私が出会った愛すべき男たち 一|財布も携帯も失くして消えた男
ーーー新シリーズ。私の中に残っている男たちの話を書いていきます。
彼は、友だちの友だちだった。
目線だけで、
私に気があることはすぐ分かった。
一軒目を飲み終えて、友だちとは別れた。
そのまま、二人でもう一軒。
何も話し合っていないのに、
タクシーを呼んで、私の家へ来た。
家に着くと、ホテルみたいに
当たり前の顔でシャワーを浴びた。
それから、
その日会ったばかりの彼と寝た。
彼はかなり酔っていた。
「付き合いたい。」
そう言った。
その日に会って、
その日に寝た女に。
ここからが大騒ぎだった。
「財布がない。」
「携帯もない。」
タクシーに忘れてきたらしい。
でも、
車のナンバーも、車種も分からない。
タクシー会社も分からない。
「探してくる。」
そう言って、
慌てて出て行った。
もちろん、
帰ってこなかった。
私は呆れた。
というより、
最初から期待していなかった。
数日後。
友だち経由で私の連絡先を聞いたらしく、
彼から連絡が来た。
でも残念。
もちろん、
付き合うわけない。
……体の相性は、
悪くなかったけどね。

▶︎この作品を書いたあとに考えていたこと
創作ノート|財布も携帯も失くした男を書いたあとに、考えていたこと
