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涙涙の卒園式


涙腺崩壊。


3月14日、次男の卒園式を迎えた。


幼稚園最後の1年はあっという間に過ぎ去ることを長男の時に経験していたが、次男の時はもう瞬きレベルに過ぎ去って行った。


ああ、泣くだろうな。
と覚悟していたが、もう、ずっと私は泣いていた。


卒園式には、長男も参列してくれた。
ホールで卒園する子どもたちが来るのを待っている時、私は長男とここで過ごした日々を思い出していた。
もう2年前のことだ。


いろんなことがあり
いろんなことを一緒に乗り越えてきた。

年中の時に突然始まった登園渋り。
付き添い登園。
長男がいない教室から聞こえてくる子どもたちの元気な歌声に涙したあの日。
保育中、ずっと図書室で長男のことを待っていた。そこで1人お弁当を食べた。
教室に入れず廊下に机を出し絵を描く長男を見て胸が苦しくなった。


園庭でずっと虫を探す長男。
園長先生の膝の上で過ごす長男。


私の手をいつまでも握り離してくれず、どうしても廊下と教室との境界線を越えられなかった。教室の中では、子どもたちが仲良く遊んでる。
いいな、と思った。
みんなみたいに、みんなみたいに、長男も。
だけど
長男は手を離してはくれなかった。


やっと帰宅できたと思ったら「一緒に遊ぼう」と私に絡みつく。私は長男の手を払いのけ、持っていた幼稚園のカバンを地面に叩きつけた。驚く長男を残し家に入った。追ってくる長男に「ついてこないで」と寝室のドアをバタンと閉めた。「開けて開けて」と泣きながらドアを叩く長男。私は耳を塞ぎ泣き叫んだ。


園バスに乗れなくなり、雨の日も風の日も自転車で幼稚園まで送り迎えをした。
次男が入園し、私が幼稚園で待っているならバスに乗れると言うので、バスを見送った後自転車で先回りして幼稚園に行き、長男が乗っているバスを迎えた。
卒園するまでそうやってバスを迎え、到着した長男を抱きしめた。


さつまいも堀も遠足も泣いて泣いて大変だった。
運動会もずっとどんぐりを拾っていた。
リレーはトラックの中で先生の膝の上で泣いていた。
お遊戯会は私と客席で観ていた。


卒園式は・・・


と、その時子どもたちがホールにやって来た。
次男は緊張しながらもしっかり列に並んで入場してきた。
お兄さんになったなぁ。
じわっと涙が溢れてくる。
チラッと私を見る長男。


式が始まる。
子どもたちが園歌を歌う。


早くも涙腺崩壊。
鞄からハンカチを出し、涙を拭う。
ああ、終わっちゃう。
卒園しちゃう。


私は長男の手を握った。
その手はとても温かく優しかった。


修了証書授与。


次男は毎日証書を受け取る練習を家でしていた。
私が名前を呼ぶと「はい!」と返事をし、「おめでとうございます」と証書を渡すふりをすると「ありがとうございました」と言って証書を受け取るがお調子に乗ってふざけたりしていた。次男らしいなぁ〜と思う。


次男は練習通りできるだろうか。
目の前で授与式が行われていく中、私は、長男の卒園式のことを思い出していた。

あの日、なんとか教室まで行けたものの、長男の顔は強張り私から離れてくれなかった。担任の先生が近くに来て、「お母さん、行ってください」と合図を送ったので私は、どうしても履いてくれなかった制服の半ズボンを先生に手渡し、先生と長男を信じて教室を後にした。後ろから長男の泣き声が聞こえた。胸が張り裂けそうになりながらホールに行き、遅れて最後に着席した。
着席してからも、ずっと、あれで良かったのだろうか。別に式に出られなかったとしても大したことではなかったのではないか。最後の最後に悲しい思いをさせてしまったのではないか。ぐるぐるそんな感情ばかりが頭を巡った。


子どもたちがホールに入場してきた。


長男の姿を探す。
長男はいるか。
長男はいるか。
どこだ、どこだ。


長男は、ヒックヒック泣きながら先生と手を繋いで一番最後にゆっくり入場してきた。
胸にはホワイトタイガーのぬいぐるみが抱かれていた。


長男の姿を確認できた瞬間、涙が溢れた。
長男は制服を着ていた。
頑張ったんだね、頑張ったんだね。
隣にいた同じクラスのお母さんが私の背中をさすってくれた。


みんな1人ずつ壇上にのぼり証書を受け取っていく中、長男は先生と手を繋ぎヒックヒック泣きながら証書を受け取った。その時園長先生は長男に何かを言っていた。何と声をかけてくれたのだろうか。きっと、温かい言葉をかけてくれたんだろうな。

私は長男の姿が見えなくなるくらい泣いた。
もうマスクなんてびちょびちょだった。

証書を受け取った後は落ち着きを取り戻し、退場する時には私に笑顔を見せてくれた。
その時のことをまだ鮮明に覚えている。


「はい!」と次男が返事をした。少し控えめな「ありがとうございました」も聞こえてきた。次男はドキドキしながらも立派に証書を受け取った。


長男の卒園式の時はまだ渦中にいたし、卒園式を無事に迎えられたことで胸がいっぱいになり、いろんなことを振り返ることなんてできなかった。今当時のことをこんなに思い出す事ができているのは、やっと振り返られる時が来たからなのだと思う。
本当に本当にお世話になった幼稚園。思い入れが強すぎる。
長男の手を握りながら私は胸がいっぱいになっていた。
目の前では次男、記憶の中は長男。
私の脳みそは大忙しだった。


式が無事に終わり、長男が「お母さん、ずっと泣いてたね」と言ってきた。


ええ、ええ、母は、あなたのことを思い出していたんですよ。


式の後は、ちょっとした謝恩会が教室であった。
教室で先に子どもたちを待っていると、後ろに何かを隠した子どもたちがニヤコラしながら入ってきた。


次男もえへへへと言いながら、後ろに何かを隠しながら私の前に立った。


知ってる、知ってる。
隠してるけど、知ってる。
だって、あなた、昨夜のお風呂の時に


「あのさぁ、卒園式の時にお花をお母さんに渡すんだけど、それ秘密なんだって〜」


て言ってたじゃん。
だから、そんな顔して隠してても、知ってる、知ってる。



「いつもありがとう」
と子どもたちが声を揃えてチューリップのお花を手渡してくれた。


「うわ〜!!!ありがとう!!」と何も知らなかったように受け取った。
次男は満足気だった。





担任の先生が泣きながら最後の挨拶をした。
チラッと次男を見ると、次男が目をこすっていた。
次男が泣いていたのだ。
いつもほわわ〜んとしている次男だが、そういう「感情」が育っていたことに成長を感じ嬉しくなった。

子どもたちはたくさん歌を歌ってくれた。
その度に涙が溢れ、ああ、幼稚園卒園するんだなぁと、実感した。

卒園式も謝恩会も無事に終わり、園長先生に手紙を渡すときがきた。
園庭に出ると、園長先生がいろんな人と写真を撮っていた。

一瞬人がいなくなった。
今だ!

「園長先生!」

園長先生と目が合った瞬間涙が溢れてしまった。
いきなり泣く私。

「先生、感謝の気持ちをお伝えしたくてお手紙書いてきました」

泣きながら手渡した。

「まぁ、ありがとうございます」

園長先生の目にも涙が溢れていた。
こんな風に園長先生の前でどのくらい泣いてきただろう。
その度に、「お母さんはよくやっていますよ」と励ましてくださった。
この幼稚園も、園長先生も、私の心の拠り所でもあった。
次男がまだ居たから幼稚園に来る機会もあったけど、もう卒園してしまう。


寂しい。


思い出す。
長男は毎朝教室に行く前に必ず園長先生のところに寄った。

「今日も僕の見守り先生いるよね?」

いるとわかっていても、毎朝聞くのだ。

「いるわよ。大丈夫よ」

園長先生は長男の手を両手で握り、安心させてくださった。
小学生になった今でも、幼稚園に行けば長男の手を両手で握り「大丈夫よ」と優しく声をかけ、ぎゅーーっと抱きしめてくださる。
長男には、この温もりを大人になっても忘れないでいてほしい。
今はわからなくても、あなたのことを受け止め続けた人たちがいることをどうか忘れないでほしい。


長男も私もたくさんたくさん泣いた。
もしかすると泣いた数の方が多かったかもしれないと思うほど泣いた。
それでも、その先には笑顔だってちゃんとあった。
幸せな瞬間だってちゃんとあった。

何よりも、長男のことをいつだって否定せず、「あなたはあなたでいい」と受け止め続けてくれた日々こそがかけがえのない宝物だ。

今、長男が「僕は僕だ」と表現できているのは、その宝物のお守りが心の中にあるからだ。

この幼稚園を選んで良かった。
この幼稚園で過ごせて良かった。

いつの間にか園庭で次男と遊んでいた長男がそばに来ていて、園長先生に抱きついた。
先生もぎゅーっと長男を抱きしめた。そして、長男の手をいつものように両手でぎゅっと握りながら「いつだって来ていいからね。いつだっておいで」と優しく声をかけてくださった。
その園長先生の優しい眼差しは、昔も今も何も変わらず愛情に溢れている。
長男は小さく頷いてからその手を離し、次男が遊んでいる園庭へと駆けて行った。


私は、園長先生に笑顔で頭を下げた。
園長先生は指で目尻を抑えながら笑顔で見送って下さった。

園長先生、ありがとうございました。
その言葉じゃ足りないくらいの感謝を伝えたいです。
また息子たちを連れて遊びに来ます。
その時には、笑顔でお話ができたらいいなぁと思います。





「卒園式で歌う『おわかれのうた』だよ。秘密なんだって」


秘密を全部バラしちゃう次男。
園長先生のことを最後まで「髪型がくるくるのおばあちゃんみたいな人」と言っていた次男。
卒園おめでとう。
思いっきり幼稚園生活をenjoyしていたね。
兄に影響されることなく、なんでも「いいよ」と言ってくれるから、本当に本当に助かったよ。
ありがとう。
これから始まる小学校生活も思いっきりenjoyしてね。


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