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🏥 病院はなぜ儲からないのか?

― 医療人と制度の限界を超えて




「病院って、けっこう儲かってるんじゃないの?」
そんな声を、私たちは日常でよく耳にします。都市の大病院には豪華な設備があり、理事長が高級車で通う姿も見かける。テレビドラマでも病院経営者は裕福な存在として描かれがちです。

でも、それは一部の成功例“イメージ”に過ぎません。
現実には、2025年上半期だけで医療機関の倒産件数が過去最多ペースの35件。このまま行けば、年間70件超という前代未聞の事態も現実味を帯びています。
では、なぜ「病院は儲からない」のでしょうか?


①「儲からない仕組み」が制度として存在する


病院の主な収入源は診療報酬(保険点数)です。しかしこれは、国が定めるものであり、自由な価格設定はできません。

たとえば、2024年度の診療報酬改定率は+0.88%。
一方で、物価やエネルギー価格、人件費は右肩上がり。特に他業種では人材確保のための給与アップが進む中、医療現場ではスタッフを確保するために高額な待遇を用意せざるを得ず、コストと収入がまったく噛み合っていないのが実情です。

つまり、

「人件費や物価は市場に従って上昇する」のに、
「収入は制度で固定されている」。


これが、医療機関の赤字体質の根本原因のひとつです。



② 看護師・医師の人件費高騰と、経営を蝕む“見えないコスト”


今、現場を苦しめているのは、以下のような“不可避な支出”です:
• 🔺 看護師・医師の人件費高騰(深刻な人手不足への対策)
• 🏚 建物や医療設備の老朽化(法定耐用年数を超えた病院多数)
• 🦠 感染症対策やBCP対応の固定化したコスト

これらは「切ろうと思って切れる」ものではありません。
それでも診療報酬が上がらないなら、病院は無理を続けるか、やめるしかないのです。



③ 医療人は「医療」は知っていても、「医業」は知らない


現場にいる医療人の多くは、医師として、看護師として、臨床の知識と技術に日々磨きをかけている。だが、同時に彼らは、ほとんど経営を学ぶ機会がないまま現場に出ている。医学部・看護学部・薬学部などの教育課程では、会計、財務、組織運営といった経営知識はほとんど教えられない。

開業医の院長でさえ、「医師」としては一流でも「経営者」としては孤立している。看護師の確保、スタッフの人件費、建物の老朽化、ICT投資、地域連携……。これら全てを自らの責任で抱え、破綻寸前の“自転車操業”をしている医療法人が少なくない。

さらに深刻なのは、医療=公共性が高く利益を追求すべきでないという社会的な価値観の圧力だ。「経営の話なんて不謹慎」「お金の話は医療にそぐわない」といった風潮が、医療現場の経済的な“無知”を許容してきたのだ。

だが、医療経営が破綻すれば、地域の医療は消える。
それはすなわち、住民が安心して医療を受ける場所がなくなるということを意味している。



④ 継がせられない医療法人、続けられない診療所


経営ノウハウの欠如に加え、多くの医療機関が抱えるのが「事業承継問題」です。
• ✅ 院長が高齢化しても後継者がいない
• ✅ 医療法人を引き継ぐ仕組みが未整備
• ✅ 赤字経営のまま閉院=“廃業型倒産”が増加中

経営者としての準備も支援もないまま、

「頑張ってきたけど、限界なので閉めます」
という選択をせざるを得ない医師が、今まさに全国で増えています。


⑤ 救急車は“無料のタクシー”じゃない


こうした誤解の構造は、救急医療の現場にも深く浸透しています。
実際、救急車利用のうち約半数が“ウォークイン”──つまり、自ら乗り込んでくる軽症者の利用です。
• 「深夜だから病院が開いていない」
• 「交通手段がないから救急車で」
• 「なんとなく不安で…」

そんな理由での利用が、医療リソースを圧迫し、本当に命の危険にある人の救命率を下げかねない事態を招いています。



⑥ 松阪市の挑戦:「救急車は無料」とは限らない未来


三重県松阪市では、全国初の症状別救急車料金制度を導入しました。
これは軽症者が救急車を呼んだ場合、医師が判断した上で費用負担を求めるという仕組みです。

🎯 目的は「抑止」ではなく「意識改革」。

救急医療は“ただ便利なサービス”ではなく、「命を救うための最後の砦」であるという意識を、私たち自身が持つことが求められています。


⑦ 医療と経営の“あいだ”に立つ存在として


これまで見てきたように、日本の医療現場では──
• 「医療人は診療のプロだが、経営を知らない」
• 「制度は硬直化し、変化に追いついていない」
• 「社会は医療の財政的現実を理解していない」

という三重苦が、医療崩壊の足音を近づけています。

株式会社バイタルは、そんな中で、

医療の言葉がわかり、経営の数字が読める
数少ない“あいだの存在”として、その役割を担ってきました。

そしてもうひとつ、忘れてはならないのが、人材という“血液”を循環させる仕組みです。
株式会社ジョブスタは、医療人材の採用支援・求人マッチングを通じて、

「人がいないから医療ができない」現場を減らすための実践的なサポーターとして活動しています。

現場のニーズと、働きたい医療人の想い。
その“見えないギャップ”を丁寧に埋めていくことで、地域医療が少しずつ持ちこたえていく。
バイタルが“経営の知恵”で支えるなら、ジョブスタは“人の力”で医療を動かす。
この両輪がそろって初めて、持続可能な医療が社会に根づいていくと、私たちは信じています。

現場の医師たちと真正面から向き合い、医療機関の価値を数字と言葉で見える化し、持続可能なかたちで医療を支えていく。それが、我がグループがここにいる理由です。



👨‍🌾マイルドオヤジの独り言


「病院は儲かっている」
「救急車は無料だから便利に使えばいい」

そんな“誤解”の上に積み上げられた制度と意識が、今、音を立てて崩れ始めています。

医療を守るのは、「患者」だけではなく、「私たち社会全体」です。

お金の話を避けてきた時代のツケが、倒産という形で可視化されつつあるいま、
「医業」という現実を、制度と意識の両面から見直す時が来たのではないでしょうか。

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