その森は美しくみえる。
日本の国土の3分の2は森林であり、そのうちの4割は人工林である。
「間伐材」はそんな人の手によって作られた木々なのだ。
人工林と天然林
ここで初めに日本の山林の2種を確認しておきたい。
「人工林」は人が木を植えて作った森林
「天然林」は自然のままの森林
今回のテーマは「間伐材」と「森林」ということで、この「人工林」に焦点を当ていきたい。
生きるのに必要な資源と、間伐
人工林は元々存在していたが、戦後より多く作られるようになった。それは経済を支える大切な役割を担うためだった。
国民病とも呼ばれる(?)花粉症は、この時大量に植えられた杉たちのおかげである。「むむむ、なんてことをしてくれたんだ」とも思うが、この経済成長の上に生きているので文句も言えないのである。
先人たちはきっと一生懸命で、まさかパウダー状の花粉がこんなことになろうとは夢にも追わなかっただろう。自然って人間の考えをまさかの方向から超えてくる。
人工林は人の手によって作られたものなので、手入れをしないといけない。放っておくとぼーぼーになって、良くない森になってしまう。田んぼや畑のように人の手によって綺麗にしなくてはならないのだ。
植物を育てていると、大きく育てるために「間引き」を行う。家庭菜園や小学校の授業で経験している人も多いかもしれない。過密しすぎるとしっかり育たなくなるので、大きく育ちそうな立派なものだけを残してあとは採ってしまうのだ。
一見かわいそうに感じるが自然界でも生存競争があるように、人の手でも起こっている。
去年ミニトマトを育てていたのだが間引きの時期が来てしまい、泣く泣く引っこ抜いた。心苦しいが夏の楽しみのためなのである、ごめんよ!
人工林でもこれと同じようなことが行われていて、それが「間伐」(かんばつ)である。その間伐からでた気が「間伐材」(かんばつざい)だ。

長く使うということがエコ
シンプルでおしゃれな雑貨屋さんで「間伐材」を使った商品が陳列されていた。
木製品は温かみがあり好む人多いと思う。木目調のデザインや、小物など多く見かけるが「間伐材」を利用した小物を見る機会は少ない。それが「エコロジーで環境にやさしい」を謳うとは新しい戦略である。なんだか「地球にやさしい」といわれると惹かれるのは僕だけじゃないはず。それは「良いことをした」という自尊心もをくすぐることもあると思うし、環境問題が身近になっているからという背景も欠かせないだろう。
価格など個人差はあるが、「環境に悪い<環境に良い」を求めるのは当たり前に近い感覚になっていると感じる。
間引きで生まれた間伐材は再生可能エネルギーや、細かくして他の製品に生まれ変わることが多いらしい。本来は表立って出てこない影の存在で、僕たちはそんな木々にも生活を支えられている。
木材チップとして再生可能エネルギーとして燃やされ、二酸化炭素を排出しながらエネルギーになることもあるらしい。でもそれってどうなんだろう、て思うなあ。。。
それなら木のまま製品になって残る方が炭素を蓄積しているので環境にやさしい、と言えるのは正しいのかもしれない。
難しく考えすぎてもんもんとしながら店を出た。僕は怪しいお客さんに見えただろう。
どんな森も木がある
人工林がよく問題として取り上げてられるのは「手入れ」が行なわれない、鬱蒼とした森になってしまうから、だ。

今回読んだ『森林で日本は蘇る 林業の瓦解を食い止めよ』の著者である白井裕子さんの意見を参考にさせていただく。
天然林はもちろん、人工林も手入れすれば、多くの樹種に恵まれる。人工林も手入れすれば、天然林に劣らない。日本列島は、森林資源の豊かさと多様性では、潜在的にたいへん恵まれている。
と書かれていた。なるほど、人工=自然じゃない、と思っていたがそんな単純な話ではないのかもしれない。人工林と言えど自然の一部なのだ。
海外の森林や林業を研究してきた白井さんの考えは、僕にとってとても勉強になった。林業は政治や経済といった難しい問題も抱えることが多いが、イメージしやすい文章と海外と日本の比較もとても参考になった。気になった方はぜひ手に取って欲しい。
おっと話が逸れすぎました。日本の森林に戻します。
つまり日本の林業に携わる人が減っていき、人工林が放置されたりし大ピンチに陥っているのが現実である。
僕は経済問題に疎いので割愛するが、日本の森と自然には欠かせない問題になっている。
天然林の多様性
生き物の観点から見ていこう。人間のために作られた人工林は、山に住む生き物たちに影響を及ぼしている。本来そこに存在していた多種多様な木々が人工的に植えられた木々によって居場所が奪われ、生態系が崩れているのだ。
日本の森は豊かである。
それはさまざまな広葉樹ナラやブナ、カエデなどの木々が存在しそこに様々な生き物が集まっていた。山に住むクマやイノシシといった哺乳類だけでなく、木々を行き来する野鳥もそうである。そして森の存在に欠かせない腐葉土をつくる小さな生き物たちはどうだろう。目に見えないほどの菌類だってそこに存在したのだ。
実際に絶滅していく生き物たちがいる。
僕たちの肉眼で感じれるのなんてほんの一部で、見ようとしないと見えてこない子達が大半だ。
倒れてしまった木は土に還る。
土に還るには朽ちていくのだが、朽ちるには小さな生き物や菌たちが欠かせない。
彼らの働きはゆっくりであるが確実に行なわれており、好みがある。この種の木と仲が良く、この木では分解ができない、と好みがあるのだ。それは生きていく上での生存戦略である。
倒れた大きな木々から新しい命の始まりの音がするのだ。

温泉に行ったりキャンプにいたり、僕たちは自然がすきだ。
綺麗な川も山もきっと好きだ。
この見ている景色も見方を変えるといろんなことがわかってくる。
うーん、上手に伝えられたかな。
森林問題は深い。
会社に行って仕事して普通に生きる人間が、山のことを考える機会は多くないと思う。僕も今まで生きてきて全然知らなかった。
人工林は林業と深い関わりがあり、日本の経済とも深い関係がある。
森林税やら再エネ還付金やら、記憶に新しい。
生き物がすきだからの理由で森林に興味をもって、林業に携わる方の視点からも知識が欲しく、紹介させていただいた本を読んだりしました。
少しでも日本の森林と生物について、みんなの謎がクリアになると嬉しいです。
※毎週木曜日に更新予定。
次回は、「カメ」について書いていきたいと思います!もしもしカメよ、カメさんよー。
*インスタで墨擦って吸って描いてます!たくさん見るにはリンクから↓
【参考文献】
白井裕子(2021)『森林で日本は蘇る 林業の瓦解を食い止めよ』新潮社
深澤遊(2023)『枯木ワンダーランド 枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系』築地書館
【参考サイト】林野庁「間伐とは?」、「林業・人工林が森林の生物多様性に及ぼす影響」、「森のQ&A」

