担当交代を告げられたあの日。「助産師に向いていない」と泣いた私へ。
春から助産師として働き始めたみなさん、毎日の業務お疲れ様です🙇♀️覚えることも多く、自分の無力さに涙が出る日もあるのではないでしょうか?
今でこそ実習指導や新人教育に関わっている私ですが、自分自身の新人時代苦い思い出も話ながら、「新人時代にぶつかる壁とその乗り越え方」について少しお話ししようと思います🌸
「担当を代わってください」
微弱陣痛で分娩が長引いていた、ある産婦さんを受け持ったときのことです。夜通し続く陣痛で、産婦さんの疲労も不安も限界。ご家族も焦りを感じていました。
私は精一杯関わっていたつもりでした。
しかし、当時の私は経験もアセスメント能力も未熟。「今どんな状況なのか」を、分かりやすく説明することができませんでした。
そして、ご本人とご家族から告げられたのです。
「担当を代わってもらえませんか」
心臓が止まるかと思うほどのショックでした。
「私は助産師に向いていないのかもしれない」
そう自分を責め、目の前が真っ暗になりました。
今でも思い出すと胸の奥がギューってなります(笑)🤣当時を振り返りながら、あの頃の私がぶつかった「5つの壁」と、指導者になった今だからわかる「本当の乗り越え方」を、1つずつ丁寧にお伝えします👇
🧱 壁①:患者さんとの信頼関係
🚨 新人時代のリアル(状況)
前述の患者さんとのエピソード。患者さんからの「受け持ち変更」は、新人さんじゃなくてもショックな出来事ですよね。
学校では、実戦的な「患者さんとのコミュニケーション」はほとんど習わないこともあり、現場に出て初めて患者さんとのコミュニケーションの難しさに圧倒されていませんか?
命が誕生する現場は、患者さんもご家族も、疲労・焦り・不安でピリピリとした極限の状態です。そんな張り詰めた空気の中で、新人さんは具体的に以下のよう時に難しさを感じているように見受けます。
「今、何が起きているか」を言語化できない
アセスメント能力が未熟なため、産婦さんやご家族から「あとどれくらいで生まれますか?」「今どういう状況ですか?」と聞かれても、根拠を持って分かりやすく説明することが難しい。「ただそばにいるだけ」になってしまう
技術や知識に自信がないため、ベッドサイドに行っても「何かあったら声をかけてください」と声をかけるのが精一杯。気の利いた一言や、患者さんの不安を先回りして和らげるような関わりができず、ただただ圧倒されてしまう。焦りやビクビクした態度が相手に伝わってしまう
「失敗したらどうしよう」「先輩に何て報告しよう」という自分の焦りや心の余裕のなさが、言葉の詰まりや表情に出てしまいます。その結果、患者さんやご家族に「この人で大丈夫なのかな…」という不信感や不安を与えてしまい、関係性がギクシャクしてしまう。
💡 この壁の乗り越え方
担当交代を告げられた私に、ある先輩がこう声をかけてくれました。
「自分の至らない点を教えてくれる患者さんでよかったね」
当時は受け止めきれませんでしたが、今なら分かります。あの経験は、自分の未熟さを突きつけられたからこそ、「説明する力」や「信頼関係を築く力」の大切さを学ぶための大切な機会だったのです。
🏃♀️明日からの改善策
もし信頼関係に不安を感じたら、一人で抱え込まず、すぐに先輩にバトンを繋ぐか、一緒にベッドサイドに入ってもらいましょう。「先輩の患者さんへの説明の仕方」を真似することが、信頼関係を築く一番の近道です。
🧱 壁②:実務のリアル「分からないことが分からない
🚨 新人のリアル(状況)
学生時代は授業にテーマがあったり、テストの範囲が決まっていたり「ここを学ぼう」という目標が明確でした。しかし現場に出ると…
何を優先すべきか
何を報告すべきか
何が正常で、何が異常なのか
現場では毎日「分からないこと」の嵐でした。しかも一番厄介なのは、「何が分からないのかすら、自分でも分からない」状態になっていたことです。
💡 この壁の乗り越え方
指導をする立場になって強く感じることがあります。それは、「分からない」と素直に伝えてくれる新人さんの方が、圧倒的にフォローしやすいということです。
反応がないと、フォローする側も「理解できているのか、困っているのか」が分からず迷ってしまいます。
🏃♀️明日からの改善策
完璧に報告しようとせず、「ここまでは分かったのですが、この部分が整理できていません」と、自分の現在地をそのまま先輩に伝えてみてください。それだけで先輩はどこから何を伝えればいいかの解像度が上がって、教えやすくなります。
🧱 壁③:メンタルの罠「同期との比較」
🚨 新人のリアル(状況)
同期がいることで励まし合えたり、支え合えたり。10年以上経っても、同期と出会えたことはかけがえのない宝物です。
ですが、新人時代をぶっちゃけると、同期と勝手に比較して落ち込んでいました🌀
しかも、後から聞いたら自分が見えない所で苦労していたり、悩んでいたのに、当時は同期の
先輩への報告がスマート
患者さんとの関係も良好
そんな姿を見るたびに「どうして自分だけできないんだろう」と落ち込み、出勤前の足が重くなっていました😱
💡 この壁の乗り越え方
新人時代は、成長のスピードに個人差があって当たり前です。優秀に見える同期も、実は見えないところで泣いたり必死に勉強したりしています。
同期という存在はいい意味で切磋琢磨し、お互いを成長させる良きライバルにもなりますが、比較して落ち込む必要はありません。比較対象は「昨日の自分」に。
🏃♀️明日からの改善策
比較する相手を「同期」から「昨日の自分」に変えること。「同期がどうか」ではなく、「昨日より1つ多く物品の場所を覚えた」「昨日よりスムーズに挨拶できた」など、自分の小さな一歩だけに目を向けましょう。
🧱 壁④:理想とのギャップ「できない自分」を受け入れられない
🚨 新人のリアル(状況)
一生懸命勉強して国家資格をとり、憧れの助産師になったからこそ、失敗やミスをするたびに「自分は助産師に向いていない」と、激しい自己嫌悪に陥ってしまいます。特に、助産学生さんって看護師の勉強にプラスαで、頑張り屋さんが多いからこそ、もっと出来るはず…でも、思うように出来ないのギャップに悩まされます。
💡 この壁の乗り越え方
新人助産師が、最初から何でもできるわけがありません。できなくて当たり前なのです。いい意味で割り切りましょう。伸びしろいっぱいです。
助産師という職業は、母子の命を預かる責任ある仕事なので日々自己研鑽、学び続けることが大事だと思います。だから、日々少しずつ成長するでOK🙆♀️
🏃♀️明日からの改善策
「できない=向いていない」と全否定するのをやめましょう。
夜寝る前に、反省ばかりするのではなく「今日できたことを1つだけ数えて」眠りにつきましょう。今できないのは、これからできるようになるための「伸び代」です。
🧱 壁⑤:関係性の壁「一人で頑張ろう」としてしまう
🚨 新人のリアル(状況)
「先輩忙しそう。これ以上、先輩たちの迷惑をかけたくない」
「できない奴だと思われて、怒られたくない」
そんな気持ちから、つい問題を一人で抱え込んでしまうことがあります。
💡 この壁の乗り越え方
完璧に見せようとして抱え込む人ほど、結果的にミスに繋がり、自分自身も苦しくなってしまいます。新人さんが一人で抱え込んで先輩が気づいた時にはフォローしきれないってことになることも…
相談することは弱さではありません。患者さんを守るための大切な行動です。
🏃♀️明日からの改善策
「ここが分からなくて困っています」、「一緒に見てもらえませんか」と声を出すこと。忘れないでください。先輩も患者さんを守るためにも、新人さんも守るためにも「新人さんが困っていたら助けよう」と思っています。
🌸 就活中の助産学生さんへ
内定よりも「環境」を選んでほしい
もし今、「自分に助産師が務まるだろうか」と不安を感じているなら、その不安はとても自然なものです。
そして知っておいてほしいのは、新人時代の壁の乗り越えやすさは、実は「病院」によって大きく変わるということです。
私が新人時代の挫折から踏ん張れたのも、私を全否定せず、温かく励ましてくれる先輩たちがいたからでした。
手厚い教育体制があるか
心理的に相談しやすい雰囲気か
先輩たちが新人を育てる文化があるか
これらは、新人助産師の成長に最も大きく影響します。
だからこそ、就活では単に「内定を取ること」だけを目指すのではなく、あなたが「安心して助けを求められる環境」を大切に選んでほしいと思っています🫶
📝 おわりに
あの頃の私は、患者さんから受け持ち変更をお願いされた経験を、「自分が否定された」、「価値のない人間だ」、「助産師失格だ」って思っていました。思い出すのも辛いですが、あの経験があったからこそ、今の私があります。
このエピソードだけではありません。たくさん失敗しました。でも、そこから学び、助産師を続けてきたからこそ、今悩んでいる新人さんに伝えられることがあると思って発信を続けています。
拙い文章ですが、これが誰かの救いや励ましになりますように。そして、悩んでいたあの頃の私に「大丈夫」🙆♀️って声をかけたいです。
