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旅も日常も、動いた瞬間から始まる

オーストラリアは、正直ノーマークだった。

行きたい国のリストに入っていたわけでも、ずっと憧れていたわけでもない。でもいざ調べてみると、意外と良さそうじゃないか、と思い始めたら、もう止まらなかった。

思えば、旅はいつもそうだ。狙っていなかった場所が、一番心に残る。

飛行機とホテルを決めて、外せないポイントだけ押さえて、あとは自由に動く。全部キチキチに詰め込まない。予定通りにいかない瞬間の中に、旅の本当の面白さがある気がしているから。計画は、自由に動くための土台で、目的じゃない。国内でも海外でも、旅のスタイルはいつも同じだ。

今回も、そのスタイルで行こうと思っている。

でも今回は、いつもより少し切実な気持ちもある。

海外旅行って、タイミングを逃すと、次がいつになるかわからない。子どもがいて、仕事があって、日常はいつも何かで埋まっている。このチャンスを逃したら、また「いつか」になってしまう。そう思ったら、行かない理由を探すより、行く理由を積み上げた方がいいと思えた。

日常でも、同じことがある気がしている。

「またいつでもできるから」と後回しにしたことが、気づいたらずっとそのままになっていた、という経験が何度もある。時間はあるつもりでいたのに、いつの間にか状況が変わっていた。タイミングって、待っていてくれない。やりたいと思った瞬間が、一番動きやすい瞬間だったりする。

旅の計画を立てていると、そのことを改めて思い出す。

ノーマークだったオーストラリアに、今こんなに心が動いているのも、きっと偶然じゃない。興味を持った瞬間に動いたから、ここまで来た。あの瞬間に「どうせなら調べてみよう」と思わなかったら、この旅は生まれていなかった。

「旅するように暮らしたい」と、ずっと思っている。

これは、場所を転々とすることじゃない。どこにいても、知らないものに触れ続けること。いつもの枠から少しだけ出て、知らなかった自分に会いに行くこと。旅の中でしか味わえないと思っていた感覚を、日常の中にも持ち込むこと。

旅をしている時の自分は、少し違う。

余計なことを考えていない。比べていない。目の前にあるものを、ただ受け取っている。初めて見る景色に、素直に心が動く。その感覚が好きで、旅に行くたびに「この感覚のまま日常に戻りたい」と思う。

でも戻ると、いつの間にか元に戻っている。

だから最近は、日常の中に小さな「初めて」を意識的に作るようにしている。行ったことのない店に入ってみる。いつもと違う道を歩いてみる。気になっていたことを、後回しにせず調べてみる。大げさなことじゃなくていい。「やってみようかな」という小さな気持ちを、拾い上げること。それだけで、日常の景色が少し変わる気がしている。

小さな「やってみようかな」を、拾い上げること。

旅も日常も、動いた瞬間から始まる。オーストラリアへの準備をしながら、今日もそんなことを考えている。夏が、楽しみだ。

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