夫の正体|土曜日がなくなった
最近、
夫の休みが減った。
土曜日の朝も、
平日と同じ時間に目覚ましが鳴る。
私はまだ布団の中にいて、
夫だけが着替えている。
「じゃあ行ってくる。」
それだけ言って、
家を出る。
玄関のドアが閉まってから、
今日が土曜日だったことを思い出す。
帰ってくる頃には、
Tシャツの色が変わるくらい、
汗をかいていた。
慣れない肉体労働で、
身体中が痒いと言う。
夜になると、
隣から背中を掻く音がする。
私はまだ、
仕事が決まらない。
お見送りメールを閉じて、
また求人を開く。
また駄目だった、と言うと、
「そっか」
夫はそれだけ言った。
早く決めて、とも言わない。
大丈夫だよ、とも言わない。
次の土曜日も、
平日と同じ時間に起きていた。
夫は、
収入が減ると焦る人だ。
だから、
働き始めたのだと思う。
それだけでは、
ないのかもしれない。
私を責めるより、
自分が働く方が早いと、
思っただけかもしれない。
脱いだシャツを、
ほかの洗濯物と分けた。
汗で重くなっていた。
あの人は、
私に何も言わないために、
土曜日を減らしたんだろうか。

