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【乙女の話】制服の下に隠した、高すぎる理想

中学生のとき、映画『コクーン』を観た。ストーリーの内容はほとんど覚えていない。ただ、ある一人の女優が画面に映るたびに、私の目は釘付けになった。
Tahnee Welch(ターニー・ウェルチ)

彼女の姿を見て、私は自分の目を疑った。
「ウエストの位置、そこなの…?」
それは、単に「くびれている」とか「細い」という次元の話ではなかった。とにかく、位置が高いのだ。
ろっ骨のすぐ下から、もうウエストが始まっている。
日本人の体でそんなものを見たことがなかった私にとって、
その異次元のスタイルは、衝撃を通り越して「魔法」のように見えた。
画面を見つめながら、心に決めた。
あのウエストが、欲しい

翌日から、私は行動に移した。
用意したのは、一本のベルト。それを制服の下、素肌の上に直に巻いた。
位置はもちろん、ろっ骨のすぐ真下だ。
骨格の違いとか、人種による体型の差なんて、
知るはずもない。
憧れたら、やる。それだけが当時の私のルールだった。

当然、苦しい。
授業中も、息を吸うたびにベルトが食い込む。
けれど、あの高いウエストを手に入れるためだと思えば、どんな締め付けも
「美へのステップ」に思えて耐えられた。
今思えば、救いようのないアホである。

だが、努力の方向は残酷だった。
「骨格ストレート」の体にベルトで圧をかけると、
くびれより先に上半身の厚みが主張を始めてしまう。
締めれば締めるほど、なぜか上半身がパツパツに盛り上がっていく。
憧れのターニー・ウェルチとは、似ても似つかない方向に仕上がっていった。

その「努力の結果」が判明したのは、高校の家庭科の授業だった。
ミニスカートを作る課題で、
クラスメイトとウエストを測り合うことになったとき。
私の腰にメジャーを回した子が、不思議そうな顔をして言った。

「Didiちゃん、…ウエストの位置、高くない?」

そりゃそうよ。
私はここの中で、深く、静かに頷いた。


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