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『ライジン』 第3話 #創作大賞2024 #漫画原作部門


1話

2話


■未確認飛行物体マハ 隊長室

隊長であるジーラー(56)が部屋の奥に座り何か机の上のものを見ている。
チョウジとカブトは2人で少し緊張して立っている。
ジーラーは金の髭と髪をライオンのように逆立てた風貌で、軍服に色々と金の装飾が施されている。

ジーラー「…確かに蜘蛛のドローン回収したのはすごいよ… 敵から霊石ゲットできるし良いことだ。だけどあんま無茶しちゃダメだから!」

カブト「はい…」

ジーラー「君は将棋でいう王将だよ。
取られたら俺たち全員負けちまうんだからね。
ま、今回は相手が襲いかかってきたから仕方ないんだけど」

チョウジ「その辺は俺たちもしっかり見張っておきます」

ジーラーはチョウジの方を見る。

ジーラー「今回は相手がロボットだから良かったけど、流石にガチで襲われたらカブトくんに勝ち目ないからね」

ジーラーは立ち上がる。
身長は190cmくらいはあるかというくらい大きい。

ジーラー「敵としては、最初は単独の暗殺で殺そうとしたけど失敗。
次に探知されにくい複数のロボットでの暗殺も失敗。
気づかれないように殺すのは無理と判断して本格的に動き出すかもね」

ジーラーはチョウジの前に歩いてきて肩をボンと叩く。

チョウジ「痛っ!」

ジーラー「カブト君にスーツと眷属をつけてトレーニングしなさい」

チョウジ「スーツと眷属…… って俺たち時空軍とほぼ同じじゃないすか!」

ジーラー「まぁ、いいじゃないか。
どのみち未来で持つことになるんだから」

チョウジ「まぁ、そうですけど……
本当にいいんですね?」

ジーラー「まぁ、その他のことは強さを身につけてから考えよう。
今は殺させないこと第一だよ」

チョウジ「わかりました」

カブト「……?」

■マハ 隊長室までの廊下

チョウジとカブトは2人で廊下を歩きながら話す。

カブト「ねぇ、チョウジさん」

チョウジ「はい?」

カブト「俺が強くなれば死ぬ確率が下がって、時空軍の存続に役立つんですよね?」

チョウジ「ええ、そうですよ」

カブト「じゃあなんでさっきチョウジさん、提案した隊長に”本当にいいんですね”って聞き直してたんですか?」

チョウジはカブトの方を見て感嘆する。

チョウジ「いや、鋭いですね。さすがです。
これからカブトさんに身につけてもらうスーツと眷属ドローンは時空軍が使う軍用兵器なんです」

カブト「スーツとドローン? ああ…」

カブトはシナモンが最初に出会った夜に着ていた電子回路のようなスーツと大きな龍を思い出していた。

カブト「シナモンさんの龍とかですよね?」

チョウジ「そう、それです!
未来では小型のペット用としても親しまれてるのですが、軍用となれば人を殺すほどの力を持ってます。
だから入隊する際にはその人の精神がちゃんとしてるかのテストを行うのが義務付けられてるんです」

カブト「精神テストですか……」

チョウジ「でも今回は生き残りが最優先だってことでカブトさんにはそのテストもなく強さを与えることになります」

カブト「はい…」

チョウジ「強くなって僕らを裏切らないとも限らないんですよね」

チョウジは少し冷徹な目でカブトの目を見据える。

カブト「そ、そんな!裏切るなんて!するわけないです!
僕は人を守るために強くなるんですから!
シナモンさんやチョウジさんだって僕には大切な人ですから!」

チョウジは冷たい目から優しい目に戻り笑う。

チョウジ「ははは!僕らを守ってくれるんですか?
それは楽しみですね!
……心配なことはもう一つありまして、実は僕らが戦っているテロリストっていうのはカブトさんの…」

チョウジは視線を感じて横を見ると通路の影にクミンが幽霊のようにこちらをじっと見ながら立っている。

チョウジ「うわぁ!出た!」

クミンはチョウジの耳を掴んで引き寄せる。

クミン「出たじゃねぇこら!
お前はまた余計なこと言おうとしただろ!
お前がペラペラと喋るたびに仕事が増えるんだよ!あ!」

そう言いながらクミンはチョウジの頭をグリグリと拳を捩じ込んでいる。

■マハ チョウジの研究施設 生成所

たんこぶができたチョウジは自分の研究施設にカブトと2人で立っている。
施設の中には半透明の立体プリンターや溶鉱炉のようなものがずらりと並んでおり、そこでキャタピラーのついたロボットが自動で色々なものを運んでいる。

カブト「うわ、すごいっすね。
ここでなんか作ってるんすか?」

チョウジ「ええ、ここでスーツとかも作るのですが希望を聞いておこうと思いましてね……」

すると後ろの扉が開いて軍服を着た若いピンクの髪の女性のコスイ(25)が不満そうにこちらへと歩いてくる。

コスイ「ねぇ、お兄ちゃん!クミン先輩がめっちゃキレながらお兄ちゃんが余計なこと喋らないように見張ってろって言ってきたんだけど!」

それを見てチョウジの表情が明るくなる。

チョウジ「おお!我が妹よ!
クミン先輩ひどいんだよー!このたんこぶ治して!」

コスイ「自業自得でしょ!絶対治さない!」

チョウジはカブトの方を見てコスイを紹介しようとする。

チョウジ「えっと、こちらはもう知ってますよね?」

カブト「はい。コスイさんには1週間のトレーニング中に何度も怪我を治してもらいましたから」

コスイ「そう!私の専門は薬の調合とか傷を治す医療でしょ!
なんで貴重な時間にバカ兄貴の面倒を見なきゃならないのさ!」

チョウジ「……かわいい奴でしょう?」

カブト「は…はぁ…」

申し訳なさそうな笑顔を見せるチョウジに対してカブトは少し困った様子で答える。

   ×   ×   ×

薄いタブレットのようなものの中に何かを入力しているチョウジ。
チョウジの前で立っているカブトとそれを遠くで見るコスイ。

チョウジ「よし、とりあえずスーツの特徴はこんなもんでいいか……
じゃ、次は眷属ドローンを決めていきましょう」

カブト「眷属ドローンてあのシナモンさんの龍とか、敵の蜘蛛のロボットもそうですよね?」

チョウジ「そう!自分で希望も出せますし、AIが自動で出してくれることもできますよ!ちなみに僕は……」

そう言うとチョウジは右手を前に出すとそこには通常よりも大きめなイカが空中を泳いでいるかのように出現する。

カブト「いか?」

チョウジ「そう、イカ!
イカは透明化したりできるから便利ですよ〜」

チョウジはカブトの耳元で囁く。

チョウジ「のぞきに使っちゃダメですよ…」

カブト「使いませんよ」

チョウジ「とは言っても盗まれたりしないように、スーツも眷属ドローンも生体認証でその人にしか動かせないんですけどね」

遠くで見ていた妹のコスイも近づいてくる。

コスイ「ついでに私のも見せてあげる」

コスイは両手をあげると背中辺りから大量のタコの触手のようなものが生えてくる。

コスイ「私はタコね。
正直なんでも良かったからAIに決めてもらったけど、お兄ちゃんは私のを見てイカを選んだらしい」

チョウジ「その方が兄弟仲良くていいだろー」

コスイ「てことで、カブト君はどうする?
自分で決めるかAIに決めてもらうか…
…もしくは未来の君が使ってるものにするか」

カブト「未来の俺……」

■上神山 岩の前 夕方

チョウジはカブトを抱きしめたまま岩の前に出現する。

チョウジ「ってことで完成は2週間くらいですね。
それまでに最低300kgくらいの霊石は持ち上げられるようにしてください!」

カブト「300kgすか… 今はまだ50kgくらい…」

チョウジ「まぁ、成長ペースは悪くないっすよ!」

カブト「もっとトレーニングしないと……」

チョウジ「俺も時間があれば付き合わせていただきますよ。
あともう一つ、自分の体重の2倍くらいの霊石が持ち上げられればワープもできるようになります」

カブト「ワープか…絶対やるっす!
じゃあまた!」

そう言うとカブトは山を降りていく。
優しい目をしていたチョウジは再び冷たい目に戻り笑顔が消えると岩の前で姿を消す。

■未確認飛行物体マハ 隊長室

隊長室内で宙に浮いている薄い画面を見ながら何かを探しているジーラー。

ジーラー(……おかしい。敵の標的は4人のはずだ。そろそろ兵隊も揃ったと言うのに何も仕掛けてこないとは思えん…
ならば目的は我々と同じか、もっと別の……)

ジーラーは宙に浮く画面を目線で切り替えて地図に切り替えるとその地図を複製して比較をしている。
ジーラーは何かに気づく。

ジーラー(これは……まずい!とんでもなくまずいぞ!)

ジーラーは大量の汗をかき始める。

そこへ隊長室に入っていくチョウジ、薄いタブレットのようなものを持ってニコニコしながら話しかける。

チョウジ「隊長!カブトさんの眷属ドローン決まりましたよ!
なかなか面白い…」

ジーラー「おい、すぐに全員に連絡するんだ!
奴らの目的は4人の命ではない!
日本は囮だったんだ!」

チョウジ「え…な、何が起きてるんですか?」

■とある未確認飛行物体の内部

そこにはテロリストたちとそのボスであろう男が集まっている。
ボスは光の当たらない影のところに立っている。

ボス「色々と攻撃を喰らってしまったけど、作戦は2つ3つと同時に行わないとね……
どう?上手くいったでしょ?」

ボスの手元にはパネル上にシナモンが倒した暗殺者セージやカブトの画像が映し出されている。

黒服のマントを羽織った女性、白黒のスーツを纏う黒人女性、赤い羽が生えた女性、マントを羽織った黒人男性などがボスの話を聞いている。

ボス「表を攻めると見せて本命は裏。
君たちが日本中で動いて時空軍をかき乱してくれたことでかなりの成果になったよ」

そう言うとボスは影から光の当たるところへと歩いていく。
光が当たるとボスの顔はカブトとそっくりな白髪と黒い肌をした大人であった。


創作大賞応募用の3話はここで終了です。
ここまでお時間をかけて読んでくださりありがとうございます。

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