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スタバで女子高生の会話に聞耳立て思い出す恋心



「 ・・・・・・・・・・ですか?」

えっ?

「・・・・・・・・・・ですか?」

えっ?


聞こえない。
全っ然聞こえない。


「遅めのお昼ご飯なんですか?」


、、って、そんなことかいっ!


「あ、はい。もうお腹ぺこぺこです」

「・・・・・・・・・・ください!(にこっ)」


えっ?


「ごゆっくりお過ごしください!(にこっ)」


とても感じの良い青年だった。
何度も聞き返してごめんね。
にこっを2回もやらせちゃってごめんね。

が、

青年よ、もっと腹から声を出したまえ




私はスタバが好きだ。

なんだかんだいつもスタバに来てしまう。

レジでのちょっとした会話も好きだ。

いろんな人たちが、いろんな時間を過ごしていて、とても居心地がいい。

ランチ時にスタバに来ると、だいたいハム&マリボチーズのフィローネと、チョコスコーンと、アイスコーヒーを注文する。

いつもは窓際のソファー席に1人で座るけど、その日は満席で、奥のテーブル席に座った。

横の席には高校生らしき女の子が2人座っていて、何やらめっちゃ盛り上がっていた。



「もうさー、超ーーーーひいた。秒で冷めた」

「それは、ひく。マジひく」

一体、彼女に何が。


私は、ハム&マリボチーズを頬張りながら、聞き耳を立てた。


「だってさ、パンツのさ片方の裾だけあげてんだよ?マジでひいた。もう、すぐ別れた」


へ?


「いや、それは、別れるね。ないわ、ないない」


厳しいな




パンツの片方の裾が上がっていただけで別れちゃうのかい?
ビクビク・・

私のハム&マリボチーズを持つ手が震える。

え、じゃあさ、じゃあよ?
仮に、もう片方も上がっていたらどうだい?
別れを選ばなかったのかい?
はたまた短パンは?短パンだったらどうだい?
別れを選ばなかったのかい?


なんだかものすごく盛り上がっている2人の向こう側に


彼を思う。

彼には、なんて伝えたんだろか。


帰宅して、夫にその話をすると、


「あーーー!それね!それには理由があるんだよなぁぁぁ」


と。

ロードバイク系の自転車だと、チェーン側のパンツの裾がチェーンに挟まってしまうので、片方の裾だけ捲し上げているんだとか。

あるあるらしいが、
ピチピチの現役女子高生たちには、そんなこたぁ知ったこっちゃないわけで。
現実は女子たちによる厳しいジャッジが下されるわけで。


彼を思う。

私たちは、君がなぜパンツの片方の裾だけを捲し上げていたのか、ちゃんとわかっているよ(肩を抱くイメージ)。


女子高生たちの恋バナを聞いていると、思い出すな。
若かりし頃を(遠いめ)。


あれは、私が高校2年生のとき。

私は、同じ水泳部のS先輩に恋をした。

色白で目細で短髪で中性的な雰囲気が漂うS先輩は、超絶私のタイプだった。


私は、もう、恋心がパンクしそうで、S先輩に思いを告げる決心をした。

当時、携帯電話なんぞない時代。
私は、S先輩の自宅に電話をかけ、音楽室の前に呼び出すことにした。


なんてったって、自宅だからどなたが出るかわからない。

私は、いろんなバージョンを考えた。

本人バージョン
お母さんバージョン
お父さんバージョン
兄弟バージョン
おばあちゃんおじいちゃんバージョン


バージョンごとに何て言うかを考え、メモに書き、公衆電話から電話をかけた。


トゥルルルルルルル
トゥルルルルルルル


呼び出し音が鳴る。
高なる鼓動。


トゥルルルルルルル
トゥルルルルルルル


・・・・・・・


んあっ無理!



呼び出し音の緊張感に耐えられず、電話を切ってしまった。

そんな日が何日が続いた。
今思えば、毎日毎日途中で切れる電話。
さぞ不審がられていたに違いない。
ゴメンナサイ。

そしてついに私は呼び出し音の緊張感に勝利し、S先輩を呼び出すことに成功した。

めちゃくちゃ緊張して、手も声も震えたことを今でも覚えている。


昼休み、友達に「じゃあ、行ってくるわ!」と決意の合図を送り、私は1人音楽室に向かった。


心臓がメガバクバクしてる。
ドキドキ越えのメガバクバク
痛い、心臓がバクバクしすぎて痛い。


S先輩はまだ来ていない。

ああ、待ってる時の緊張感、半端ない。
ひっそりとした音楽室の前、私の心臓の音が聞こえてきそうなくらい。

バクバクバクバクバクバクバク
バクバクバクバクバクバクバク



し、し、心臓がもたない。


と、その時、こちらに来る足音が聞こえてきた。


S先輩だ。


間近で見るS先輩はめちゃくちゃカッコ良かった。
同じ水泳部だけど、こんなに近くで見るのは初めてだ。
っていうか、話したことすらない。


S先輩のカッコ良さにクラクラしながら、私は私の恋心を伝えた。


しかし、S先輩には好きな人がいた。


私は、来てくれたことにお礼を言い、

最後に、「S先輩!大学受験頑張ってくださいね!」


と、ガッツポーズをした。


・・・・・・


ガッツポーズって


失恋直後に笑顔でガッツポーズしながら先輩を送り出す後輩。


ガッツポーズでフリーズしたまま、静かに17歳の恋は幕を閉じた。


その切なき17歳の私を脳裏に浮かべながら、横できゃっきゃ恋バナに花咲かせている彼女たちに伝えたい。


恋せよ乙女!
ガッツポーズ


なんのはなしですか。

はい、私の恋の話です。

ガッツポーズ。

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