初めての住込み農業バイト
みかん工場の洗礼
12月初めの冬が始まる頃、私は長野から和歌山へ渡った。
農業も住込みも初めてだ。
何が必要か分からなかった私は、とりあえず着替えやら、お絵描き道具やら、キャンプ道具やらを車に積んで向かった。
今思えばかなり大袈裟な大荷物だったと思う。
到着すると、そこはみかん農家さんというより大規模な会社のような場所だった。
人事の担当の人が出迎えてくれ、これから住む宿舎を案内してくれた。
なかなか年季の入った建物。一階は作業場になっており、2階が女子部屋だった。
リビングキッチンにお風呂、そして小部屋が5部屋ほど。
既に住んでいる人たちがいるようで、私は同じ日に入ってきた人と天井が繋がっている部屋に相部屋となった。
ここで出会ったKちゃん(仮)とは、のちに一緒にインドへ行くまでの仲になるのである。
天国か地獄か
さて、初日が始まった。
わくわくドキドキの初めての農業バイト。
ここに来て初めて知ったが、なんと部署が色々あるらしく、私たち住込みバイトも日によって部署が振り分けられるとのこと。
収穫班、加工班、選果場班。
私たちは日によって配属が変わるらしい。
外で仕事ができる!やったー!と思っていた私は、少しがっかりした。
初日は加工へ。
傷物の柑橘類がどっさりとコンテナで運ばれている。
上下白い服とマスクと白い帽子に身を包んだ人たちが、この技術が発達している今の時代に、なんと一つ一つ手作業で機械に柑橘を置いていく。
ガッシャンガッシャンというかなりの大音量を響かせながら、柑橘たちはみるみるうちに潰されジュースになっていくというわけだ。
明日からここで働くことになる。
畑とは真逆の工場勤務の始まりだ。
私とみかんと機械
機械にみかんを乗せるだけ。
なんてことない作業に思えるが、私にとってこれがかなりのきつい仕事だった。
確か6か7号機まであったプレスする機械に対する人間は一人だけ。
まず第一にこの機械のスピードがとても早いのだ。
ひっくり返したお椀の真ん中に鋭い棘のようなものが突き出している場所に一つずつみかんを置いていかなければならない。
私はせいぜい片手にみかんを一個ずつしか持てなかった。
周りのお姉様方はというと、片手に二個や三個持っているではないか!
なんて事ない顔で、そつなくこなしている。
一体どうなっているのだ。
お昼休憩はあるものの、1日約8時間ずっと機械の前に立って、この作業を繰り返さなければならない。
一日目が終わる頃には、
「これは思っていたのと違うかもしれない」
そんな空気が、住込み組の間に流れていた。

どんな日でも夕日は沁みる
続く。
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