※無料記事【上昇線と下降線が交わる前夜、日東電工の1Q決算を待つ構造】日東電工(6988)
解析日:2026年07月24日
■ 6988 日東電工
東証プライム/化学
【事業内容】
・粘着技術や高分子合成・塗工技術を強みに、電気・電子材料、自動車用品、医療機器・医薬品など多岐にわたる高機能材料を提供する大手化学メーカー。
・主力のエレクトロニクス関連では、スマートフォンやディスプレイに使われる液晶用偏光板などの光学フィルム(情報機能材料)や半導体製造用プロセス材料、回路材料などを展開する。
・産業用粘着テープ(インダストリアルテープ)のほか、ライフサイエンス分野における核酸医薬の受託製造(CDMO)や経皮吸収型医薬品、水処理用高分子分離膜(メンブレン)などグローバルニッチトップ製品を多く抱える。
ストーリーライン──なぜ今ここにいるのか
日東電工は光学フィルム・回路材料・工程用テープを世界に供給する精密素材メーカーです。売上の8割を海外で稼ぎ、近年はAIデータセンター向けのHDD用回路一体型サスペンション(CIS)が新たな成長軸として注目を集めています。
株価は2026年1月15日に年初来高値3,834円をつけた後、急速に失速しました。外資系大手の一角が4ヶ月で保有比率を約8.95%から2.54%まで切り下げ、市場に大量の浮動株を放出したことが下落の構造的な背景にあります。4月末から5月にかけて2度の大陰線が出て、6月11日には年初来安値2,882.5円まで沈みました。
そこから株価は反転し、7月に入って約3,300円台を回復しています。チャートを見ると、2025年4月安値を起点とする上昇線が一度破られながらも再び支持として機能し始め、一方で2025年10月高値から続く下降線が3,350〜3,450円付近で天井を形成し続けています。二本のラインは時間とともに収斂しており、株価はその三角形の内側で動けない状態にあります。
何が方向を決めるのか。5日後の1Q決算が、その扉を開けるかもしれません。


現在地の解像度──今何が起きているのか
ファンダ:穏やかな増益予想の中に残る利益の質の問題
直近本決算(FY2025・2026年3月期)の営業利益は183,615百万円で、前期比わずか-1.1%の微減益でした。光学フィルムを中心とするOptronicsセグメントで液晶向けを戦略的に縮小したことと、中国自動車市場の減速が響いた形です。それでも同セグメントは営業利益149,871百万円・利益率28.4%を維持しており、会社全体の稼ぎを一手に支えています。
今期(FY2026・2027年3月期)の会社予想は営業利益193,000百万円(前期比+5.1%)です。AIデータセンター向けHDD用CIS需要の拡大と、ハイエンドスマートフォン向け電気剥離テープの採用拡大が成長の柱として挙げられています。豊橋事業所への390億円の設備投資も、同方向への長期的な布石です。増配計画(60円→64円・8期連続)と総還元性向60%以上という株主還元方針も、上方推進力として機能しています。
ただし成長の角度は穏やかで、+5.1%という数字に加速感はありません。ヒューマンライフとその他の2セグメントが合計約120億円の赤字を抱えており、Optronicsの稼ぎを食い続けている点は利益の質への疑問として残ります。
需給:浮動株の残滓と、静かになった信用の構造
キャピタル・リサーチが4ヶ月で保有比率を約8.95%から2.54%まで切り下げ、放出した浮動株は約4,350万株相当に上ります。ブラックロックが同期間に1.21%増加したことである程度相殺されていますが、放出規模の大きさに対して再吸収には時間を要する状態が続いています。この浮動株の残滓が、2026年初から6月安値にかけての下落の構造的な背景の一つでした。
一方、信用の構造は静かになっています。信用買い残は約91.9万株・倍率7.47倍と買い長に傾いているものの、発行済株式数の0.14%に過ぎず、前週比-11.6万株と縮小が続いています。日証金の融資残も3週間で41,300株から27,000株へ-34.6%と持続的に減少しており、短期ポジションの自然な解消が進んでいることが確認できます。機関による空売りは2026年4月下旬以降に全社が報告義務水準を下回り、現在は活性中の摩擦がゼロの状態です。
信用が軽くなった分、浮動株の残滓が決算後の値動きをどう左右するかが需給の核心にあります。
テクニカル:収斂する二本のラインが、今どこを走っているか
週足で確認できる2025年4月安値(約2,254円)から来る上昇線は、5〜6月の下落時に一度下方ブレイクされました。しかし7月に入って価格がその線を再び上方に抜き返し、レジスタンスからサポートへの転換が起こっています。この転換線は現在3,150〜3,250円付近を走行しており、25日移動平均(3,221円)・26週移動平均(3,228円)との収斂帯を形成して下値を支えています。
上値側では2025年10月高値(約4,054円)から来る下降線が3,350〜3,450円付近を走行し、2026年1月以降の戻り高値を繰り返し抑えてきました。3,350〜3,600円の価格帯には1〜4月の高値圏で積み上がった出来高抵抗帯が存在し、含み損玉の層が厚く残っています。長期デッドクロス(3,637円)もこの帯の奥に控えています。
下値側の3,000〜3,200円には4〜6月の大商いが蓄積した出来高岩盤があります。ただし一度ブレイクされた3,000円付近は、再接近時に支持として機能するかどうかが未確認の床として留保されています。現在値3,322円は収斂帯のほぼ中央にいます。
これからの分岐──構造として示す
上方分岐の条件と展開
FY2026 1Q決算(2026年7月29日)で営業利益が通期予想193,000百万円の25%以上、すなわち48,250百万円以上で着地することが上方分岐の起点となります。前年同期42,645百万円(通期進捗23.2%)からの回復が数字として示されれば、穏やかだった上方推進力に具体的な裏付けが生まれます。特にOptronicsセグメントの利益率が維持されているか、AI・DC向けCIS需要の実績数値が記述されているかが読み解くべき内容です。
ファンダに裏付けが生まれた場合、信用が縮小して軽くなった需給が上昇の摩擦を最小化する環境として機能します。ただしキャピタル・リサーチが放出した浮動株の残滓がまだ市場に残っており、決算後に株価が上昇した場合の出来高が実需の買いによる吸収を伴っているかどうかを確認する必要があります。数字だけでなく、値動きと出来高のセットで読む場面です。
株価が下降線(3,350〜3,450円)を出来高を伴って上方ブレイクした場合、次の関門は長期デッドクロス(3,637円)、その先に年初来高値(3,834円)、さらに奥に分割調整後の実効上場来高値(約4,054円)が控えます。3,400〜3,600円帯は出来高集中帯とデッドクロスが重なるため、ブレイク後の走行にも追加の推力が継続して必要になります。
下方分岐の条件と展開
1Q決算で期待に届かなかった場合、または通期ガイダンスの下方修正が出た場合が下方分岐の起点です。ヒューマンライフセグメントの赤字拡大、Optronicsの利益率悪化、円高の急進による海外収益の圧縮がそれぞれ引き金になり得ます。
ファンダが崩れた場合、浮動株の残滓が売り圧力を増幅するリスクがあります。信用が縮小して軽くなった需給は、この局面では下落の加速を抑える緩衝材にもなり得ますが、その効果には限界があります。株価がMA収斂帯(25日3,221円・26週3,228円)を下方ブレイクした場合、最初に機能を試されるのは3,000〜3,100円帯です。13週移動平均(3,115円)と4〜6月の出来高岩盤が重なるこの帯が初押しの着地候補になります。これを割り込むと2,882〜2,950円(年初来安値圏)への深押しが視野に入り、2025年4月安値を起点とする上昇トレンドの構造そのものが崩壊することになります。
観察の焦点
7月29日の1Q決算で、まず確認すべきは営業利益が前年同期42,645百万円を上回り、通期進捗25%ラインを越えて着地するかどうかです。その数字が出た後に見るべきは出来高です。キャピタル・リサーチが放出した大量の浮動株がまだ市場に残っており、決算後の値動きと出来高のセットが実需の吸収を伴っているかどうかが上値の伸びを左右します。そしてテクニカルとして、下降線(3,350〜3,450円)を出来高を伴って抜けられるか、あるいはMA収斂帯(3,221〜3,228円)を割り込むか。収斂帯は時間的に限界に近づいており、決算がその解放トリガーとなる構造です。
【投資に関する重要事項】
・本解析は、AIが特定のロジックに基づき計算・出力したデータであり、将来の利益を保証するものではありません。
・相場には常に想定外の変動リスクが伴います。本情報を鵜呑みにせず、必ずご自身の判断と責任において最終的な投資決定を行ってください。
・本情報に起因するいかなる損失についても、当方は一切の責任を負いかねます。資金管理を徹底し、許容できるリスクの範囲内でトレードを行ってください。
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