20万分の1地勢図に鉄道路線を書き込んでみた 〜東京編〜
先日、東京に用事があったので、数年ぶりに行ってきた。現地に着いて改めて感じたが、東京の鉄道網は本当にややこしい。複数の路線が縦横無尽に展開していて、頭が混乱しそうになる。
一体、東京の鉄道網はどういう構造になっているのだろうか。後日、紙の地図に主要な鉄道路線を書き込む作業をしてみた。
使用したのは、国土地理院の20万分の1地勢図である。最近、地形図にハマっているのもあり、これを使うことにする。
地形図といえば、2万5千分の1や5万分の1といった縮尺のものが有名だ。小中学校での地図の読み取り問題で出題される地図は、大抵この2種類である。
それに比べると、20万分の1の縮尺の地図は、かなりマイナーな部類に入るだろう。しかし、20万分の1は広範囲のエリアを一度に見渡すことができるため、地味に便利である。
そういうわけで、20万分の1地勢図を使って、東京とその周辺の主要な鉄道路線を書き入れてみた。それが図1である。地図上の赤色の線が鉄道路線を示している。

20万分の1地勢図「東京」(2012年)、「千葉」(2010年)を加工して作成
図1のうち、東京都にあたる範囲を拡大したのが、図2である。

20万分の1地勢図「東京」(2012年)を加工して作成
今回は、地上をメインに走る路線に限定した。したがって、地下鉄は省略している(東京メトロ東西線の地上部分など一部、例外あり)。また、JRや私鉄各社によって路線の色の塗り分けなどはしていない。単純に面倒だったのと、あくまで路線全体の広がり具合を見たかったからだ。
あと、僕は鉄道マニアではないので、各路線の厳密な定義や区別については棚上げしている。その辺はご了承いただきたい。
さて、実際に路線を書き込んでみたが、全体を見渡してみると、やはり東京の鉄道網は複雑に入り組んでいるのがわかる。それでも大まかに区分すると、環状線(JR山手線、JR武蔵野線と南武線など)、放射状に伸びる路線、放射状の路線同士をつなぐ路線(東武野田線、新京成線、東急大井町線、東急世田谷線、京王井の頭線、多摩都市モノレールなど)の3パターンから成ることが窺える。
東京に土地勘がある人にとっては、この辺は常識かもしれない。おそらく本記事に載せた地図を見るだけで、どれが何の路線なのか、すぐに判別できるのではないだろうか。
都心では、環状線と放射状路線の交わる駅(渋谷、新宿、池袋など)が巨大なターミナルを形成している。
郊外に目を向けてみると、立川や八王子では複数の路線が交差しているのがわかる。その影響もあってか、この2都市の人口は多そうだ。地図上でも、人口密集地を示す赤い色で塗られている(図3)。

20万分の1地勢図「東京」(2012年)を加工して作成
八王子は、東京都という括りで見ると、東京の西の外れにある町のように感じる。『ブラタモリ』の八王子の回(2022年5月28日放送)の冒頭で、八王子のイメージを聞かれたタモリが「東京の西のどん詰まり」と答えていたのが印象的である。
しかし、鉄道や道路など交通網の観点から見直してみると、八王子は東西南北に伸びるルートのちょうど交差点に位置しており、交通の要衝であることが明らかだ。
八王子市の人口は約57万人であり、23区を除いた東京都の自治体の中では最も多い。「東京の西のどん詰まり」という見方だと、なぜこの場所にこれだけの人口が集中しているのか謎だが、「交通の要衝」だと聞けば納得がいく。
まとめ
今回の作業を通じて感じたのは、地図は単に眺めているだけでは、その面白さがわからないということである。
地図は、該当地域の膨大な情報を記号化して詰め込んだ媒体である。ある意味、カオスな存在だ。地図上のどこに注目するかは、見る人の自由である。逆に言えば、どこから見ていけば良いのか、わかりにくい。そういうところが、却って地図に対する取っ付きにくさを生んでいるように思う。
そんな地図に、特定のテーマに沿って手を加えてみると、混沌とした状態の中から情報が浮かび上がってくる。
今回でいえば、地図上に路線を書き入れてみることで、東京の鉄道網の複雑さの正体が少し明らかになってきた。
その一つが、放射状の路線の伸び方だ。東京都心から郊外へと向かう路線は数多くあるが、JR中央本線のようにほぼ直線を描いている路線は少なく、大部分が不規則なカーブを描きながら伸びている(図2)。中には、放射状の路線同士が途中で交差しているものもある(西武新宿線と西武池袋線など)。
そういった点が、東京の鉄道網全体のややこしさに拍車をかけているのではないか。
地図に手を加えてみると、地図はいろいろ語ってくれるようになる。地図の面白さを体感するには、このような能動的な行為が不可欠である。
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