商品を売るな。情報を売れ。
チラシを配っても、反応は数件だけ。
SNS広告を出しても、クリックはされるけど申し込みにはつながらない。
クーポンを出せば人は来るけど、割引が終わると来なくなる。
もしあなたが、広告やチラシを使って集客をしているけどうまくいっていないとしたら、もしかしたらそれは“商品を売っているから”かもしれません。
「え?広告って商品を売るためのものじゃないの?」
と思うかもしれません。
もちろん最終的にはそうです。
でも、いきなり商品を売ろうとすると、うまくいかないことが多いのです。
なぜなら、ほとんどの人が探しているのは、商品そのものではなく、自分の問題を解決してくれるアイデアや役立つ情報だからです。
たとえば、肩こりで悩んでいる人は、最初から「整体院」を探しているわけではありません。
髪のパサつきで悩んでいる人は、最初から「髪質改善トリートメント」を探しているわけではありません。
売上が伸び悩んでいる社長も、最初から「マーケティングコンサル」を探しているわけではありません。
肩こりを治す方法や髪のパサつきを抑える方法、売上を上げる方法やアイデアを探しているのです。
もちろん、すでに商品を探している人もいます。
いわゆる「今すぐ客」です。
でも、今すぐ客は市場全体で見ると少数派です。
しかも、その人たちはすでに比較検討モードに入っています。
「どこが安いか」
「どこが近いか」
「どこが一番お得か」
こういう基準で見比べているので、どうしても価格競争に巻き込まれやすくなります。
これはなかなか厳しい戦いです。
でも、ここで重要なのは、この戦いに勝つことではありません。
「戦わずに勝つ」ことです。
ここでいう「戦わずに勝つ」とは、ライバルより安くすることではありません。
ライバルと同じ土俵に乗らない、ということです。
商品を比べられる前に、まず「この人の話は役に立つ」と思ってもらう。
その状態を作ることができれば、比べられることはなくなります。
じゃあ、どうやって?という話なんですが、実は答えはとてもシンプルです。
戦わずに勝つ広告を作るためにやるべき“たった2つのこと”
まず、相手の問題を解決するためのアイデアや役立つ情報を提供する。
そして、そのアイデアを実現する手段として、自分の商品やサービスを提案する。
この順番がとても大切です。商品が先ではなく、情報が先です。
たったこれだけのことなんですが、この手法はとてもパワフルです。どれほどパワフルかというと、、、
1)売り込み臭がなくなる
人は売り込みだと悟った瞬間にそれを無視しますが、この方法だと売り込まれている感がほとんどないんです。
それどころか、もっと詳しく知りたいとさえ思ってもらえる可能性が高まります。
2)より多くの見込客にアプローチできる
商品を探している人より問題を解決する方法やアイデアを探している人の方が圧倒的に多いので、より多くの見込客にアプローチできます。
3)売り込まなくても売れる
先に有益な情報を提供することで相手からの信頼残高が貯まります。
そして、信頼残高が貯まると、無理な売り込みをしなくても商品は自然と売れていきます。
*信頼残高についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
4)他社と比較されにくい
人は、自分の知らなかった視点を教えてくれた相手に、一目置くようになります。
その結果、単なる業者ではなく「相談相手」として見てもらいやすくなる。
だから、他社と単純比較されにくくなるのです。
これがいわゆる「記事広告」とか「コンテンツ型広告」と呼ばれるものですが、別にこれは新しい手法でもなんでもありません。
昔から使われてきた手法で、これを使って数々の広告を大ヒットさせてきたのが、「広告界の巨人」と呼ばれたデイヴィッド・オグルヴィです。
オグルヴィの広告の面白いところは、いかにも広告っぽく商品を売り込むのではなく、読者が思わず読みたくなる“情報”として広告を作っていたところです。

世界中でクライアントを獲得した広告
たとえば、オグルヴィは自社の広告代理店(オグルヴィ&メイザー)を宣伝するために『売れる広告を作る方法』というキャッチコピーの広告を作りました。

オグルヴィはオープニングでこう切りだします。
オグルヴィ・アンド・メイザーは、これまでに14億8,000万ドル以上に相当する広告を制作し、成果を追跡するために490万ドルを費やしてきました。ここでは、私たちがこれまでに学んできた売れる広告を作るための38の秘訣を紹介します。
ビジネスをしている人なら誰だって、売れる広告を作りたいと思うものです。
その秘訣を教えてくれると言われれば、先を読み進めずにはいられなくなるでしょう。
しかもそれを、売れる広告を作ってきた実績がたくさんある人が教えてくれるなら、なおさら知りたくなるでしょう。
たとえば、ひとつ目に書かれていたのが「ポジショニング」についての話です。
オグルヴィはこう言います。
広告の成果は、広告をどう書くかよりも、商品をどう位置づけるかに大きく左右される。
シュウェップスをソフトドリンクとして売るのか、カクテルの割り材として売るのか。
ダヴを乾燥肌のための商品として売るのか、手を本当にきれいに洗う商品として売るのか。
その決定が、広告の成果を大きく左右するというわけです。
この広告のうまいところは、読者に「なるほど」と思わせながら、同時に「じゃあ、自分の会社ではどうすればいいんだろう?」という疑問を残しているところです。
「なるほど、ポジショニングが大事なんだな」ということはわかっても「じゃあ、どうやってウチの商品をポジショニングすればいいか?」まではわからない。
それを知るためにはオグルヴィ&メイザーのクライアントになるしかないわけです。
「38の秘訣」を公開した後、オグルヴィはクロージングでこう締めくくります。
では、私たちが知っていることはこれで全部なのでしょうか?
これらの発見は、ほとんどの商品カテゴリーに当てはまります。しかし、すべてに当てはまるわけではありません。
オグルヴィ・アンド・メイザーは、食品、観光・旅行、一般用医薬品、子ども向け商品、その他の分類において、広告を成功させる要因について、それぞれ独自の専門的な知識体系を築いてきました。
ただし、こうした特別な情報は、オグルヴィ&メイザーのクライアントにのみ公開されています。
驚くべきなのは、広告の中でセールスをしているのは最後のこの部分だけだということです。
一般的な広告代理店が自社の実績やサービス内容ばかりをアピールする中で、有益な情報を提供するこの広告は多くの企業の注目を集め、世界中で新規クライアントを獲得しました。
ギネスビールを飲みたくなる広告
もうひとつ、オヴルヴィのちょっと変わった広告を紹介しましょう。これはギネスビールの広告です。
コンテンツ型広告には、大きく2つの方向があります。
ひとつは、さっきの事例のような悩みや問題を解決する情報を提供する方法。
もうひとつは、商品を使いたくなるシーンや楽しみ方を提案する方法ですが、この広告は後者です。

この広告では『ギネスに合う牡蠣ガイド』というキャッチコピーで、ギネスビールをよりおいしく飲める牡蠣を紹介しています。例えば、、、
ケープコッド産の牡蠣は非常に風味豊かな牡蠣です。
その最大の天敵はヒトデです。ヒトデは牡蠣に腕を巻きつけ、足を使って殻をこじ開けます。その戦いは何時間も続き、やがてヒトデはごちそうにありつきます。
しかし、残念ながら、そこにギネスはありません。
こんな感じで9種類の牡蠣を紹介した後、最後にちょっとだけギネスビールの紹介を入れています。
どんな牡蠣も、ギネスの生ビールと一緒に味わう時に、そのおいしさが最も引き立ちます。
これは、セインツベリー教授が『Notes On A Cellar-Book』の中で「かの高貴なる酒――黒ビールの中で最も美しいもの」と呼んだ飲み物です。
ギネスの醸造に使われる麦芽の大半は、南アイルランドの肥沃な農場で育てられたものです。
また、酵母は、190年前にダブリンでギネスが使っていた酵母の系統を受け継いでいます。
この広告は、ギネスの味を長々と説明しているわけではありません。
その代わりに、読者の頭の中に「牡蠣を食べるなら、ギネスが合うらしい」という新しい楽しみ方を植えつけています。
つまり、商品そのものを売るのではなく、商品が欲しくなるシーンや楽しみ方を売っているのです。
もはやビールの広告なのか牡蠣の広告なのかわからないくらいですが、この広告を読んだ人はきっと、スーパーに駆け込んでギネスビールと牡蠣を買って帰って家で一杯やるか、オイスターバーに飛び込んでギネスビールを頼んだことでしょう。
商品を売るな。情報を売れ。
というわけで、今日は情報を提供してから商品を売るコンテンツ型広告についてお話ししました。
広告というと僕たちはつい「いかに商品の魅力を伝えるか」ばかりにフォーカスしがちですが、広告でいきなり商品を売るのではなく、その商品が必要になる理由を伝える。
あるいは、その商品を使いたくなるシーンを提案する。
そうすることで、より多くの見込客にアプローチできるだけでなく、喜ばれながら自然と商品を受け入れてもらいやすくなります。
これが、売り込まずに売る広告の作り方です。
この方法を自社の広告に取り入れる方法はとても簡単です。
「この商品を買ってもらうために、見込客にどんな情報を提供すればいいか?」
と自分に問いかけてみてください。
すると、いろんなアイデアが出てくると思いますよ。
ぜひ、やってみてくださいね。
それでは、また。
