中学生が対象)が行われると言うことで、この前の17日日曜日に会場のふるさと歴史学習館に行って来ました。

なお、次の24日日曜日13:30~16:00に大人編(高校生以上)があります。ふるさと歴史学習館の話では若干の空きがあるかもとのことでしたので、興味ある方はふるさと歴史学習館に問い合わせてください。

ということで、ふたつの講座室を使ってジオラマ作りの実習が行われていました。

講座室の様子です。

この日はこちらのジオラマを作る体験ワークショップが行われていました。これは河内長野駅近くにかつてあった木屋堂(こやどう)と呼ばれていたところです。

こちらの中央の建物は木屋堂のメインの建物で、主に高野山に行き帰りする人たちの宿泊や休憩の施設だったそうです。そして右下の木々に囲まれていたのが長野神社です。かつて木屋堂の宮と呼ばれていたそうで、1868(明治元)年に現在の長野神社に改称した(外部リンク)とのこと。

そして長野神社の位置や川の流れは、当時も今も同じです。近くに石川と天見川の合流地点があり、今はマンションが建っているところが材木の集積場だったそうです。

長野神社の鎮座している位置と川の流れは当時も今も同じことから、木屋堂のメインの建物の位置がどのあたりかある程度推測できました。

長野神社のすぐ隣でその先に合流した直後の石川が流れているところから、5月にCARDAYSイベントが行われて、スーパーカーの展示があったノバティながのの駐車場付近にあったと考えられます。

さて、こちらの資料は当日の参加者に配られたものです。

具体的な作り方が書いてあります。

土台になる樹脂です。これを熱線カッターを使って裁断して山を作ります。カッター自体を発熱させて素材を溶かしながら切断するので、きれいに切れて切りくずなども出にくいとのこと。そしてカットしたものを上に載せることで山に見立てるわけです。同様に川も熱線カッターで溶かしながらくぼみを作るわけですね。

そして山の形について面白いことを聞きました。山そのものは自然の複雑な形をしているので、仮に最初切断で多少失敗したとしてもそれは致命的ではないといいます。つまり参加者によって山の形の違いがあったとしても、それには味わいがあるから問題ないそうです。

そしてこのようなものが用意されています。これはジオラマの中に設置する民家やお店ということで、これを切ってボンドでくっつけて作っていきます。

非常に細かい作業です。ジオラマに利用する民家の大きさはピンセットやお子さんの手の大きさと比べてもいかに小さいかがわかります。

ある程度の器用さも必要ですが、もしかしたら大人よりも子どものほうが得意かなと思ったりもします。

こうして民家や家が作られていき、ジオラマの中に設置していきます。

次に土台も塗っていきます。最初に最も低い川を塗り、次に道路を避けた土の部分を塗ってから道を塗るとのこと。ただし、直接土の色を土台に塗るのではなく、砂に土の色を塗ったうえで配置して固定させるように乾かします。

画像右上に砂が見えますが、砂を加えるとジオラマのリアリティ感があります。最後に山の部分を緑に塗るとのこと。

紙皿をパレットに山の緑、川の青、道の白、そして土色とあって塗っていきます。

色の塗り方も参加者によって違いがありますが、そこは人それぞれの感性もあるのかなと見ながら感じました。

木もそれらしさを出すためのジオラマ用のスポンジ(ジオラマ素材)を使っています。木の幹の部分は針金を使って、それに素材のスポンジを貼り付けることで再現しています。

このように山に取り付ける木が次々とできていきます。非常に根気がいる作業だと感じました。

木の色もひとつの緑だけを使うのではなく、リアリティさを出すために少し黄色がかった緑の素材を入れることが大事です。応用編として黄色やオレンジ、赤い木を入れると、紅葉の季節が再現できますし、ピンクの木なら桜が再現できますね。

そして町の人たちを作るのですが、これが面白いやり方です。

クッキングシートの上にプラバン(クラフト用のプラスチック板に絵が描かれている)を載せてトースターに入れて温めるとのこと。そうすると縮んで半分くらいの大きさになるそうです。

そうするとこんな大きさに縮まります。これをジオラマ内に設置していくわけですね。そしてあらかじめ作っておいた建物や木も含めて設置していけば木屋堂のジオラマが完成します。

私が訪問した時は仕上げ前の段階でした。お子さんに混じって親御さんも楽しそうにジオラマ作りに参加しておられました。根気がいる作業ですが、知的好奇心が高まるワークショップだと感じました。

堺から来たというお子さんに少しお話が聞けました。河内長野の印象を聞くと「堺はお店や家だらけだけど、河内長野には森がある」とっても良い印象を持っていました。

この日ふるさと歴史学習館のスタッフは6名いましたが、ほかに在籍者は3名いるとのこと。それぞれ得意分野があるので、お互い得意分野を補完しながらジオラマ作りや今回のジオラマ作りワークショップのお手伝いをされていました。ちなみに子どもの部は定員以上の申し込みがあったため、抽選となったそうです。

あまり長居すると作業の邪魔になるので、私はここで帰りました。冒頭にも触れましたが、24日に行われる高校生以上の大人の部(13:30~16:00)も残席はあとわずかです。興味がある方はふるさと歴史学習館(0721-64-1560)に問い合わせましょう。

最後に、観心寺のジオラマを拝見しました。これは半年かけて作られたものですが、基本は今回のジオラマづくりワークショップと同じです。ただ金堂や建掛塔(たてかけとう)のようなオリジナルな建物以外の「子院」と称された小さな付属寺院の建物をひとつひとつみても凄いです。よく見ると、さらに小さな塀も取り付けられて、塀に囲まれたそれぞれの庭にはそれぞれ趣が異なる個性的な木が植えられています。見れば見るほど精巧にできていると感じました。

ふるさと歴史学習館
住所:大阪府河内長野市高向2230-5
アクセス:道の駅奥河内くろまろの郷バス停から徒歩8分、下高向バス停から徒歩15分
