まるでキングダムの地図?広大な敷地に、散りばめられたアクティビテイを楽しめるNEMUリゾートに泊まってみた
伊勢志摩にある宿「NEMUリゾート」の扉を開けると、煌びやかな照明が出迎えてくれた。


リゾート内は敷地が広大で、至る所にさまざまなアクティビティがある。宿から出なくても、一日中楽しめそうだ。

スタッフの方に確認すると、遠方へ行くには専用のランドカーで移動するとスムーズとのこと。ランドカーを利用するには、別料金がかかる。
「お金がもったいないじゃん。歩いていけそうな場所だけ行けばいいんじゃない?」
スタッフからランドカーの利用料金を聞かされるなり、夫がボソリと呟く。正直私は、ちょっとだけランドカーに乗ってみたいと思っていた。けれど夫はすでに料金をチェックしていて、今借りたらお得かどうかも計算済。まるで、プロの主婦みたいだ。
結局、私たちはホテルから比較的近い「東の見晴台」へと向かうことにした。
東の見晴台
見晴台に向かうまでは、細い山道を進まなければならない。

娘はまだしっかりと歩けずベビーカー移動だが、やむなく置いていくことにした。
娘はまだ足元がおぼつかないし、目的地まで歩けるだろうか。不安そうに、顔を見合わせる私たち夫婦……。
すると、向こうから犬を連れたマダムがあらわれた。マダムの隣には、穏やかな表情をして娘さんの姿もある。
一瞬「育ちが良さそうだ。親に愛され、十分な富に恵まれ、幸せそうで羨ましい」と思ったけれど。
一瞬で人のことなど、そもそもわかるわけがない。お嬢様にも、本当は苦悩だってある。偏見は良くない。
わかってる。わかっているけれども。表情や雰囲気には、「人となり」があらわれやすいと思う。穏やかな人を見ると、不思議と背がしゃんと伸びるのはなぜだろう。
「日が暮れると危険だから、早く行った方がいいわ。大丈夫よ。ワンチャンだって、歩けたんだから」
そう言って、マダムはにっこりと微笑む。マダムと娘さんは、私たちを見守るように「頑張ってね」と声をかけ、足早に去っていく。

目的地まで辿り着くと、右上にほんのり虹のようなものが見えた気がした。
「あっ虹だ」と私が言うと、夫は「あれは違う。雲と空の境目だよ」と一言。

それでも私には、虹に見えたんだ。
もしかしたら景色だけじゃなく、何事においても。モノの見方によって違う景色があるのかもしれない。

ホテルに戻ると、すでに日が暮れていた。

エントランスの前に、大きなブランコがあった。
娘を乗せるべきだろうか。なんだか、親の愛情を試されている気がする。でも私は、慣れない山道を歩いて疲れていた。
できることなら、一刻も早く布団で寝転がりたい。
「ブランコに、○○ちゃん(娘の名前)を乗せてあげたい」
夫はそう言って、ふいと娘に目をやる。娘はびっくりした様子で、大きなブランコを眺めている。乗ったことのないブランコだし、不安なのだろう。
少しでも娘を喜ばせてあげたい夫と、早く布団で寝転がりたい妻。
2人の温度差を感じるたびに、私は娘をちゃんと愛せているのかと不安になる。

いざブランコに乗ってみると、最初は不安そうだった娘も、たちまち頬が緩んでいく。
夫が正解だった。そして私は、少し夫に負けた気がした。
子育てなんて協力し合うものだし、勝負するようなものではない。わかっているけれど、ちょっぴり悔しい。
ブランコに乗り慣れてくると、娘がキャハハと笑い始めるようになる。慣れたのだろう。
何事も、慣れるまでは不安や恐れを感じるものだ。でも一歩踏み出せば、今まで体感したことがないような景色が、そこに広がっているのかもしれない。
挑戦する前は、確かに怖い。失敗したらどうしようとか。色々考えてしまう人からすれば、一歩踏み出すのはエネルギーが必要だ。
その一方で、挑戦すると経験者にしかわからない景色を見ることができる。
もちろんその景色は、人によって十人十色。簡単に共感し合えるものなんかじゃない。
それでも、それぞれの挑戦や経験を「お互い、色々あったね」と笑い合えたら。どんなに素敵だろうか。
ブランコに慣れて、ケラケラと笑い始める娘を見るなり、そんなことをぼんやりと思った。
