創作ノート 四|何かの関係になりたくない、けど君が好きと言い続ける男を書いたあとに、書いていて一番意外だったこと
書いていて、一番意外だったのは、
「扉」という言葉が、
自分から出てきたことだった。
書く前まで、
あの関係をそう例えたことなんて、
一度もなかった。
でも書きはじめたら、自然に出てきた。
閉めたら、もう来ない気がした。
だから、開けておいた。
その言葉を書いた瞬間、
気づいたことがある。
私は、
あの関係を「続いていた」と思っていたけれど、
本当は、
「閉めなかっただけ」だった。
留学して、彼が卒業して、就職して。
何年も間が空いても、帰ってくれば、
また入ってきた。
それを私は、「縁がある」というふうに、
ずっと思っていた。
でも書きながら分かった。
縁があったんじゃない。
私が、一度も閉めなかっただけだった。
「何かの関係になりたくない。でも君がずっと好きだ。」
その言葉を、
何年も聞き続けられたのも、
私が扉を開けたままにしていたからだ。
彼のせいにできない。
聞き飽きるまで、私は開けていた。
聞き飽きて、ようやく閉めた。
それだけのことだったのに、
書くまで、「扉」という言葉の意味を、
自分でちゃんと考えたことがなかった。
書いて、初めて分かった。
私は、閉められなかったんじゃない。
閉めるまで、時間がかかっただけだった。

▶︎元になった作品はこちらです。
私が出会った愛すべき男たち|何かの関係になりたくない、けど君が好きと言い続ける男
