発達障害のある人に「急な変更」がつらい理由|職場と家庭ですれ違いを減らす対策

「急に予定が変わるのがしんどい」
これは発達障害のある人の中で、かなりよくある困りごとです。
でも周りからは、
「それくらい対応してよ」
「臨機応変にやればいいのに」
「急なことなんて誰にでもあるでしょ」
と思われることがあります。
たしかに、急な変更は誰にとっても多少は面倒です。
でも発達障害のある人にとっては、ただ面倒なだけではなく、頭の中の段取りそのものが崩れてしまうことがあります。
そのため、周囲が思っている以上に強い負担になりやすいです。
ここが伝わらないと、
「わがまま」
「融通がきかない」
「やる気がない」
と誤解されやすくなります。
でも実際は、性格の問題だけではありません。
情報の切り替えや整理の負担が大きいことがあります。

なぜ急な変更がこんなにしんどいのか
急な変更がつらい時、本人の中ではこんなことが起きやすいです。
さっきまで考えていた流れが止まる。
何が変わったのか一気に整理できない。
どこからやり直せばいいか分からない。
優先順位が崩れて頭が真っ白になる。
焦って余計に動けなくなる。
外から見ると、少し予定が変わっただけに見えるかもしれません。
でも本人の中では、
今まで組み立てていた順番が一気に壊れる
ような感覚になることがあります。
だから、変更そのものより、
切り替えに必要な処理の多さで苦しくなりやすいのです。

ASD傾向のある人に起こりやすいこと
ASD傾向のある人は、見通しがあることや、決まった流れがあることに安心しやすいことがあります。
そのため、
予定通り進まない。
ルールが途中で変わる。
最初に聞いていた話と違う。
曖昧な変更が突然入る。
こうしたことがあると、かなり強いストレスになりやすいです。
本人としては、別に反抗したいわけではありません。
ただ、頭の中では
「最初の話と違う」
「どこから変わったのか分からない」
「また全部組み直さないといけない」
となって、処理が追いつかなくなることがあります。

ADHD傾向のある人に起こりやすいこと
ADHD傾向のある人は、もともと優先順位づけや段取りの整理で負担が大きくなりやすいことがあります。
そのため、
途中で別のことを頼まれる。
急に優先順位が変わる。
同時に複数の変更が入る。
こうしたことがあると、頭の中が一気に混線しやすいです。
結果として、
何からやればいいか分からなくなる。
元の作業も新しい作業も中途半端になる。
焦ってミスが増える。
また怒られて自己否定が強くなる。
という流れになりやすいです。

周囲が気づきにくい理由
急な変更が苦手なことは、外から見えにくいです。
車いすや白杖のように、ぱっと見て分かるものではありません。
だから周囲は、
「今ちょっと予定が変わっただけ」
「少し順番が入れ替わっただけ」
「普通に伝えたら分かるはず」
と思いやすいです。
でも本人にとっては、その“少し”が大きいことがあります。
特にしんどいのは、
変更そのものより、
何がどう変わったのかを
その場で整理しないといけないこと
です。
ここを理解されないと、
「なんでそんなことで固まるの?」
と言われてしまいやすいです。

こんな場面ですれ違いやすい
急な変更のしんどさは、仕事でも家庭でも起こります。
たとえば職場では、
「今日からやり方変わったから」
「こっちを先にやって」
「さっきの話なしで」
「急ぎの案件が入ったから予定変更」
こういうことがあります。
家庭では、
「やっぱり今から買い物行こう」
「先にこれやって」
「今日の予定変わったよ」
「今すぐ手伝って」
という形で起きることがあります。
言っている側は軽い変更のつもりでも、
受ける側にはかなり重いことがあります。

よくない対応
すれ違いを大きくしやすいのは、こういう対応です。
「それくらい普通に対応して」
「考えれば分かるでしょ」
「前も言ったよね」
「臨機応変にやって」
「そんなに固まらないで」
こう言われると、本人はさらに焦ります。
焦るほど頭の整理が追いつかなくなり、余計に動けなくなることがあります。
つまり、急かすことが解決になるとは限りません。

すれ違いを減らすための対策
ここからが実用的な部分です。
1. 何が変わったのかを短く言葉にする
急な変更を伝える時は、まず
何が変わったのか
を一文で言うだけでもかなり違います。
たとえば、
「午前にやる予定だったAは午後に変更です」
「今の作業より、先にBを優先してください」
「やり方は昨日までと違って、今日はこの手順です」
このように、変更点をはっきりさせることが大事です。

2. 優先順位を一緒に確認する
変更が入ると、本人の中では
「何からやればいいのか」
が一番分からなくなりやすいです。
なので、
「まずこれ」
「次にこれ」
「これは後でいい」
と順番を言葉にすると、かなり動きやすくなります。

3. 一度に全部変えない
急な変更が苦手な人に対して、複数の変更をまとめて入れると混乱しやすいです。
なので、
まず一つ伝える。
理解できたか確認する。
必要なら次を伝える。
この方がずっと伝わりやすいです。

4. メモやチャットを使う
口頭だけだと、変更点を頭の中で保持する負担が大きくなります。
短いメモ。
チャット。
箇条書き。
こうした形があると、あとで見返せるのでかなり楽になります。

5. 本人も「確認の言葉」を持っておく
発達障害のある人の側でも、確認の言葉を持っておくとかなり違います。
使いやすいのは、たとえばこういう言い方です。
「変更点を整理してもいいですか」
「今の最優先を確認したいです」
「最初にやるものを教えてください」
「どこまで変わったのか確認したいです」
「一つずつ確認しながら進めたいです」
これは甘えではありません。
ズレを減らして、ちゃんと動くための工夫です。

健常者の人に知ってほしいこと
急な変更が苦手な人は、怠けているわけでも、わざと困らせているわけでもありません。
ただ、
切り替えに時間がかかる。
頭の中の順番が崩れやすい。
変更の整理に負担が大きい。
そういうことが起きやすいだけです。
つまり問題なのは、やる気ではなく
変更に対応するための条件かもしれません。
だからこそ、
「もっと頑張れ」
ではなく、
「どう伝えたら動きやすいか」
「何があると混乱しにくいか」
を考える方が、ずっと現実的です。

発達障害のある人に伝えたいこと
急な変更がしんどいと、
「自分は融通がきかないのかな」
「社会人としてだめなのかな」
と責めてしまう人もいます。
でも、苦手さそのものは珍しいことではありません。
大事なのは、無理に全部を一人で抱え込むことではなく、
変更点を確認する。
優先順位を聞く。
メモを取る。
一つずつ整理する。
という形で、自分が動きやすい方法を持つことです。
急な変更が苦手でも、工夫があればかなり楽になることがあります。

まとめ
発達障害のある人にとって「急な変更」がつらいのは珍しいことではありません。
それは、
見通しが崩れやすい。
優先順位が分からなくなりやすい。
切り替えに負担が大きい。
一度に整理する情報が多い。
こうしたことが重なりやすいからです。
だから必要なのは、
「それくらいやってよ」と責めることではなく、
何が変わったかを言葉にする。
優先順位をはっきりさせる。
一度に言いすぎない。
確認しやすい形を作る。
ことです。
急な変更に強いか弱いかだけで人を判断するより、
どうすればお互いに動きやすくなるかを考える方が、ずっと役に立ちます。

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