「スパイダーマン:BND」が、過去最高に「スパイダーマン」していた件。数多の苦難を乗り越えて、それでもピーター・パーカーが「お人好し」であり続ける理由
「スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ(BND)」、観てきました!
ここのところ、色んな意味でホットな映画館、TOHOシネマズ大井町で。

冷房が効いておらず「灼熱地獄」「映画を観るとサウナも無料で付いてくる」などと言われてニュースにまでなっていたTOHO大井町。
スケジュール的に合うのがここしかなく、ハンディファンや冷タオルなど完全装備で向かった。
結果、危惧していた灼熱ではなかった。…けど、普通は映画館って寒いぐらいなので、それと比較するとじんわり汗ばむ感じで暑かった。映画館で汗かいたのなんて、「RRR」の応援上映以来だ。
と、映画館に関する話は、ここまでにして、映画本編の感想に入りたい。本編および過去作のネタバレありです。
原点回帰:魔法少女からスーパーヒーローへ
まず本作を見て思ったのが、「めっちゃスパイダーマンっぽい」ということ。
これまでのトム・ホランド版MCU三部作より、トビー・マグワイア版(サム・ライミ版の方が通りがいいだろうけど、アンドリュー版はアンドリュー版と呼びたいので、この呼称とさせてほしい)の要素が思った以上に多くないか?
まさかあの有名なスパイダーキスまで再現してくるとは思わなくてムズムズしちゃった。
あとはゲーム版とか、「スパイダーバース」シリーズとかを彷彿とさせるシーンもあり。私は原作コミックは読んでないけど、多分これまでの三部作より「原作寄り」なんだろうな。
特に、NYの街を縦横無尽にスイングして、警察とも協力しながら日々起こる犯罪者を捕まえていくのがビジュアル的にゲーム版すぎて、要所要所で「女刑事と電話してる!ゲーム版で見たやつ!」「銀行強盗多すぎ!ゲーム版で見たやつ!」と進研ゼミ状態になってた。
確かにこれまでのトムホ版三部作は、ヒーローものと言うよりは、ティーンの学生が主人公の、魔法少女ものの色が濃かった。本人が望んでないのに色々あって地球の危機に巻き込まれちゃうのも、魔法少女っぽいよね…。
そんなトムホ版スパイディに対して「スパイダーマンはもっと孤独なヒーローじゃなきゃダメだろ!!」と言ってた原作や旧作ファンの言い分もわかる。
でも、本作を見るにあたってホームカミング(HC)、ファーフロムホーム(FFH)、ノーウェイホーム(NWH)を見直したけど、やっぱりこのトリロジーはめちゃくちゃ映画として出来がいいし、個人的にも大好きだ。
なんかネットではジョン・ワッツ監督を叩く輩が出て来ているらしいけど、本作が原作や過去の「スパイダーマンらしい」作品ぽくていい、ということとこれまでのトムホ版三部作が素晴らしいことは両立してるから!
そういう意味では、これまでの三部作がオリジンで、ここからが本当の始まり。まさにブランドニューデイ(再出発)だなと思った。
続編あるある:これまで通りに力が使えなくなる
リニューアルした続編で、主人公がうまく力を使えなくなるのは、少年漫画の王道だよね。
もともと、トニー・スタークから与えられたウェブシューターやスーツを使って戦っていたピーターが、今作では完全に自力でスーツを作り上げ、さらには糸まで自らの能力で出せるようになっちゃう、と言う構図は、BLEACHなどの少年漫画に通じるものがあってアツかった。
今回から監督になったデスティン・ダニエル・クレットン監督はジャンプ漫画のファンらしく、「シャン・チー」の時も幽白とかNARUTOオマージュでは!?と話題になっていたので、今回ももしかしてジャンプ要素あったりするかな…?
NARUTOに至っては、堂々とネッドが部屋にポスター貼ってて笑っちゃった。
あと、トビー・マグワイア版から入った者としては、素直に有機ウェブの方がしっくりくるのよね。初めてウェブシューター見た時、え、糸はクモの遺伝子とは関係ないんかい!!て突っ込みたくなったもん。
他に思い出したのは「魔女の宅急便」で、キキが魔法を上手く使えなくて、箒でうまく飛べなくなるくだり。
「魔女宅」では、キキが魔法を使えなくなるのは思春期を迎えたことの暗喩だけど、本作の場合はむしろ思春期から大人への転換期を表してるのかなと思ったり。
続編あるある:アクションシーンが大幅強化
今回はまさにニューヨークの街を縦横無尽に飛び回る親愛なる隣人、スパイダーマン!という感じで、アクション面でめちゃくちゃ見応えあった。
ゲーム版で、摩天楼の間を自在にスイングしたり、アクロバティックな技で敵を一掃したりするのがすごく爽快だったんだけど、そのアクションがさらに強化された感じ。
新シリーズでアクションが大幅強化されるのってワクワクするよね。「ハリー・ポッター」シリーズから「ファンタスティックビースト」シリーズになった時に、「これまでは子供たちの戦いだったけど、今度は主人公たちが成人してるからアクションがつええ!」と感動した。
あと、これまた監督が「シャン・チー」の人だからか、単純に糸を発射するだけのアクションの他に、カラテっぽいアクションがかっこいいなぁ。
ヤミノテたちの刀やら手裏剣やらとの戦いはさすがアジア系監督!と言いたくなる見ごたえだった。
少年漫画あるある:主人公が人間やめてパワーアップ
もう一つ、少年漫画っぽいなぁと思ったのが、今回ピーターが蜘蛛の遺伝子の成分を高めて強化する下り。そもそもマーベルヒーローしかり、仮面ライダーしかり、超人と言うものは、本来の人間である要素と、人外の要素のバランスに苦悩するのが定番。ただこれまでのトムホスパイディーでは、蜘蛛の能力の部分がスターク社のなんかすごい技術!で終わってしまっていたし、おばさんも友達もスパイダーマンに対してポジティブな反応だったから、今回初めてこの要素が大きく取り上げられることになった。
瞳孔が蜘蛛っぽくなって、市民の安全を問わずに敵を攻撃してしまうシーンは、トビー版のスパイダーマン3を思い出して鳥肌ものだった。
そこから一度、ピーターは異形の力を抑えようとするんだけど、ピンチになって覚悟決めて、異形の力を解放する展開。わかっててもアツい。そんでもって、解放後の動きが目に見えて、めちゃくちゃ強いので大興奮した。
ゲストキャラについて
続編作られると聞いたとき、てっきりもうMCUとはあまり繋がらないのかな〜と思ってたけど、これからもMCUで続くみたい。よかったー!
パニッシャー
まさかパニッシャー連れてくるとはね〜。
私は「デアデビル」の初期シーズンと、「パニッシャー」の1話までしか見てないので、「そういや、こんな絶対復讐おじさんみたいなキャラいたな〜?」位の認識だったのだけど。今作ではピーターとの掛け合いが、「若者に振り回される、悪ぶってるけど根は良いおじさん」でニヤニヤしちゃった。色んな人に甥っ子みたいに可愛がられるトムホピーターのことだから、ちょっと息子たち重ねたりしちゃってません?フランクおじ。
MJにも若干主導権握られてるのすき。
おじさんの狂犬モードにやれやれ…となって押さえにかかるスパイディ、結構容赦なく攻撃してて笑う。観客の知らんところですっかり腐れ縁みたいな関係になってるの微笑ましい。
…とはいえ、最後おじさんのせいでピーター死にそうになってるけどね!?いいんかそこは?まぁ君たちがニコニコ笑い合ってるのはうれしいけど。
映画見た後に調べたら、トムホとパニッシャーの中の人はスパイダーマンのオーディションの時からの仲らしい。エモ。
ジーン・グレイ
ビジュアル・設定・主人公との掛け合い・最終的な立ち位置、どれを持っても完璧な「劇場版ゲストヒロイン」だった。よく最初は敵対してるけど、エンディング後はちょっと主人公に惚れてるんじゃないの〜?になるやつね。
X-MENシリーズはあまり見てないけど、ジーン・グレイってどの世界線でもかなりなラスボス枠よね…?今回もその名に恥じないオーラがあった。というか普通にセイディ・シンクちゃんのビジュが良すぎる。
正体がわかるまでは、一体どんな冷血漢なのかと思っていたら、実際は追い詰められた子供がなりふり構わず行動していたっていうね… V–MAXの真相がわかった時は敵への嫌悪感半端なかった。
フランクみたいに、全てを失ったからこその強さもあるけれど、大人に大切に守られてきたからこその強さってあるよなあ。
ピーターはおばさんや、トニーやハッピー、その他アベンジャーズの大人たちにも(悪態はつかれてたかもしれないけど)守られてきた。
ジーンの周りには優しい大人はいなかったけど、姉に守られた記憶が、彼女の強さの原点になっている。
彼女の心を解くきっかけが、ピーターと、ピーターの中のメイおばさんの記憶、というところがすごく良かった。メイ→ピーター→ジーン と、ケアの連鎖が続いていて。
というのと同時に、スパイダーキスのくだりであれだけ徹底的に尊厳破壊されたのに、彼女に手を差し伸べられるピーターはすげえよ。フランクおじに殺されかけたことといい、確かにピーターはお人好し(BLEACHでいうところのチョコラテですね)だわ。
エレーナ
サンダーボルツまだ見てないんですけど、一度アベンジャーズとの関係が切れたピーターは、改めてスーパーヒーロー同士ということで彼女と知り合ったのかな?
銭湯をオフィスにしてるのは面白いけど、個人的にはあそこには衛生的にちょっと入りたくないですね…。
刑事さんが行ったと聞いて、てっきり場末感に突っ込むのかと思ったら「お肌がツルツルになった」と言ってて横転。アメリカ的には普通にアリなのか?
あとはロシア人で風呂ってことはバーニャ目的で風呂にオフィス構えてるのでは?と言ってる感想を見かけました。バーニャ!!(金カムのアレ)
エレーナが、ピーターに友達がいることを知っておちょくりつつも良かったじゃん、と反応していてほっこりした。刑事さんといいバナー博士といいNY市民といい、世界がリセットされてもみんなピーターのこと心配してるよ。
ハルク
いっつも都合よくストーリーをぶん回す暴力装置として使われてるの、本人の意思に反しすぎててかわいそう。涙を禁じ得ない。本人は放射線出す装置を常に装着してまで抑えてるのに…
どの映画に客演しても毎回最後にはしょぼん…としなくちゃいけないのがね。「マイティー・ソー バトルロイヤル」では生き生きしてたから、ハルクは地球よりスケールでかい宇宙に行ったほうが合う気がするけど、ブルースはそうではないんだよな…強く生きてほしい。
ヤミノテ
てっきり黒歴史扱いかと思いきや、性懲りも無くトンチキジャパンニンジャ集団として出て来て笑った。いやに物分かりが良くてスイングを怖がらないMJ同様、あいつらがそんな簡単に改心する…?と首傾げてたらまんまとやられましたわ。
ニンジャVSスパイディのアクションは普通にめちゃくちゃかっこよかったので、ここまで来たら原作リスペクトを貫いてトンチキジャパンのままでいてほしい。ただ、せめてまともな日本語が喋れる奴をキャスティングしてくれ。
レギュラーキャラについて
レギュラーキャラ総とっかえも覚悟してたから、みんな続投してて嬉しかったー。強いていうなら、フラッシュがどうしてるか見たかったな。
MJ
NWHの時は、次リブートするとしてもヒロイン交代なんだろうな〜と寂しく思ってたら、まさかの続投。でもそんなに絡みないんだろうな〜、と思ってたら、結構トリオがいい感じに修復されててよかった。
けど!要所要所で、旧作ファンにSANチェック入れすぎじゃない!?
新彼とキスするところ、スパイダーキス、"I don’t love you “の3つのシーン。心臓に悪すぎて、本気で寿命ちょっと縮んだ。
特にスパイダーキスの後〜!!何かとんとん拍子にうまいこと行きすぎてるので、薄々「この後悲しいこと起きないで…!」と願っていたのだけど、アパート出た後は全部別人でしたー!はないぜよ…。でも確かに、こっちのMJはスイング怖がらないな?と思ってたんだよな…まんまとやられたわ…。
ジーンに乗っ取られたMJが「真実の愛のキスで目覚めるなんて、本人に言ったら吐くと思うよ」みたいなことを言ってたけど、吐きそうなのはこっちだよ!!
あと"I don’t love you “もあそこまでストレートに言われたら、ピーターももちろんめちゃくちゃ辛いだろうが、ミドサー以上の心臓だと寿命に関わるんだ。もう少しオブラートに包んでくれ。
…そういえば、FFHで「何でも空気を読まずにストレートに言っちゃう」て懺悔してたね、MJ…。
そもそも、最初は学園ドラマのゴスキャラ(学園ドラマにおける、厨二病陰キャ女子枠)だったはずなのに、垢抜けすぎて、普通に「ちょっとだけ風変わりな美女」になってたのなに??
…いや、中の人のレッドカーペット姿から考えたら、逆に、初期のオーラの消しっぷりがすごいだけか。
あと、今作のMJはMITを卒業後なので、ビジュアルだけでなく中身も当然のように世界レベルの才女でビビる。リケジョだなんておこがましい。頼もしすぎて、劇場版の灰原哀に見えた。
観客としては悲しくもあるけど、「ちょっと重い」手紙と、目の前にいる正義のスーパーヒーローが目を潤ませて自分を見ている!という物語上のノリに流されず、「自分の記憶と感情」というエビデンスを持って冷静に判断するMJは、やっぱりめちゃくちゃ聡明でいい女だなあ。
それに、現時点でなんの思い出も感情もない、というのは、裏返せばこれから思い出を積み上げていけばいいわけで。
幸い、彼女は今現在のピーターのことを好意的に思っているようなので、諦めるのはまだ早いぞ、ピーター。
ネッド
ピーターの存在と一緒に、自分がクラスの陰キャ枠だったという記憶もなかったことになったのか、イケイケな大学デビューを果たしていた。いや根が根明サイドキックなのはわかってたけどさあ、ちょっとパリピすぎない!?てっきり大学でチャラついた悪い友達でもできたのかと思ったら、全くそんなことないし…
MJはピーターに触れても、手紙を読んでも記憶や彼を好きだった気持ちは蘇らなかった。それはそれで現実的で辛いけど好きな展開だな、と思うけど、ネッドは思い出すんかーい
ラストカットだから実はスパイダーマン=ピーターなのに気付いただけで、思い出してはいませーん、とか普通にありそうだけど。でもここでヒロインは思い出さないけど男友達は思い出しました、だとめちゃくちゃオモロいのでそうであってほしい。「仮面ライダーフォーゼ」のせいで友情ハンドシェイクに過剰に夢を見ている人間なので…!
あとは他の人の感想で「NWHの描写でネッドは魔術に耐性ありそうだから、ドクターの魔術にも耐性あるのでは?」てのを見てなるほど〜となった。ちょっと期待してていいですか…?
MJとネッドのルームシェアについて
MJとネッドが、ピーターを挟まなくても2人でルームシェアするほどの仲なのが意外、かつめちゃくちゃいいな…
ピーターは居なくても、スパイダーマンに繰り返し助けてもらった記憶が仲良くなったきっかけなのかもね。
しかし、アメリカでは恋愛関係のない男女がルームシェアするって普通なんすか??MJの彼氏は何か言わなかったワケ?
…と考えていくと、そもそもMJの新彼はネッドの親友でもあるみたいで、それってつまりポジションとしてはピーターと一緒。だからこそピーターは自分が座っていたはずの席が全然知らない他人に取られていて、ショックを受けたわけで。
じゃあ、3人でルームシェアしよう、とNWHでした約束も新彼に取られちゃっても良さそうなところ、そうはなってない。大学卒業と引っ越しなんて、付き合ってる彼氏がいたら同棲を始める絶好の機会なはずなのに、MJは彼との同棲ではなくて、ネッドと2人でのルームシェアを続けることを選んだ。そして、スパイダーマスクを被ったままのピーターをアパートに招き入れ、3人で部屋でくつろいでいる時のリラックス具合。
MJは、ピーターに関する記憶は全く持っていないと言っていたけど、「そこにいたはずの3人目」についてはうっすら認識していたんじゃないかな。
ストーリー外の感想
ミセス
字幕版で見たんで、まだ実際には見てないんですけど…ラストのこのノリでミセスはなんかちょっと…違くないか??
曲自体は、スパイダーマンというキャラクターへのリスペクトに溢れていて大変良かった。ほんとにスパイダーマンちゃんと好きで歌詞書いたんだろうなって思う。
でも、オリジナルのエンドクレジットが、どちらかと言うとじんわりエモい系だったからなぁ。曲調がいつもの明るいミセスすぎてちょっと合わないような…
(NYのなんてことない住民の生活を映していく映像、最近だと「トワイライト・ウォリアーズ」のエンドロールを思い出してうるうるきた)
…と思ってたけど、改めて単独で聴いたら解像度高くてめっちゃいい歌じゃね……?
「I love youの先へ」てもしかして一度告白失敗したけど、てことですか…??泣
これは吹替版も見に行くしかないかもしれない。
そして、もしトムホスパイディがアニメ化したら(?)この曲をOPにしてほしい。
熱いGalaxy推し
新海誠作品のタイアップ商品ばりに謎の存在感を放つ、ピーターやネッドの使っている折りたたみスマホ。
ご丁寧に折りたたみ状態で通知が来て現場に駆けつける、という、CMと言っても差し支えないショットまである。
何このヒーローガジェット感!? かっこいい〜!ほしい〜!!
Androidに切り替える気は今のところないけれど、折りたたみiPhoneへの期待を一層刺激されたのでした…。
ドゥームズデイ
正直、最近は、MCUに対する熱意がだいぶ下がってしまっていて、ドゥームズデイが今年公開なのも最近知った位なんですけど。
これはスパイディーも出るってことでいいのかしら?
とりあえず次回は出てこなかった” Spider-Man will return” が出てきただけでかなり嬉しい。
トムデイヤ
結婚おめでとうございます!
本編はなかなかビターな展開だったけど、「現実では結婚してるから…」と唱えることで、何とか気力を保つことができた。ありがとう。
だが中の人たちが交際とか結婚しちゃうと、万が一別れた後のことを心配してしまうのが観客のサガでもある。どうか末永くお幸せに…!
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