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【創作大賞応募作品】波は、遠くから

7月3日は波の日らしい。「な・み」の語呂合わせだそうで、由来を知ってもさほど心は動かないのだが、動いたのは足元の猫だった。

たまちゃんは波を知らなかった。
「今日は波の日なんだって〜」の一言に、あそこまで反応するとは思っていなかった。耳が動き、しっぽが立ち、目が見開く。猫にとって「波」が何なのか、私には見当もつかない。それでも期待だけは、はっきり伝わってきた。

画面越しの海を見せたら、しばらくじっと見つめていた。そわそわと動くしっぽの先。ここまでは、まあ想定内だった。

問題はそのあとだ。波が崩れる音に毛が逆立って、部屋の隅まで飛びのいた。私は少しの間、状況が飲み込めなかった。膝の上にいたはずの猫が、いつのまにか遠くにいる。

たまちゃんはすぐに何事もなかったような顔に戻って、香箱座りで前足を舐め始めた。波は、遠くから眺めるものらしい。

長崎に住んでいると海はわりと身近にあるほうだと思うのだが、たまちゃんにその実感はないようだった。猫にとっての海は、たぶんスマホの画面の中で完結している。それで十分なのだろう、あの様子を見ていると。

#創作大賞2026 #マンガ部門

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