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トークンって、結局なに?

コイン、ポイント、株とは何が違うの?


第一章 何度も見てきたのに、「トークン」がよく分からない

Web3について調べていると、

トークン

という言葉が、本当によく出てきます。

ガバナンストークン。

ユーティリティトークン。

セキュリティトークン。

NFTも、

Non-Fungible Token。

前回のステーブルコインでも、

別のトークンとの交換という話が出てきました。

ここまでWeb3について調べてきた私も、

「トークン」という言葉を何度使ったか分かりません。

なんとなく、

意味も分かっているつもりでした。

でも、ふと考えました。

トークンって、結局なに?

暗号資産のこと?

コインとは違うの?

ポイントみたいなもの?

NFTもトークンなら、

画像のこと?

調べてみると、

「トークン」という言葉は、驚くほどいろいろなものに使われています。

だから今回は、

一度きちんと、

この言葉そのものを調べてみることにしました。

すると、

トークンは単なる

「デジタルなお金」

ではありませんでした。

むしろ、

「何かを表すもの」

と考えると、

少しずつ正体が見えてきました。


第二章 もともと「トークン」は、お金ではありません

Tokenという英単語には、

もともと、

「しるし」

「証拠」

「象徴」

「代わりになるもの」

といった意味があります。

例えば、

昔の交通機関やゲームセンターなどで使われていた専用のコイン。

それ自体は、

普通のお金ではありません。

でも、

「これを持っていれば乗れます」

「これを入れればゲームができます」

という意味を持っています。

つまり、

何か別のものを表す

「しるし」

です。

Web3のトークンも、

この考え方で見ると少し分かりやすくなります。

ブロックチェーン上に、

「このウォレットは、このトークンをいくつ持っている」

という記録がある。

そして、

そのトークンに意味を持たせる。

サービスを利用するために使える。

投票に使える。

何かと交換できる。

コミュニティへの参加資格になる。

デジタル作品や権利との関係を表す。

さまざまな役割を持たせることができます。

ここで私は、

少し見方が変わりました。

トークンは、

最初から「お金」なのではありません。

何かを表すための器のようなもの。

その器に、

どんな意味を入れるのか。

それによって、

トークンの役割が変わるのです。


第三章 「コイン」と「トークン」は何が違うの?

では、

ビットコインはトークンなのでしょうか。

イーサは?

ここは少し、

言葉の使われ方がややこしいところです。

一般的には、

独自のブロックチェーンを持ち、

そのネットワークの基本となる暗号資産を、

コイン

と呼ぶことがあります。

BitcoinのBTC。

EthereumのETH。

一方、

すでに存在するブロックチェーンの仕組みを利用して発行されるものを、

トークン

と呼び分けることがあります。

例えばEthereumには、

ERC-20

というトークンの標準規格があります。

これは、

互いに同じ単位として扱える「代替可能なトークン」を作るための共通ルールです。

この共通ルールがあることで、

ウォレットや分散型取引所など、

さまざまなサービスが同じ形式でトークンを扱いやすくなります。

ただし、

現実の言葉の使われ方は、

それほどきれいに分かれていません。

暗号資産全体を広く、

「トークン」

と呼ぶこともあります。

だから、

「コインとトークンは絶対に別物」

と覚えるより、

コインは独自のブロックチェーンの基本資産を指すことが多く、トークンは既存のブロックチェーン上で発行されるものを指すことが多い。

まずは、

そのくらいの理解でよさそうです。


第四章 ポイントと何が違うの?

ここまで考えると、

私はあるものを思い出しました。

ポイントです。

買い物をする。

100ポイントもらう。

1ポイント=1円として使える。

会員ランクが上がる。

特典がもらえる。

これも、

何かの価値や権利を表しています。

では、

トークンとポイントは何が違うのでしょう。

考え方だけを見ると、

似ているところがあります。

大きな違いのひとつは、

誰が、どこで管理しているのか

です。

一般的なポイントは、

企業が管理しています。

企業のデータベースに、

「あなたは1,000ポイント持っています」

と記録されています。

そして、

その企業がルールを決めます。

「来月から交換条件を変えます」

「有効期限を変更します」

「このポイントサービスを終了します」

そう決めることもできます。

基本的には、

その会社が作った世界の中で使うものです。

一方、

ブロックチェーン上のトークンは、

保有や移転をブロックチェーン上で扱えます。

自分のウォレットから、

別のウォレットへ送る。

複数のサービスから参照する。

スマートコントラクトと組み合わせる。

設計によっては、

ひとつの会社のサービスだけに閉じない使い方ができます。

EthereumのERC-20のような標準規格が重要なのも、この「異なるサービスでも同じルールで扱いやすくする」という点にあります。

ここが、

Web3のトークンの面白いところです。

ただし、

ブロックチェーン上にあるからといって、

必ず自由でも、

必ず分散型でもありません。

発行者が強い権限を持つトークンもあります。

ここでも、

名前だけでは中身は分からないのです。


第五章 NFTもトークンなの?

NFT。

Non-Fungible Token。

日本語では、

非代替性トークン

です。

ちゃんと名前の中に、

Tokenが入っています。

でも、

普通の暗号資産とは少し性質が違います。

例えば、

1 ETHと別の1 ETH。

基本的には、

同じ単位として扱えます。

1,000円札と、

別の1,000円札のようなものです。

どちらも、

1,000円として使えます。

一方、

NFTはひとつひとつを区別できます。

AというNFTと、

BというNFT。

同じ規格で作られていても、

識別情報や結びついている内容が違います。

EthereumのERC-721は、こうした固有のものを識別するNFTの代表的な標準規格です。公式解説では、コレクションだけでなく、アクセスキーや座席など、個別に識別する必要があるものにも応用できると説明されています。

ここで、

「トークン」という言葉の意味が、

さらに見えてきます。

トークンは、

必ずしもお金を表すものではありません。

何かを識別したり、
何らかの権利や関係を表したりすることもできる。

NFTも、

そのひとつなのです。


第六章 では、株とは何が違うの?

次に気になったのが、

株です。

会社の株を持つ。

企業に対する権利を持つ。

場合によっては、

議決権がある。

配当を受け取ることもある。

一方、

DAOの記事で出てきたガバナンストークンにも、

投票できるものがあります。

では、

株とガバナンストークンは同じなのでしょうか。

似ているところはあります。

でも、

同じではありません。

株には、

法律や制度の中で定められた権利があります。

一方、

トークンが何を意味するのかは、

その設計によって大きく違います。

投票できる。

サービスを利用できる。

報酬に関係する。

何かと交換できる。

でも、

そのトークンを持っているからといって、
必ず会社の一部を所有しているわけではありません。

ここは、

とても大切です。

「投票できるから株みたい」

「値段が上がるから投資商品みたい」

そう見えても、

法律上の意味まで同じとは限りません。

つまり、

「トークン」という名前だけを見ても、

何を持っているのかは分からない。

そのトークンが何を表し、どんな権利や役割を持っているのか。

そこを見る必要があるのです。


第七章 何もなかったところに、100万枚のトークンを作ったら

ここからが、

私には一番不思議でした。

ブロックチェーン上では、

新しいトークンを発行できます。

例えば、

仮に、

「MIMORI Token」

というものを作ったとします。

発行数は、

100万枚。

すると、

ブロックチェーン上には、

100万枚という数字を持つトークンの仕組みを作ることができます。

では、

質問です。

その100万枚は、いくらなのでしょう。

1枚100円?

1,000円?

1万円?

それとも、

0円?

ここで、

とても大切なことがあります。

作れることと、
価値があることは、
まったく別です。

トークンを発行することはできます。

発行枚数も決められます。

でも、

「1枚1万円です」

と自分で言ったからといって、

本当に1万円の価値が生まれるわけではありません。

誰かが、

その価格で欲しいと思わなければならない。

では、

なぜ欲しいと思うのでしょう。

使えるから。

必要だから。

サービスを利用できるから。

投票できるから。

コミュニティに参加できるから。

将来、

もっと価値が上がると思うから。

理由はいろいろあります。

ここで初めて、

需要

が生まれます。

ブロックチェーンは、

トークンを作ることはできます。

でも、

「欲しい」という気持ちまでは作ってくれません。

ここが、

トークンを考えるうえで、

とても大切なところだと思います。


第八章 「世界に10枚しかありません」なら、高くなる?

トークンの話では、

よく、

希少性

という言葉が出てきます。

発行数が少ない。

だから価値がある。

確かに、

供給が限られていることは、

価格を考えるうえで重要です。

では、

発行数を少なくすれば、

どんなトークンでも価値が上がるのでしょうか。

例えば、

私が、

「世界に10個しかない石」

を持ってきたとします。

本当に、

10個しかありません。

とても希少です。

でも、

誰も欲しくなかったら?

値段はつかないかもしれません。

つまり、

希少であることと、
欲しい人がいることは別です。

世界に10枚しかない。

それだけでは、

価値は決まりません。

「欲しい」

と思う人がいる。

そして、

その人が、

「この値段なら買いたい」

と思う。

そこではじめて、

価格が生まれます。

希少性は、

価値を支える条件のひとつにはなり得ます。

でも、

希少であるだけでは、

価値にはならないのです。


第九章 「1枚100円」なら、100万枚で1億円?

ここで、

もうひとつ、

トークンを見るときによく出てくる数字があります。

時価総額

です。

例えば、

あるトークンが、

1枚100円。

市場に流通しているトークンが、

100万枚。

単純に計算すると、

時価総額は1億円です。

すると、

「このトークンには1億円の価値がある」

ように見えます。

でも、

ここは少し注意が必要です。

時価総額が1億円だからといって、

どこかに現金1億円が置いてあるわけではありません。

100万枚全部を、

今すぐ100円で売れるとも限りません。

たくさんの人が一斉に売ろうとすれば、

価格が下がることもあります。

つまり、

価格×枚数という数字と、
実際に換金できる金額は同じではない。

のです。

さらに、

もうひとつあります。

「100万枚あります」

と言っても、

その100万枚が、

全部市場に出ているとは限りません。

全部で100万枚。

でも、

今実際に流通しているのは10万枚。

残り90万枚は、

運営チームや初期投資家などが持っていて、

まだ売れない状態になっている。

そんなこともあります。

すると、

同じ「100万枚のトークン」でも、

意味が変わってきます。

ここで重要になるのが、

総供給量と流通量の違い

です。

「何枚作られたの?」

だけでは足りません。

今、何枚が市場に出ているの?

ここまで見なければ、

本当の姿は分からないのです。


第十章 「誰が、何枚持っているの?」という問題

さらに、

大切なことがあります。

そのトークンを、誰が持っているのか。

です。

例えば、

100万枚あるトークンのうち、

90万枚をひとりの人が持っていたら?

その人が、

一斉に売ったらどうなるでしょう。

価格が大きく動くかもしれません。

では、

運営チームが40%。

初期投資家が30%。

一般の利用者が30%。

そんな配分だったら?

これも、

トークンの性格に大きく影響します。

そして、

ここで出てくるのが、

ロック

ベスティング

という仕組みです。

運営チームや初期投資家が持つトークンを、

最初から全部売れるようにしない。

一定期間は売れないようにする。

その後、

少しずつ使えるようにする。

こうした設計があります。

でも、

いつかロックは解除されます。

市場に出せるトークンが増える。

これを、

アンロック

と呼ぶことがあります。

ここで考えてみます。

昨日まで、

市場には10万枚しかなかった。

今日から、

新しく20万枚が売れるようになった。

需要が同じままなら?

供給が増えます。

すると、

価格にも影響する可能性があります。

だから、

トークンを見るときは、

「今の価格」だけではなく、

誰が、何枚持っていて、
いつ市場に出せるのか。

ここまで見る必要があります。


第十一章 だから「トークノミクス」が重要になる

ここで出てくるのが、

トークノミクス

という言葉です。

TokenとEconomics。

トークンと経済。

つまり、

トークンを中心とした経済の設計です。

何枚発行するのか。

誰に配るのか。

どれだけ市場に流通させるのか。

新しいトークンは増えるのか。

減る仕組みはあるのか。

運営チームは何枚持つのか。

初期投資家は?

利用者は?

いつ売れるようになるのか。

何に使えるのか。

なぜ持ち続ける必要があるのか。

どんな行動をすると、

トークンをもらえるのか。

こうしたものを、

ひとつの経済として設計します。

ここで私は、

トークンが単なる

「デジタルなコイン」

ではないことが、

さらに分かってきました。

トークンを作るということは、

場合によっては、

小さな経済のルールを作ること

でもあるのです。

「こういう行動をしたら報酬をあげます」

そう決めれば、

人はその行動をするかもしれません。

「持っていると投票できます」

そう決めれば、

トークンを集める人が出てくるかもしれません。

つまり、

トークンは、

価値を表すだけではありません。

人の行動を動かす仕組みにもなり得る。

だからこそ、

設計がとても重要になります。


第十二章 「遊べば稼げる」が大人気になったAxie Infinity

トークン設計が、

実際の人の行動を大きく変えた例があります。

Axie Infinity

というブロックチェーンゲームです。

ゲームの中で、

Axieと呼ばれるキャラクターを使って遊び、

ゲーム内でトークンを得られる仕組みがありました。

特に、

SLP(Smooth Love Potion)

というトークンは、

ゲームをプレイすることで獲得でき、

Axieを繁殖させるときなどにも使われました。

つまり、

ゲームをする。

SLPを得る。

そのSLPには市場価格がある。

売れば、

現実のお金につながる可能性がある。

いわゆる、

Play-to-Earn

「遊んで稼ぐ」

という仕組みです。

一時期、

この仕組みは大きな注目を集めました。

特にフィリピンなどでは、

Axie Infinityを収入源のひとつとしてプレイする人たちも現れました。2022年の調査でも、参加者がゲームからの収益や投資回収を強く意識していたことが報告されています。

なんだか、

夢のある話に見えます。

ゲームを楽しむ。

その活動に価値がつく。

トークンをもらう。

それを売ることもできる。

まさに、

「人の活動に価値のしるしをつける」

仕組みに見えます。

でも、

ここで大切なのは、

そのトークンを誰が欲しがるのか

です。


第十三章 もらう人が増え続けたら、どうなる?

考えてみます。

たくさんの人が、

ゲームをします。

たくさんのSLPを獲得します。

つまり、

新しいSLPが生まれます。

では、

生まれたSLPを、

誰が買うのでしょう。

ゲームの中で使いたい人。

新しく参加する人。

将来値上がりすると思う人。

需要が十分にあれば、

経済は回るかもしれません。

でも、

もらう人が増え続け、

売りたい人も増える。

その一方で、

買いたい人が増えなくなったら?

供給が、

需要を上回ります。

すると、

価格には下がる力が働きます。

価格が下がる。

すると、

「遊んでもあまり稼げない」

と感じる人が増える。

プレイヤーが減る。

ゲーム内でトークンを必要とする人も減る。

さらに需要が弱くなる。

研究資料でも、Axie Infinityでは人気低下とともにSLPの価格がピークから大幅に下落し、Play-to-Earnモデルの持続性が問題になったことが指摘されています。

ここで重要なのは、

「Axie Infinityが失敗したゲームだった」

という単純な話ではありません。

もっと大切なのは、

報酬としてトークンを配るだけでは、経済は続かない

ということです。

トークンを生み出す仕組み。

使う仕組み。

欲しいと思う理由。

このバランスが必要なのです。


第十四章 「値上がりするから欲しい」だけになったら

これは、

ゲームだけの問題ではありません。

あるトークンの価格が上がる。

それを見た人が買う。

なぜ買うのでしょう。

サービスを使いたいから?

投票したいから?

コミュニティに参加したいから?

もちろん、

そういう人もいます。

でも、

別の理由もあります。

もっと値上がりすると思うから。

100円で買う。

200円になる。

200円で買った人は、

500円になると思う。

500円で買った人は、

1,000円になると思う。

価格が上がることで、

さらに人が集まる。

人が集まるから、

さらに価格が上がる。

すると、

もともと、

「何かに使うためのトークン」

だったものが、

いつの間にか、

「値上がりするから欲しいトークン」

へ変わっていくことがあります。

では、

価格が上がらなくなったら?

新しく買う人が減ったら?

「もっと上がる」

という期待がなくなったら?

価格を支えていたものが、

急に弱くなることがあります。

ここでも、

前回のステーブルコインで考えたことにつながります。

人が信じている間は、

仕組みが動く。

でも、

何を信じているのかが大切です。

そのトークンが必要だから?

それとも、

次の人がもっと高く買ってくれると思っているから?

同じ「欲しい」でも、

中身はまったく違います。


第十五章 無料でもらったトークンに、なぜ値段がつくの?

Web3では、

エアドロップ

という仕組みがあります。

一定の条件を満たした利用者などへ、

トークンを配ることがあります。

無料でもらったものなのに、

市場で売買されるようになると、

値段がつくことがあります。

私は最初、

少し不思議でした。

0円でもらったものに、

なぜ1万円の価値がつくのでしょう。

でも、

考えてみると、

「いくらで作ったか」と、

「いくらで欲しい人がいるか」は、

別の話です。

例えば、

有名な人のサイン。

紙とインクだけなら、

材料費はほとんどありません。

でも、

欲しい人がいれば、

高い値段がつくことがあります。

価値は、

材料費だけでは決まりません。

トークンも同じです。

無料で配られたとしても、

使い道がある。

投票できる。

参加資格になる。

将来性が期待されている。

多くの人が欲しがる。

そうすれば、

市場で価格がつくことがあります。

でも、

ここでも同じです。

価格がついたことと、
その価値が長く続くことは別です。

一時的な期待だけで、

価格が上がることもあります。

期待がなくなれば、

急激に下がることもあります。


第十六章 「持っている」と「所有している」は同じ?

ここで、

もうひとつ気になることがあります。

トークンを持っている。

それは、

何を意味するのでしょう。

例えば、

ガバナンストークンを持っている。

投票できる。

では、

そのプロジェクトそのものを所有しているのでしょうか。

NFTを持っている。

では、

その画像の著作権まで持っているのでしょうか。

ゲームのトークンを持っている。

では、

ゲーム会社の一部を持っているのでしょうか。

必ずしも、

そうではありません。

トークンは、

何らかの権利や関係を表すことができます。

でも、

何を表しているのかは、

そのトークンごとに違います。

「持っている」

という言葉は同じでも、

中身は違う。

投票できる。

サービスを利用できる。

何かと交換できる。

コミュニティに参加できる。

売買できる。

だから、

トークンそのものを見るだけでは、

何を持っているのかは分かりません。

そのトークンに、どんな意味が結びついているのか。

そこを見る必要があります。


第十七章 トークンを作れば、小さな経済を作れる?

ここまで来ると、

トークンの可能性も見えてきます。

例えば、

あるオンラインコミュニティがある。

その中で使えるトークンを作る。

活動した人に、

トークンを渡す。

役に立つ記事を書いた人。

誰かを助けた人。

プロジェクトに貢献した人。

そういう人に、

報酬としてトークンを渡す。

そのトークンを使って、

サービスを利用する。

投票する。

イベントに参加する。

新しい活動へ使う。

すると、

ひとつの小さな経済圏のようなものができます。

会社から給料をもらう、

という形だけではない。

コミュニティへの貢献を、

別の形で表せる可能性があります。

これは、

とても面白い考え方です。

今まで見えにくかった価値を、

トークンによって見える形にできるかもしれない。

でも、

ここからは、

少し違う問題が出てきます。

見えるようにすることと、
正しく測ることは、
同じなのでしょうか。


第十八章 「ありがとう」を100トークンにしたら

例えば、

誰かが困っている人を助けた。

とても親切な行動です。

では、

100トークン渡しましょう。

別の人は、

もっと大きな貢献をした。

では、

500トークン。

こうやって、

人の行動や貢献を数字にしていく。

分かりやすくなります。

誰がどれだけ貢献したか、

見えるようにもなります。

公平に見えるかもしれません。

でも、

本当にそうでしょうか。

目立つ貢献。

数字にしやすい貢献。

結果が分かりやすい仕事。

そういうものは、

評価しやすい。

では、

誰にも見えないところで支えていた人は?

失敗したけれど、

大切な挑戦をした人は?

何かを作ったわけではないけれど、

そこにいることで、

誰かが安心できていた人は?

それは、

何トークンなのでしょう。

100?

500?

1,000?

そもそも、

数字にできるのでしょうか。

ここで、

トークンの限界も見えてきます。

トークンは、

価値を見える形にすることができます。

でも、

見える形にできるものだけが、
価値ではありません。

数字にすると、

分かりやすくなります。

でも、

分かりやすくなったことで、

こぼれ落ちるものもあるのかもしれません。


第十九章 価値を作るのではなく、「しるし」をつける

最初、

私はトークンについて、

こんなふうに考えていました。

トークンを発行する。

値段がつく。

だから、

価値が生まれる。

でも、

ここまで調べてきて、

少し違うように思えてきました。

トークンそのものが、

価値を作っているわけではありません。

その前に、

何かがあります。

使いたい。

参加したい。

必要だ。

応援したい。

交換したい。

大切だと思う。

その何かに、

トークンという形を与える。

所有のしるし。

参加のしるし。

権利のしるし。

貢献のしるし。

交換できる価値のしるし。

ここで、

Tokenという言葉の、

もともとの意味に戻ってきました。

「しるし」

です。

トークンを作れば、

価値をゼロから生み出せるわけではありません。

でも、

今まで見えにくかったものに、

形を与えることはできるかもしれない。

だからこそ、

トークンを見るときに大切なのは、

「いくら?」

だけではないのだと思います。

そのトークンは、何のしるしなのか。

そこを見ることです。


おわりに 価値は、設計できるのでしょうか

トークンについて調べ始めたとき、

知りたかったのは、

とても単純なことでした。

「コインと何が違うの?」

それだけでした。

でも、

調べていくうちに、

話はどんどん広がりました。

ポイント。

株。

NFT。

ガバナンス。

ゲーム。

コミュニティ。

経済。

そして、

価値。

トークンは、

いろいろなものを表すことができます。

お金のようなもの。

権利。

投票。

参加資格。

所有との関係。

貢献。

そして、

トークンの仕組みを設計することで、

人の行動まで変えることがあります。

何枚発行する。

誰に配る。

いつ配る。

何をしたらもらえる。

何に使える。

これらは、

設計できます。

Axie Infinityの例を見ても、

報酬の設計によって、

世界中の人がゲームへ参加しました。

トークンが、

人を動かしたのです。

でも、

そこで私は思います。

人は、価値そのものまで設計できるのでしょうか。

100万枚にする。

希少性を作る。

報酬をつける。

ロックする。

アンロックする。

投票権をつける。

そうしたルールは作れます。

でも、

「欲しい」

「必要だ」

「大切だ」

「ここに参加したい」

という人の気持ちまで、

設計できるのでしょうか。

たぶん、

完全にはできません。

第13作で、

私は、

「価値は誰が決めるのだろう」

と考えました。

第21作のステーブルコインでは、

「1ドルという価値を何が支えているのだろう」

と考えました。

そして今回、

トークンを調べて、

もうひとつ分かったことがあります。

価値を表すものと、
価値そのものは、
同じではない。

値札は、

価値そのものではありません。

価格も、

価値のすべてではありません。

トークンも、

価値そのものではない。

それは、

何かを表すための

「しるし」

なのだと思います。

だから、

本当に見るべきなのは、

トークンの値段だけではありません。

その向こうに、

何があるのか。

何を表しているのか。

誰が必要としているのか。

なぜ必要なのか。

誰が何枚持っているのか。

どうすれば増えるのか。

何のために使われるのか。

そこまで見て、

ようやく、

そのトークンの姿が見えてくる。

そう考えると、

「このトークンはいくらになる?」

という問いより、

先に聞いた方がいいことがあるような気がします。

「このトークンは、何を大切なものとしているの?」

技術を調べていたはずなのに、

また最後は、

人のことを考えていました。

それが、

MIMORI Web3研究室です。

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