「友達に守られた坂道」
小学三年生の頃、
体操服入れを振り回しながら帰っていた。
坂道があった。
友達が上から勢いよく体操服を投げる。
少し膝を曲げてキャッチ。
ビリ。
お尻から隙間風を感じた。
やってしまった。
まだ家までは距離がある。
どうしよう。
友達が言った。
「俺が後ろに張り付いて帰れば大丈夫だよ。」
冗談みたいな声だったけど、
顔はわりと本気だった。
僕は何も言わなかった。
振り向けなかった。
そのまま歩き出す。
後ろから足音が、
ぴったりついてくる。
坂道を下る。
風は冷たい。
でも、
さっきまでの隙間風はなくなっていた。
あのとき、
破れたのは短パンだけだった。
僕はたぶん、
少しだけ守られていた。
