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真犯人は校長先生第17章 黒い文化祭 3

その瞬間、地下のコンピュータ室のドアが勢いよく開いた。

息を切らせて飛び込んできたのは、スマートフォンを握りしめた神崎麗奈だった。

その瞳には、かつての傲慢さではなく、自分の学校(居場所)を守るという、強い意志の光が宿っていた。

「黒木校長先生のインカムから、高坂君の暗号通信を受け取りましたわ。……私の父の会社のメインサーバー、全リソースの『三分の一』の制御権を、今この端末に同期させました! 天才少年たち、私の後ろ盾(パワー)を使いこなしなさい!」

「神崎先輩……!」

高坂君の目が驚愕に見開かれ、すぐに不敵な笑みへと変わった。

「了解です! 処理能力、通常の四百パーセントに上昇! ――如月、リヴァイアサンを最大出力で展開しろ!」

「はい……! ――ゲート、フルオープン!」

如月君のキーボードを叩く音が、まるで怒涛の雷鳴のように室内に響き渡った。

神崎グループの巨大なサーバー群の処理能力という「大人の暴力的な資本(パワー)」を手に入れた少年たちの論理は、もはや誰にも止められない絶対的な神の盾へと昇華した。


画面の中で、押し寄せていた不気味な黒い攻撃ログが、如月君の青いワームプログラムによって一網打尽にされ、次々と消去(クリーン)されていく。

『……敵のメインサーバーの逆探知、成功。これより、彼らの全ての攻撃拠点を、国際刑事警察機構(インターポール)のサイバー犯罪部門へ、神崎グループの公式名義で自動通報します。――全セクター、ノイズの排除を完了しました』

高坂君が静かにエンターキーを叩いた。

午後三時。

文化祭の終了を告げる、美しく、穏やかなチャイムが校内に響き渡った。

パニックも、停電も、データの盗難も、何一つとして起きなかった。
生徒たちは笑顔のまま、「楽しかったね」と言い合いながら片付けを始めている。

大人の狡猾な段取り、三人の天才少年の論理、そして巨大な権力を持つ少女のプライド。

それらが完璧に調律された瞬間、緑ヶ丘中学校は、文字通り世界で最も安全な「聖域」へと変わったのだ。

放課後の校長室。

私は一人、窓の外の夕焼けを見つめていた。

胸ポケットの万年筆を抜き、手元の白紙に「日常」とだけ書き込む。

私の心拍数は六十。
完全なる平穏。

大人の被る完璧な仮面は、少年少女たちの知性を両翼に従え、これからもこの美しい嘘の舞台を、永遠に支配し続けていくのだ。

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