「ハードトーストのクラックは成功の証?」昔から言われる理由を考える
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ハードトーストを焼いたことがある方なら、一度は耳(目)にしたことがあるのではないでしょうか。
「クラストに細かいクラック(ひび)が入れば、上手に焼けた証拠。」
私も製パンを学び始めた頃、大御所パン職人さんが、そうお話ししているのを聞いたことがあります。
実際、焼き上がってから30分ほどの間に「パリッ、パリッ」と音を立てながら細かなひびが広がっていく様子は、何とも言えない感動があります。
でも一方で、同じレシピなのにクラックが出ないこともあります。
「これは失敗なのかな? 少なくとも成功ではない?」
そんな風に感じるのは、、どうでしょう?
今回は、このクラックについて少し掘り下げてみたいと思います。
クラックはいつできる?
パンを焼かない方からしたら、意外かもしれませんが、多くのクラックはオーブンの中ではなく、焼き上がってから冷める途中にできるのです。
パンの表面(クラスト)はオーブンの中で、
・水分が蒸発し
・デンプンが糊化し
・グルテンが固まり
薄い殻のような状態になります。
焼きたてはまだ100℃近くあり、少し柔らかさがあります♨
ところが、冷め始めると表面の水分がさらに抜け、クラストは縮もうとします。
一方、内部(クラム)はまだ柔らかく、水分も多いため、それほど急には縮みません。
つまり、
表面だけが先に縮みたがる。
この縮む力に耐えきれなくなったところで、「パリッ」と割れるのがクラックです⚡
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天使のささやき
ずっと以前にもクラック(当時は「天使のささやき」と呼んでました)が出現する理由を考えていたことがあります。
↑当時のブログです。
良かったらのぞいてみてください。
こんなことが書いてありました↓↓

天使のささやき…表面にできるクラックについて考えていること
以前からもっとよく理解したいなぁ、と思いつつ
ネット上や製パン理論の本で探してはいるけど
なかなか見つからない。
私の場合、蒸気注入するフランスパンでは
本当にたまにしかクラックが入らない。
反面、今回みたいなハードブレッドはほぼ毎回ひび割れる。
ハードブレッドは蒸気を入れずに焼いている。
以前、ホテルオークラのパン職人さんに尋ねたことがある。
「クラックができるのは、強い粉を使った時」
と言われたとおり、私のハードブレッドは
最強力粉と強力粉(または準強力粉)のブレンド。
でも、準強力粉のみで作るフランスパンが
焼き上がり直後からピチピチ、パチパチ音を立てて
見る見るひび割れてくるのを
お店で何度も見たことがある。
そうして、職人さん曰く「大成功の証拠」だし
実際クラックの入ったバゲットは理想的な焼き上がりという。
一体何が天使をささやかせるのだろう??
焼き上がった時には、クラスト表面はツルツル張りがあるのに冷めてゆくにつれヒビが出てくる仕組みは・・・?
考えられるのは、充分窯伸びしてクラム(中身)もクラスト(皮)もいっぱい膨張したものが、
冷めるにつれてクラムが縮んで焼き固まったクラストを
内側に引っ張っているイメージ。
バターや乳製品、お砂糖が多めのリッチ生地では
クラックは起こりえない。
焼き上がったクラストに柔軟性のないリーンな生地のパンだからこそできるのだろうということはわかる。
理論的にはまだまだ私にとってはなぞだらけだけど
クラックのできる条件はなんとなく浮かぶ。
・リーンなパン
・クラストが厚すぎない
・適度に中の水分が飛んでいる
・適度な窯伸び
・焼成温度は高すぎない
ことくらいかな。
近い将来、ちゃんと解明できた時に
「あの頃はこんな風に考えてたんだ」と
思えるようになるための覚書。
18年前の私は、「クラムが縮んでクラストを引っ張る」と
考えていました。
今振り返ると、その考えは半分当たっていて、半分は逆だったように思えます。
実際には、冷却と乾燥によってクラストが先に縮もうとし、そこにクラムとの収縮速度の違いが重なって、クラックが生まれているようです。
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なぜ細かいひびになるの?
クラックは一か所だけではなく、細かな多角形になることがよくあります。
これは、表面全体に均一な張力がかかっているためです
(ただし、成形が均一でないので完全な美しい模様にはなってません)。
一か所が割れると、その周囲の力のかかり方が変わり、次の場所が割れる。
その繰り返しで、乾いた土のような模様ができていきます。
タイムラプス↓ で見ると、この変化がとてもよく分かります(早送りなので音がついていないのが残念です)。
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副材料が少ないとクラックが出やすい理由
ハードトーストは、バターや砂糖を控えた配合です。卵も使いませんよね。
バターや砂糖、卵には、
・クラストを柔らかくする
・乾燥を抑える
・縮んでも割れにくくする
という働きがあります。
そのため、副材料が少ないパンほど、クラストがパリッと硬くなり、冷却時の収縮でクラックが入りやすくなります。
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クラックが出ないのは失敗?
ここが一番お伝えしたいことです。
答えは「いいえ」です。
クラックは、
・焼き込み具合
・窯伸び
・発酵状態
・成形の張り
・オーブンの特性
・冷却環境
など、たくさんの条件が重なって現れる現象です。
同じレシピでも、その日の環境や焼き方でクラックの出方は変わります。
ですから、
「クラックがない=失敗」
ではありません。
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それでも、
なぜ昔は「成功の証」と言われたの?
ここが面白いところです。
私が思うに、職人さんや製パンの先生方は、
「クラックそのもの」を目標にしていたわけではなかったのだと思います。
当時目指していたのは、
・しっかり窯伸びしたパン
・香ばしく焼き込まれたクラスト
・リーンな配合ならではの食感
そんな理想的なハードトーストでした。
そして、その条件がそろうと、
自然とクラックが現れやすくなります。
つまり、
クラックは原因ではなく、結果なのです。
だからこそ、
「クラックが出ましたね。上手に焼けましたね。」
という評価の仕方になったのでしょう。
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正直、私はクラックが好きです(笑)
パン作りの価値は、適切なボリュームが出て内相が美しいこと、香りや口どけが良いこと。
一番大事なのは美味しいこと!
このどれもが大切です。
それでも、焼き上がったパンが「ピチッ♪」と音を立てながら、少しずつ表情を変えていく時間は、何年パンを焼いていても心が躍ります。
焼き上がったあとも変化を続けているのを見ると、パンが生きているように感じます。
私は昔も今も、網の上でピチパチいいながら、ゆっくり広がっていくクラックを見るのが大好きなんです。
自分でタイムラプス撮影ができるようになるなんて、10年前は思ってもみませんでした✨
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クラックは必須ではありません。
それでもやっぱり、クラックが出て欲しい~!
そんな方は、こんなことに注目してみてください。
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