-サンセット・サンライズ-
― 忘れないという優しさに、出会った日。
人と人との距離が、ふと近くなる瞬間がある。
それは言葉じゃないことも多くて、ただそばにいるとか、何かを思い出してくれるとか、そんな静かなやさしさ。
映画『サンセット・サンライズ』は、そんな“ぬくもり”を描いた作品だった。
都会から田舎に移住してきた主人公の男性が、最初はぎこちなく、でも少しずつ田舎の空気と人に馴染んでいく様子に、どこか自分を重ねてしまう。
なかでも印象に残ったのは、震災で家族を失った女性との関わり。
彼女は今もなお、過去の痛みに触れながら生きている。
そんな彼女を前に、主人公が 「震災の話になったら外の人間はどうしたらいいのか」と分からずに嘆く場面があった。
あのとき、地元の人が言った言葉が、胸に残っている。
——「時々来て、思い出してくれたらいい。」
その一言があたたかくて、強くて、静かに沁みた。
過去はもうどうにもならない。
でも「忘れないでいること」が、きっと誰かの救いになる。
何かを変えるわけじゃない。ただ、覚えていてくれる。
そのことが人の心を支えるのかもしれないと思った。
私は田舎に住んでいる。
震災を経験したこともあって、この映画は他人事ではなかった。
観ながら何度も、自分の町の風景や、人の顔が浮かんだ。
「ここで生きている」ということ。
「この場所に育てられてきた」ということ。
それを改めて見つめ直す時間になった。
小さな町で、日々がゆっくり流れる中でも、
忘れたくないことがちゃんとある。
そして、それを思い出せる映画に出会えたことが、今はとても嬉しい。
