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人生は探すものではなく、創るもの。古舘伊知郎さんの「伝えるための準備学」には、人生の哲学が詰まっていた

「才能とは一体、何なのだろう」

 古館伊知郎さんの著書「伝えるための準備学」を読み終えた途端、私は率直にそう思った。

書籍はAmazonで購入

 古舘伊知郎さんといえば、日本を代表するトップアナウンサーである。プロレスやF1の実況中継で人気を博し、NHK紅白歌合戦では司会を3年務めたこともある彼は、まさにアナウンサー界のレジェンド的存在。

 その古舘さんが、なんと書籍の中で自分のことを「喋りの才能があるという確認は、今も昔も持ったことがない」と話しているのだ。

 古舘さんの書籍によると、どうやら喋りについて人に褒められた経験はあったらしい。

 もしかしたら、自分には喋る才能がある「かも」しれない。なら、その「かも」という細い可能性を信じて、必死に努力してみよう。そう考えて、古館さんは今日の日まで「喋る努力」を続けてきたそうだ。

 本書では、古舘さんがアナウンサーの仕事において努力してきたことについて、余すことなく綴られている。残念ながら、その努力の数々は誰しもがすぐに真似できるものではないと、先に伝えておく。

 書籍で紹介されたエピソードは、どれも想像を絶するほど壮絶なものばかり。思わずページを捲ることに躊躇した程だ。

 エピソードの中でも、とくに過酷だと感じたのが「報道ステーション時代」の出来事である。

 古館さんはなんと、報道ステーションで仕事をしていた12年間の間、毎日150~300本の抗議を読み続けていたらしい。そのエピソードを読むなり、私はくらくらと眩暈がした。

 私は今、ライターとして活動している。過去には、Yahoo!トピックスに上がるような記事も、何度か執筆してきた。PVが伸びるのは嬉しいが、その一方で「話題に上がる」ということは、その分ヘイトも集まる。

 ヤフコメが荒れたこともあれば、直接メールで抗議の連絡が届くことも少なくなかった。私のところに届くのは指で数える程度ではあったが、それでも雪崩のように落ち込んだ。

 古舘さんは、気の滅入るような抗議文に、毎日目を通していたらしい。自分の評価を冷静に受け止め、次の仕事へ繋げていく。なかなかできるものじゃない。

 古舘さんの書籍の中には、その他にもびっしりと書かれたメモや、努力されてきたことがたっぷり綴られていた。

 普段私は、インタビューの仕事でもない限り、メモを取らない。理由は、メモの管理ができないのと、面倒くさいからだ。

 ところが彼がメモ魔と知るなり、思わず書籍で気になった部分をメモしている自分がいた。本の影響力とは、実に恐ろしい。

メモしてみた

 メモをすると、全く違うフレーズであっても点と線で繋がる部分があることを発見する。本を読んで感想を書く時は、気になる部分をメモしていくと、より良いものが書けるのかもしれない。

 話を、古舘さんの書籍に戻そう。書籍の中で、彼は自分を「才能がない」と言い切っているが、はたしてどうだろうか。

 私からすれば、自分を諦めない才能を持つ稀有な人だという印象だ。諦めないというのも、立派な才能ではないだろうか。

 私は今、45歳になった。この年まで生きていると、「辞めるよりも、続けること」がいかに大変であることを知る。そして、何事も続けてみないと道が開けないことも、痛切に感じるようになる。

 もちろん、嫌なことがあれば逃げるのは悪いことじゃない。人によっては、病んでしまうこともあるし、死にたくなることだってあるだろう。そんな時は、なにもかも捨てて「生きる」を選ぶか、または誰かを頼るのが得策だ。

 この本は、今の人生をリセットしたい方ではなく「自分の人生を諦めたくない」人向けのバイブルという気がした。だから、活力・気力のある時に読んだ方がいい。

 書籍には古館さんが仕事をする上で努力してきたこと、心掛けなどが書かれているが、メインテーマを1つに絞るとするならば「自分を信じて努力を重ねることでしか、道は開けない」というメッセージだろうか。

 この書籍には、その他にも至る所に古館さんのバイブルが散りばめられていた。

 人生とは、今この時を積み重ねていくことが大切であること。夢や理想の自分は、探しても結局見つからない。探すんじゃなくて、自分で創り続けていくことが大切なのだと。

 たとえどんなに努力や準備を重ねても、決して叶うとは限らない。けれど、必死に努力を重ねていけば、少しでも自分が理想とする「人生」を創造できるのかもしれない。

 そして、自分にたとえ「才能がない」と感じたとしても、小さな可能性を信じて諦めずにコツコツ進み続けていくことで、大きく道が開けるのだと。

 人は幸せになりたいと言うが、幸せは泡のようにすぐ消える儚いものである。だが、人生はその繰り返しだ。「一瞬でもいい」と受け止めることで、幸せへの執着が薄くなって、人生が生きやすくなるなどなど。

 どの言葉も、ある程度は誰しもが理解しているような内容ばかり。そして、そのどれもが目を覆いたくなるものでしかなかった。

 世の中にキラキラした言葉が溢れているのは、僅かな希望を頼りに、救われたいと願う人が世の中にたくさんいるからだと思う。

 もちろん、その想いを持つことは決して間違いじゃないのだけれど。その言葉を発している人たちは、どの方もみな「あなたの人生」の責任など取ってくれないことをご存知だろうか。むしろ責任感があれば、上手い言葉など容易く人に吐けないものだと私は思う。

 昨今では「生きづらい」と悩む人も増えている。そう思ってしまうのは、生きるハードルを自ら上げてしまっているからなのかもしれない。そう、キラキラした言葉たちに惑わされて。

 本書は、自己啓発本でもなければ、仕事のノウハウ本でもない。日本のトップアナウンサーである「古舘伊知郎氏」による、生き方のバイブルだ。

 この本を読んだからと言って、古舘さんのように話が上手くできる訳でもなければ、仕事で成功できるとは限らない。

 むしろ、手っ取り早く成功したい方は、この本を手を取るのを少し待った方がいい。コスパ・タイパを狙って成功を収めたいなら、「3ヶ月で月収〇〇万円稼げる!」という情報商材を購入した方が手っ取り早いはずだ。

 なお私は、その手の情報商材を購入したことがないので、そんなことを言っても説得力がないのだけれども。

 実は過去にある縁がきっかけで、30万円相当の情報商材を無料で手にしたことがある。私からすれば、塵でしかなかった。結局のところ生きた情報は、大金をはたいても掴めないと悟ったのもこの頃である。

 生きた情報とは、自分で手足を動かして「掴みにいく」ことが大切なのだと。それと全く同じ内容が、古舘さんの書籍では紹介されていた。古舘さんも、どうやらコスパ・タイパという言葉が苦手そうなので、私と気が合いそうだ。

 テレビで活躍している人の姿を見ていると、何でも直ぐにできてしまうようにも錯覚してしまう。

 それは違う。表舞台で活躍している方々は、その裏で入念な準備や、努力を続けている。だからこそ、人々から評価され、次の大きな仕事を引き寄せているのだ。その道に、最短ルートなんてどこにも存在しない。

 この書籍は「楽をして成功をしたい」という方にはおすすめしない。トップアナウンサーの目を覆うような苦悩や葛藤が綴られているので、人によっては頭痛・眩暈がするかもしれない。

 頭痛や眩暈を感じたら、もしかしたら本のせいではないかもしれないので、病院へ行くことをおすすめする。

 この書籍には、国民的トップアナウンサーが、一体どんな苦労をしてきたのか。どのような努力を重ねてきたのかについて、たっぷり紹介されている。

 古舘さんの「努力の裏側を知りたい」という方や、人生の諦め癖がついているので「そろそろ断ち切りたい」と考えている方は、ぜひ本書を手に取って欲しい。

【完】


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応募条件は、対象書籍である『伝えるための準備学』を読んで、感想や書評をnoteに執筆すればOKとのこと。

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